2014.11.22
もう一度 もう一度
竹内まりや



「もう一度」のまりやさんの歌声には、いまだに甘酸っぱく切ない気持ちにさせられます。

「もう一度」は1984年4月に発表されたアルバム『Variety』の一曲目にして、先行パイロットシングルでした。この曲は結婚休業明けの作品で、その時は休業期間もまりやさんの音楽活動がどうなるかさえも不鮮明でしたので、大きな期待を持ちました。長いブランクと感じていましたが、実際はたったの2年。そして私は大学生になっていました。

切ない気持ちにさせてくれる理由を考えてみました。

タムの単打と飛び出す山下達郎のコーラス、ザクザク切り込む青純、伊藤、難波、達郎のリズム隊、このバンドの頂点の音ですよね。この音が集団で迫ってくるところにこの歌詞です。

夜ごと つのる想いに
胸を熱くした日々


休業前と少し違ったキュートさをたたえるまりやさんの声でこの2行。ただ(このただがくせ者なのですが)、この冒頭の2行のあとにでてくる「ただ」からがややこしくなる。主婦のつぶやき。

この瑞々しい楽曲と希望に満ちたヴォーカルで、倦怠夫婦は変ですよねえ。当時はそうは思いませんでしたし、まりやさんの歌詞のウリの一つがどんどんドロドロしていくとも思っていませんでしたが。

少しだけあなたを
心配させてみたい
輝いていた頃の私に
再び戻って


ここの歌詞はあてつけにも自己愛にもとれるのですが、まりやさんの歌唱で極めてポジティブな夫婦愛に落ち着くのではないでしょうか。再びもどーほってーの歌唱が輝いています。


楽曲は東海岸のバッキングに女声ヴォーカルの Bob Crewe パターンをやりたかった達郎さんの狙いがヒット。先週もラジオで「完全に Four Seasons のパターンで、Tokens と Happenings を振りかけて、Beach Boys をまぶした」とのコメントが30周年記念リイシュー特集で達郎さんからありました。


さて、ちょうど今ごろ広島ではまりやさんの33年ぶりというツアーが始まっているはず。まりやさんは、どんな曲をどのように歌ってくれるのでしょうか。

(たかはしかつみ)




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