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Jimmy Weeb による情緒のある1曲

2015.03.22
Never Gonna Lose My Dream Of Love Again

Never Gonna Lose My Dream Of Love Again

Leah Kunkel

I Run With Trouble (1980)

Art GarfunkelはJimmy Webbの作品と相性が良かったのか、彼の作品を好んで取り上げたアーティストでした。アルバム『Watermark』では彼の作品を全面的に取り上げています。そんなトータル・アルバムにコーラスとして参加し、いいアクセントを与えていたのがLeah Kunkel。Mamas & The PapasのCass Elliotの妹にしてドラマーRuss Kunkelの奥さん (この当時は) 。
彼女はRussが参加するセッションを介して、ウエスト・コーストの様々なミュージシャンたちとの交流を持ったようです。そうした繋がりの中からArt Garfunkelとも繋がり、彼に楽曲を提供していたJimmyとも知己を得るようになったのではないかと思われます。

Leahは79年80年と続けて2枚のソロアルバム残していて、その2枚目のアルバム『I Run With Trouble』にJimmyが2曲を提供しています。アルバムの冒頭を飾る「Let’s Begin」と5曲目に収められている「Never Gonna Lose My Dream Of Love Again」がそれ。
プロデュースは自らとHenry Lewyが担当。HenryはStephen Bishopのアルバム制作にも携わっており、バックはTOTOのメンバーを中心に構成されています (先日訃報がもたらされたばかりのMike Porcaroのプレイも聴かれます) 。同じくTOTOを中心としたメンバーで制作されたJimmyの82年のアルバム『Angel Heart』にはLeah やStephenがコーラスで参加していたりしてこのアルバムとの共通点も多く、この時代のウエスト・コースト人脈が窺い知れます。

77年の『Watermark』にはレッキング・クルーの名前も見られますが、Leahの2枚のアルバムや『Angel Heart』では一部メンバーが重複しながらもTOTOやDavid Fosterなど所謂AOR系の若きミュージシャンたちが中心になっていきます。こうして時代は80年代へとスイッチしていくのですね。

JimmyがLeahに提供した2曲はいずれも彼らしい情緒のある作品で、Leahのナチュラルで素直な歌によく合っていると思います。当時、ウエスト・コーストではLinda RonstadtやKarla Bonoff がヒットを放っていたしNicolette LarsonやValerie Carterがキュートな存在感を発揮するなど、実力のある女性シンガーが次々と登場してくる中でシンガーとしての彼女は今一つ地味な存在でした。ソロ名義としては2枚のアルバムを残したきりのようで、Jimmyとのコラボレーションをもう少し聴いてみたかったような気がします。

彼女が表舞台から遠ざかったのは、ことによると早逝したお姉さんの存在と無関係ではなかったのかもしれませんが、いつかまたその穏やかで優しい歌声を聴いてみたいものです。『Watermark』のように全編Jimmyの作品を歌うアルバムなんて素敵だと思うのですが、そうしたリユニオンがどこかで実現するといいですね。



今日の1曲

(Kazumasa Wakimoto)