2015.07.28
あつさのせい あつさのせい
大瀧詠一

大瀧詠一 (1972)

前回の「夏なんです」の時に、ごく一部から大瀧さんがいないじゃないかという声があったので、では大瀧さんに登場願いましょう。

今日の1曲

この酷暑にぴったりの雰囲気が出ていませんか。身体がもぬけの殻になって八つ当たりしたり、イザコザをおこしたり、変テコな感じになったりして・・・。この暑さは人心を乱れさせますね(笑)。

それにしてもの大瀧節です。「あつさでのぼせ上った」という冒頭の歌詞は“のぼせがった”と歌われるし、「八つ当たりのし通し」は“やつ/あたり/のしどおし”という譜割りになるのでちゃんと歌詞を見ていないと何を歌っているのか分からなかったりするのです。これぞまさに大瀧さん。

それから、シンガーズ・スリーのソウルフルなコーラスがフィーチャーされているのもこの曲の大きな特徴。ロックンロールのコーラスとしてシンガーズ・スリーが起用された最初期の作品ではないでしょうか、ちゃんと調べたわけではないけど・・・。

「夏なんです」は長閑な懐かしい田舎の夏でした。松本隆さんは東京の生まれなのに何でこんなに田舎の土の香り漂う歌が書けたんだろうなんて思いながら、大瀧さんの作詞になるこの「あつさのせい」を聴いてみると、この二つの夏を歌った曲には共通点があることが分かります。

ギンギンギラギラでホーシーツクツクのモンモンモコモコな夏に日傘をくるくる回す退屈なぼく。

ウロウロ、フラフラと身体はもぬけのカラになりソワソワと落ち着かなくてスカッとしないぼく。

どちらの曲もオノマトペを多用することで、“夏の暑さがどうにも所在をなくして漂う陽炎のような僕たち”というのを見事に描き切っていませんか。

そういえば今日は大瀧さんの誕生日ですね。僕の誕生日と一日違いなので大瀧詠一さんの誕生日は忘れないのです。

(Kazumasa Wakimoto)




Copyright (c) circustown.net