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山下達郎 Performance 2014 Maniac Tour レビュー

2014.10.08
夏の陽(Maniac Tour Performance 2014)

夏の陽(Maniac Tour Performance 2014)

山下達郎

Circus Town (1976)

#Tatsuro Yamashita Performance

「Space Crush」1曲はさんで「雨の女王」「ピンク・シャドウ」。かっこいい。山下達郎の "Maniac Tour" と題された2014年ツアーは36年前のアルバム『It's a Poppin Time』の再現から始まりました。こんな展開読めた???

近年になく騒がしかった今年のツアー。有名な曲は演らないらしい。たった 29公演?チケット手に入るの?本人確認、リストバンド!!

7月末より始まったツアーが本日大阪で楽を迎えているはずです。地方公演に初めて遠征という人もたくさんいたのでは。かくなる私もそうですが、8月1日のNHKホールをベースにマニアックツアーを振り返ります。

ヒット曲をまったくやりません。
ライブハウスでやりたかったが、スタンディングは40代50代にはかわいそう。
ライドンタイムもクリスマスイブもやりません。
短くて12年前、長いと30ん年間やってない曲ばかりです。


おお「あまく危険な香り」も「Music Book」も RCAツアー以来。

演れない曲がたくさんあるんです。
音が厚い曲は再現できない、テープはだめ。
ギター弾きながら歌えない、「Magic Ways」。
録音時のキーの設定ミスもある、声がでなくなったわけじゃない。


といいながら演れるのにステージにかからない「Only With You」。続いてオートハープを奏でながらの「世界の果てまで」。反戦歌でない静かな諦観との「War Song」。アカペラをはさんでフェンダーローズの弾き語りによる「潮騒」のフェイントから「サラリーマンズ・ロンリネス」。ううむ、渋谷のご当地ソングなのか、これぞマニアック。どんどん達郎ミュージックの深層に入っていく。

そしておなじみ感があるも本編では12年ぶりの「Someday」で盛り上げたところで、あの曲が、いやあの事件が、何の前触れもなくやってきました。


燃える夏の陽
窓の彼方で
何も見えずに
はねまわる

思い出はモノクローム
色を点けてくれ
もう一度そばに来て
はなやいてうるわしの Color Girl

「夏の陽」〜「君は天然色」


ここまで大滝さんへの追悼の発言を、頑なとも思えるほどに控えてきた達郎さん。その沈黙をやぶる声の壁。ストレートな大滝詠一代表曲。しかもキーがどちらもDで一緒というのも達郎さんらしい。クリスマスイブの2013ツアーの楽日、1週間後の突然の訃報、ラジオでの沈黙、青純さんの追悼特集、・・・この胸を締めつけられた半年を山下達郎の歌声が一気に解放してくれた。大滝さんの お の字もない追悼。しかし今夜の追悼は、こんなもんだと思ったら大間違いだった。

「Pocket Music」と「Candy」で落ち着きを取り戻して小話も。「渋谷のセンター街で僕だけシャツイン。シャツアウトをまねしたらお腹をこわしてしまった。」

そして舞台は灼熱のエンディングへ。灼熱といいながらも「売れないドサ周りのトラウマ」が演奏されなかった理由であるところの「Silent Screamer」(達郎&小笠原ツインドラム)と「Hot Shot」。そして大団円の「Circus Town」へ。そして「Let's Dance Baby」へ。。。



なんだか うまくいき〜すぎ〜る
今日は夢で見たよな
これはサイダー'74。シュガーベイブで初めて手伝った大滝さんのスタジオレコーディング。

だいだいいろの空の光 からだを白く透き通らせて
大滝詠一ファースト 1曲目。おもい。二人が出会う前。

右手左手合わせて音出る拍手手拍子
福生行きのキップ買って拍手手拍子
福生での生活。ナイアガラムーンからハンドクラッピングルンバ+福生ストラット。

ニコニコ顔 しかめっ面 君はお天気屋さ
笑顔が欲しい 僕の心いつでもきみのもの
ナイアガラカレンダー。コロンビア時代のいい曲側の代表曲。

カナリアンアイランド
カナリアンアイランド
風も動かない
ロンバケ。『For You』とともに永遠にキラキラと。

髪をほどいた君の仕草が
泣いているようで胸が騒ぐよ
これもか。ラス前シングル。まさにベストオブ大滝詠一。

レッツオンドアゲン
あの夏の日の夜
レッツオンドアゲン
あれば半年前
なのにこれかよ、脳天逆落とし。半年前かよ達郎さん、半年前だよ達郎さん(泣き)。

いかすぜ いかすぜ この恋
エルビスエンディング。いつもはロイ・オービソン。今日はイーチ・達郎・プレスリー。以上がLDB2014の折り込みソング集。


しかししかし、これで終わると思ったらまだまだ大間違いが「ココナツ・ホリディ」。達郎&佐橋のツインリード。ぼくは笑ってたか、泣いてたか、その両方同時にかの全部だったよ。こんな曲で泣かせるなんて。ココナツは大滝さんとの初仕事であるはっぴいえんどの解散コンサートの曲であり、ナイアガラトライアングルのヘソの曲。

ナイアガラ音頭でおどりゃんせ なんだかんだ言わずにおどりゃんせ


この流れ、正調 布谷文夫ぢゃないか!!ねえ銀次さん。


マニアックツアーは本当に何かの巡り合わせ。ピットインの空気に大滝詠一が降臨してきて、最後は来年の40周年ツアーの宣伝をしっかりされてしまいました。ありがとう達郎さん。


山下達郎 Maniac Tour Performance 2014, 1 August. NHKホール

  1. SPACE CRUSH (Poppin Time/1978) 33年ぶり3回目
  2. あまく危険な香り (Single/1982) 12年ぶり5回目
  3. 雨の女王 (Poppin Time/1978) 33年ぶり2回目
  4. ピンク・シャドウ (Poppin Time/1978) 33年ぶり2回目
  5. MUSIC BOOK (For You/1982) 12年ぶり3回目
  6. ONLY WITH YOU (Big Wave/1984) 28年ぶり3回目
  7. 世界の果てまで (Single/1995) 今回初演
  8. THE WAR SONG (Pocket Music/1986) 28年ぶり2回目
  9. SPANISH HARLEM (OnSt1/1980) 33年ぶりツアー初
  10. AMAPOLA (OnSt2/1986) 30年ぶり2回目
  11. I LOVE YOU (Big Wave/1984) 30年ぶり2回目
  12. シャンプー (Pocket Music/1986) 26年ぶり6回目
  13. サラリーマンズ・ロンリネス (Cozy/1998) 今回初演
  14. いつか (SOMEDAY) (Ride On Time/1980) 3年ぶり10回目
  15. 夏の陽 (Circus Town/1976) 16年ぶり5回目
  16. POCKET MUSIC (Pocket Music/1986) 26年ぶり3回目
  17. CANDY (Spacy/1977) 12年ぶり3回目
  18. SILENT SCREAMER (Ride On Time/1980) 12年ぶり5回目
  19. HOT SHOT (Moonglow/1979) 35年ぶり2回目
  20. CIRCUS TOWN (Circus Town/1976) 12年ぶり4回目
  21. THE THEME FROM BIG WAVE (Big Wave/1984) 3年ぶり3回目
  22. LET'S DANCE BABY (Go Ahead!/1978) 1年ぶり16回目
  23. ココナツ・ホリディ (ライブ!!はっぴいえんど/1974) Sings SUGAR BABE以来ツアー初
  24. SPARKLE (For You/1982) 1年ぶり11回目
  25. YOUR EYES (For You/1982) 1年ぶり12回目

(サーカスタウン調べ。78年以降のツアーのセットリスト入り回数をカウントしていますが調査継続中。)


(たかはしかつみ)