2015.07.04 - Star Song Special | ||
Starlight
Electric Light Orchestra Out of the Blue (1977) |
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星の歌特集をやるということで何を取り上げようかといろいろと想を練っていました。星だったら宇宙というのも題材になるかな、宇宙ものだったらELOなんてどうかなあ、と考えていたその矢先に長岡秀星さんの訃報に接しました。何という偶然、何というタイミング。これはやっぱりELOを取り上げなければ。
ELO、Electric Light Orchestra。彼らのキャリアの中でも絶頂期の1977年にリリースされた『Out of the Blue』という2枚組のアルバムで長崎県出身の画家、長岡秀星さんがジャケット・デザインを担当しました。
漆黒の闇に浮かぶ色鮮やかな宇宙船。ヴィヴィッドなコントラストの美しいジャケットです。CDショップでも思わず手に取って見てしまうほど目を引くデザインですが、77年にLPでリリースされた時にはもっとインパクトのあるジャケットだったのではないでしょうか。
インナー・スリーヴではその宇宙船の操縦室と思しき室内が描かれているのですが、そこにはELOの面々がいて、これもまた想像を掻き立てられるサイエンス・フィクションです。
直接的に宇宙を想起させる内容の曲はあまり入っていませんが、このアルバムのツアーでは大掛かりな宇宙船をセットとして持ち込んでライブを行っています。それだけアートワークがこのアルバムに与えたコンセプトには大きな影響があったのだと思います。
ストリングスやシンセサイザーを多用したスケールの大きな作品の数々。ポップでメロディアスだけれども、全編に漂うどことなくスペイシーな雰囲気はアルバムのすべての作品を作曲しプロデュースしたJeff Lynneだからこそ醸し出すことができたというか、彼ならではの統一感という趣です。宇宙船のコンセプトと見事に融合していて、このアルバムはELO全盛期の傑作との評価がうなずけるほど、どこから聞き始めてもすんなりと入ってきます。
「Starlight」は“君の声”や“君の瞳”を星の光になぞらえたラブ・ソング。このアルバムからは数々のヒット・シングルが生まれましたが、こんな箸休め的なチャーミングな小品からもJeff Lynneのメロディーメーカーとしての類いまれなる才能の一端が伺えます。
長岡さんはELO以外にも一連のEW&Fのアルバムでのスフィンクスと宇宙を融合させた作品もよく知られていて、LP時代のアルバム・アートワークの世界でも一時代を築いたアーティストです。
この美しくも緻密な長岡さんのジャケットを眺めながら、ELOの奏でるポップ・シンフォニーを聴いていると、改めて日本人の持つ細やかで繊細な技能に誇らしい気持ちがしてきます。長岡秀星さんのご冥福をお祈りいたします。
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