2015.02.07
All About That Bass All About That Bass
Meghan Trainor

TITLE (2015)

 2014年から今年にかけてメジャーでのデビュー曲が全米ヒット・チャートをにぎわせ、ブレイクした女性歌手がいます。そして今年度のグラミー賞では、新人の女性歌手でありながら、二つの部門にノミネートされています。
 彼女の名前は Meghan Trainor(メーガン・トレイナー)。
 マサチューセッツに生まれ、現在ナッシュヴィルを本拠地に活動中。プロフィールを見ると、高校生時代からソングライティングのコンテストに優勝し、ナッシュヴィルの音楽出版社とソングライター契約を結び、程なく有名なカントリー系のミュージシャン、バンドへの曲を提供する等、ソングライターとしての才能が認められました。また彼女自身は、ピアノをはじめとして、ギター、ウクレレ等を演奏できるマルチ・プレイヤーでもあり、既にインディーズで2枚のCDを発表しています。
 メジャーでのデビュー曲になった「All About That Bass」は、初めは他の歌手へ提供する歌でしたが、彼女のデモの歌を聴いた Epic Records の社長が気に入り契約を取り付け、彼女のデビュー曲になった経緯があります。
 「All About That Bass」が大ヒットになった要因を見ると、彼女が歌った歌詞の内容にあるのではないでしょうか。少し太った女の子の気持ちをシンプルなベースのリズムで踊りたくなるサウンドにのせ、軽快に歌われたことが支持された理由と感じられます。加えて、サウンド面で懐かしいアメリカのポップスの香るところも要因と感じられます。彼女の少し太めの(失礼)容姿も歌われた歌詞との相乗効果を生み、等身大の若い女の子たちの支持を受けたと感じるのはうがちすぎでしょうか。
 メジャーでのデビュー・アルバム『TITLE』を通して耳にすると、先述したように、懐かしい’60年代のアメリカのポップスの甘ずっぱい香りがちりばめられているのを感じます。たとえば「All About That Bass」のコーラスはドウ・ワップっぽかったり、「Dear Future Husband」のリズムやバック・コーラスは Dion の「Runaround Sue」を連想をさせます(LAタイムスの記事での指摘がありました)。また「Lips Are Movin'」「Walkashame」には、’60年代のガール・ポップのティストを私は感じます。しかも彼女の歌は、懐かしいサウンドにラップほかの新しい音楽の要素が加えられ、歌の共作者である Kevin Kadish 他の複数のプロデューサーと組んだことで、いっそう魅力的になっています。
 Meghan Trainor は、これから、歌唱、ソングライティングの才能をみがくことにより、歌手としてより成長し、ジャケット写真の彼女が着てるファーや口紅のいろいろな色のように、彼女が作る歌、歌唱にいろいろな色彩を彩ってくれることを楽しみつつ、期待したいものです。4月の来日公演が楽しみです。





今日の1曲


(伊東 潔)



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