2013.12.02
Over The Edge Over The Edge
Sarah Jarosz

Build Me Up From Bones (2013)

 アメリカのポップス界では、最近女性歌手の台頭が目につきます。名前を挙げれば Lady Gaga をはじめとして、Taylor Swift、Katy Perry などが全米のヒット・チャートをにぎわせています。日本でも注目を集めるアメリカの女性歌手が増えています。
 その中で、現在、私が惚れ込んで注目をしている女性歌手が二人います。二人に共通するのは、名前にサラが付くこと。一人は、Sara Bareilles。そしてもう一人は、今回紹介する Sarah Jarosz です。
 Sarah Jarosz といっても、日本では名前も音楽も馴染みがないと思います。ポピュラー音楽の中でも私も含めて日本人には、馴染みの薄いカントリー・ミュージック、その中のブルーグラス・ミュージックの歌手。マンドリン、バンジョー、ギターを弾きこなすマルチ・プレイヤーでもあります。
 さて、彼女のデビューのきっかけになったのは、まだ学生の頃の彼女のデモ音源。同じブルーグラス・ミュージックの女性歌手の Alison Krauss の耳にとまり、Sugar Hill Records から、2009年にデビュー作『Song Up In Your Head』をリリース。そのアルバムの中のインスト曲の『Mansinnedolf』が同年のグラミー賞(Best Country Instrumental Performance 部門)にノミネ―トされて、注目を浴びました。2011年には2枚目の『Follow Me Down』、今年(2013年)には、3枚目のアルバム『Build Me Up From Bones』をリリースし、順調な活動を続けています。
 私が彼女の存在、歌を聴くきっかけになったそもそもの始まりは、You Tube でみた2012年の野外フェス(Bonnaroo Music Festival)での映像。ステージでない観客のいる場所での彼女を中心としたヴィオリンとチェロのトリオでの2枚目のアルバムの自作の『Come Around』の歌と演奏を聴いたときでした。

Sarah Jarosz / Come Around - Live at Bonnaroo

 彼女のヴォーカルはとても素直で、飾らない歌い方にとても魅力を感じました。まだ歌唱の面で線の細い面もありますが、その声質が耳にストレートに響きます。
 『Over The Edge』は、先述した3枚目のアルバム『Build Me Up From Bones』の1曲目を飾る歌です。ギター、マンドリンの演奏をバックに、彼女とこの歌の共作者の Jedd Hughes のデュエット・ヴォーカルに Dan Dugmore のラップ・スティール・ギターの音が残響感を潜ませるアップ・テンポな曲です。コーラス部分の「Hangin' Out/Hangin' Out/Over The Edge」での彼女の控えめなヴォーカルの中に隠された力強さを感じさせます。
 以前、紹介した Nickel Creek と同様にカントリーとかブルーグラス等々のジャンルを越えて、多くの人に聴いてほしい女性歌手であり、22歳の彼女、これからの成長と活躍を見守りたい女性歌手でもあります。

今日の1曲

(伊東 潔)




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