2015.06.28 - Star Song Special | ||
Stardust
Nat King Cole Love Is The Thing (1957) |
||
「人生で一番好きな曲は?」と聞かれたら迷わずNat King Coleの「Stardust」と答えることにしています。いつ頃からそうしていたかは覚えていませんが、確か20代の初めくらい。そんな早い時期から人生の一曲を決めてしまうなんて浅はかでしかありませんが、まぁそれくらいの決定打だったのでしょう。今でもこの気持ちは変わりません。
高校に入ったばかりの時に、父親の書斎にあるレコード棚からNat King Coleのベスト盤(東芝の赤盤)を引き抜いて、こっそりと聴いたことがあります。同じく父親が持っていたペレス・プラードやミッチ・ミラー楽団のレコードよりも、Nat King Coleの優しいヴォーカルは確実に心に響きました。でもまだどこかピンと来ず。それから数年後、CMで流れてきた時に衝撃を受けました。まさしく星くずが降ってくるような流麗なストリングス、Coleの優しく語るようなヴァース、そしてサビの“Sometimes I wonder 〜”で身体がふわりと浮くような気持ち良さに悶絶したのです。アクロバティックに上下する難解なメロディラインが気に入ったのか、ゴードン・ジェンキンスのロマンティックなオーケストレーションにやられたのか、ウォーム&テンダーなColeのヴォーカルに痺れたのか? おそらく全てだったのでしょう。それからは父親のベスト盤を毎日聴きました。ちなみに、この時に見たCMは確かエステか何かのCMで、女性が夏の夕暮れ時の浜辺に座っているような映像でした。その映像が曲と素晴らしいマッチングを見せ、それ以来、個人的に「Stardust」は夕暮れの浜辺で聴くものとなりました。(しかしあのCMは何だったのか、現在調べても全く分からず。同時期にトヨタのカリーナEDのCMソングとして使われたそうですが、それは全く覚えていない…)
ちょうどその頃の夏、TBSで『モナリザたちの冒険』というドラマが始まります。湘南に住む保育園の保母(大竹しのぶ)が市議会議員選挙に出馬する顛末を描いたドラマでしたが、その物語の中で、海辺でバーを営む役所広司がNat King Coleの「Mona Lisa」をかけるシーンがちょくちょくありました。海辺の夜のバーで聴く「Mona Lisa」と、夕暮れの浜辺で聴く「Stardust」。この2大イメージのおかげで「Nat King Coleの曲は夏に海辺で聴くもの」と完璧にインプットされてしまいました。おかげでこの歳になっても夕暮れの海辺の散歩にはColeのヴォーカルが欠かせません。そして今年も「Stardust」の似合う夏がもうすぐです。
追記:この曲のことを調べていたら、Hoagy Carmichaelが元カノのことを慕って曲を書いたのが1927年、Mitchell Parishが「星くず」な詞を付けたのがその2年後だと判明。つまり楽曲として誕生したのが1929年で、それは自分の父親が生まれた年だと気付きました。Nat King Coleと「Stardust」を教えてくれた父に改めて感謝したいです。
今日の1曲