2014.08.20
Bish’s Hideaway Bish’s Hideaway
Stephen Bishop

Bish (1978)

先週の『サンデー・ソングブック』でかかったHelen Reddyの「Bluebird」がNick DeCaroのアレンジで、その流れで『Italian Graffiti』をレコード棚から取り出し、1曲目の「Under The Jamaican Moon」(曲はStephen Bishop)を聴いて、更にこの曲に辿り着きました。

Stephen Bishopの2ndアルバム『Bish』に収録。日本でのみシングル・カットされていて、邦題は「ひとりぼっちの渚」(「On An On」の邦題「初恋の渚」続く“渚シリーズ”第2弾!)。だからじゃないけど、何となく夏が終わりに近づいた、ちょっと切ないこの時期に聴きたくなります。「アイランド」や「砂の足跡」や「ヤシの木に寄りかかって」などの言葉が散りばめられた、南国ムードいっぱいの歌詞は「Under The Jamaican Moon」に共通する世界観です。

Stephen Bishopはおそらく映画が大好きで、彼が描く詞は情景描写が実に映画的。まるで古いハリウッド映画を観てるようなノスタルジックでドリーミーな歌詞も多いのです。そんな詞に極上のメロディが乗るのだから、映画&音楽好きにはたまりません。

アルバム『Bish』も映画をコンセプトにした作品なのでしょう。冒頭に『オズの魔法使い』から「If I Only Had A Brain」が取り上げられていたり、収録曲の「What Love Can Do」が『オズの魔法使い』の著名な作詞家エドガー・イップ・ハーバーグに捧げられていたり…。興味深いのは、本作のインナースリーヴには口笛の録音に参加したStephen Bishopの友人たちが一同に会した写真が載っていて(名付けて“The Whistling Bishettes”)、そこにはCarrie Fisher、John Landis、Cameron Croweなどの映画関係者がしっかり写っているのです(Cameron Croweはまだ音楽ライター時代だけど)。そこら辺の交流人脈にも、Stephen Bishopの趣味性が反映されていたのでしょうか。

銀幕のワンシーンをモチーフにしたジャケットは、これまた映画大好きデザイナー、ジョン・コッシュによるもの。コッシュはLinda Ronstadt(サンソンでかかった「Heat Wave」のカヴァー最高!)のジャケット・デザインをたくさん手がけていて、そこでも銀幕への憧れを爆発させています。

ちなみに日本盤シングル「ひとりぼっちの渚」のライナーには、Stephen Bishopの音楽語録が載っていて、以下のような記述が。

“僕が本当に好きなのはフレッド・アステア。そしてすべての懐メロさ”


今日の1曲

(高瀬康一)




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