2015.04.18
Uptown Funk Uptown Funk
Mark Ronson feat. Bruno Mars

Single / Uptown Special (2014)

陽気が良くなってきて いまいちど「Uptown Funk」で盛り上がっています。この気候に合う!

今日の1曲

これだけ売れたので説明は適当にしますが「Uptown Funk」は DJ/プロデューサーとしても活躍の Mark Ronson が、Bruno Mars をヴォーカルにたて製作したシングル。昨冬2014年11月にリリースされ、先週まで Billboard Hot 100 の1位にいました。14週連続1位を記録。

「Uptown Funk」を聴いて改めて気づかされるのは、80年代のオールディーズ性、でも悪くねえ。どうも80年代の音に微妙な違和感を引きずってきたワタクシ。その同じ音をマーク・ロンソンの素直な耳がどうやって聴いていたのかに想いを馳せてみました。

「Uptown Funk」は80年代の音をあれやこれやと下敷きにしていると言われます。The Time だ Zapp だ Gap Band だ、あるいは Duran Duran(Power Station)だのと。ただ、これらをあえてサンプリング手法を使わずにバンドとスタジオワークで昇華している。マーク自身、とことん好きで聴いてきた感じがします。ちなみにアルバムも Style Council の曲々の間に80年代の JB とか、80年代のスティービーがはさまってるような感じ。

マーク・ロンソンは1975年にロンドンで生まれました。1980年は5歳なのか。どっからファンクにのめり込んだのか。1983年に彼は母親とニューヨークに移ります。母親が Foreigner の Mick Jones と再婚するため。NY ではマンハッタンのアッパーイーストに住んでいたといいますが、1983年のフォリナーというと『Foreigner IV』と「I Wanna Know What Love Is」の間くらいですから、世界一売れてた義父さんのうちに放り込まれた多感なロンドンっ子ということでしょうか。ちなみにフォリナーは良くも悪くも産業ロックの中心でしたので、マーク少年が父の音楽をどう思っていたのか。「Uptown Funk」から聴こえる80年代の音は、70年代に成熟したファンクの音が80年代の打込みサウンドで進化したのか退化したのか、どちらとも言えるような音。ワタクシは当時それについて行けなかったし、マーク少年は興奮していた。

さて、ポール先生が来日します。またこの話しですみません。Paul McCartney の現在の『Out There』ツアーは2013年の初夏から始まって足掛け3年。日本にはとても残念な理由で3年連続2回目(笑い)の来日公演となります。このツアーに彩りをつけたのが、ツアー初年10月に発表された新譜『NEW』。このタイトルでパイロットシングル「NEW」をプロデュースしたのが、マーク・ロンソンです。ビートリーサウンドを小粋に再生したマークは、ポール先生の大復活劇の恩人の一人といえます。しかしこれはマークからポールへの恩返しなのです。

マーク・ロンソンは小さい頃、海で溺れかけて、なんとポール先生に助けてもらったことがあります。場所はNYのロングアイランドというので、NYに移った1983年以降になりますが、助けられた本人は全く記憶にない、お母さんのほら話と思っていた。覚えていないなら低学年、ですから8歳で移住した1983年直後のことでしょう。マークの家はマンハッタンで(同じ街区で Sean Lennon がヨーコと住んでいた)、ロングアイランドに海水浴によく出かけていたらしい。一方ポール先生はロングアイランドのハンプトンズに別荘を持っていて、リンダとよく夏休みを過ごしていたそうで、ポールとマークの母親は海辺の散歩友達だったといいます。「NEW」のプロデュースはそんなマークからポールへの恩返しなのです。その「NEW」を初めて耳にしたのが2013年11月の日本のオーディエンスでしたのも忘れられないこと。

さて、今日のもう一曲。ポール先生の「No More Lonely Nights (Play Out Version)」です。1984年ポール先生主演の映画『ヤア!ブロードストリート』の主題曲のエンディングテーマ。映画はとても微妙でしたが、ポール先生は当時は出せば売れていたので(この年まではですが・・)、マーク少年もサントラを耳にし、もしかしたらお母さんと映画を見に行ったかもしれません(Tracey Ullman も出てたし)。この曲にすごく「Uptown Funk」を感じるのです。この安っぽい打ち込み、その割にキレのいいホーン。これにもし Nile Rodgers 風のカッティングでも入っていればばっちりでは?

今日のもう1曲

海に落ちて何かを感じたマーク・ロンソン少年が、ポール先生の ださ愛おしい80年代サウンドを聴いて目覚めた!?

「Uptown Funk」を聴きながらポール先生の来日を心待ちにしています。

(たかはしかつみ)




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