2015.12.05 - Songwriter | ||
Put A Little Love Away
Dennis Lambert [Songwriter] (1972) |
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【Lambert-Potter ABC-Dunhill 西海岸編】
Lambert-Potter の続きです。
Dennis Lambert と Brian Potter は1969年に会ったことになっていますが、Dennis Lambert は1960年中頃にイギリスのビートバンド、The Nashville Teens や Freddie and the Dreamers に Lou Courtney との共作で、楽曲を提供しているので、その録音においてイギリスで既に Brian Potter と会い、旧知の仲だったのかも知れません。Brian Potter も Dee Graham との共作で The Nashville Teens に楽曲提供しています。
Dennis Lambert の友人でテレビショーのプロデューサーであった Steve Binder という人が西海岸ロサンゼルスで T.A. Records という小さなレコードレーベルを作ります。1969年、Steve Binder は Dennis Lambert にその T.A. Records でレコード制作をしないかと誘い、Dennis Lambert はそれを受け、ニューヨークを離れて Brian Potter と一緒に西海岸でレコード制作を開始します。
そのマイナーな T.A. Records で Lambert-Potter が担当したのが、カナダ出身のグループ、The Original Caste というグループでした。そこでシングル "One Tin Soldier"(邦題「天使の兵隊」)、"Mr.Monday" をリリース。この2曲、アメリカでは殆どヒットしなかったのですが、日本では何故か深夜放送で火が付き、大ヒットに繋がります。少なくともこの時期は、Lambert-Potter の世の中の知名度はアメリカよりも日本の方が高かったと思います。
T.A. Records では自身のデビュー・シングルとなる "I'm Coming Back" を Denny Lambert 名義でリリース(1969年)。The Original Caste 以外に Country Store といった比較的知名度の低いグループを担当していきます。
1971年、その T.A. Records での実績をみた Dunhill Records のSteve Barri は2人に声をかけ、Lambert-Potter はメジャーのABC-Dunhill Records でのレコード制作を開始します。そこで担当したのは、The Grass Roots、Hamilton、Joe Frank & Reynolds、Tony Orlando And Dawn、Dusty Springfield、そして Motown から移籍したばかりの Four Tops といった大物も含まれていました。それらの仕事で Lambert-Potter は名実共に人気ソングライターチームとしてアメリカ全土に知れ渡るようになります。1972年には自身の初ソロアルバムを Dunhill Records から『Bags & Things』をリリース。
また Capitol Records でも ソウルグループの Tavares、Glen Campbell などのレコードを制作。特に1975年、Larry Weiss が書いた Glen Campbell の "Rhinestone Cowboy" はプロデュースを Lambert-Potter が担当し、その年のアメリカ全米 No.1の大ヒットに繋がりました Dennis Lambert と Larry Weiss はニューヨーク時代に共作曲もあり、旧知の仲だったようです。
1975年には Capitol Records 傘下で、自身のレーベル Haven Records を立ち上げ、Dunhill Records から移籍した The Grass Roots、The Righteous Brothers、Evie Sands などのレコードを制作しています。
ここでは ABC-Dunhill 時代で僕が好きな Lambert-Potter 作品の中でも日頃あまり耳にしない作品を聴いていきたいと思います。
If That's The Way You Want It (Brian Potter-Dennis Lambert) / Skylark (1973)
カナダ出身の Skylark。若き David Foster が在籍したグループで有名です。1974年に Tavares も取り上げていますがどちらがオリジナルか不明。後半部分の David Foster であろうアナログ・シンセサイザーが斬新です。 それにしても Lambert-Potter はカナダのグループと縁がありますね。
Rose By Any Other Name (Dennis Lambert-Brian Potter) / Den Mother (1971)
1971年、ABCからリリース。Lambert-Potter らしい前向きな明るい曲調です。アレンジは Dennis Lambert と Jimmie Haskell。ABC-Dunhill 時代の初期のストリングス等のアレンジは Jimmie Haskell と組むケースが多いです。グループ、Den Mother はついては詳細不明。
If Only You Believe (Dennis Lambert-Brian Potter) / The Free Movement (1972)
西海岸のボーカルグループ、The Free Movement に提供した楽曲。冒頭が素晴らしいストリングス・アレンジは Jimmie Haskell。これも2人らしい爽やかな曲です。
Gonna Be Alright Now (Dennis Lambert-Brian Potter) / Gayle McCormick (1971)
ここから女性が歌ったスロー・ミディアム調の曲を3曲程。まず、西海岸のグループ、Smith に在籍していた Gayle McCormick。Lambert-Potter プロデュースでソロ・デビューです。Lambert-Potter はこういったスロー・ミディアム調も素晴らしいですね。それが僕が好きな所以の1つです。
Mama's Little Girl (Dennis Lambert-Brian Potter) / Dusty Springfield (1973)
イギリスの歌姫、Dusty Springfield の ABC-Dunhill 時代は全面的に Lambert-Potter が手掛けました。Barbara Acklin "Am I The Same Girl" に似た雰囲気の可愛らしい1曲。そう言えば、Dusty Springfield も "Am I The Same Girl" を歌っていましたね。
Put A Little Love Away (Dennis Lambert-Brian Potter) / Sergio Mendes & Brasil '77 (1972)
Lambert-Potter が残した素敵なバラード。同年に Four Tops も取り上げていますので、Four Tops の方がオリジナルだと思います。その後、Maureen McGovern や The Emotions などが取り上げています。Sergio Mendes & Brasil '66 は1970年代になると Sergio Mendes & Brasil '77 とグループ名を変え、A&M Records から Bell Records に移籍、Bones Howe がプロデューサーに付き再出発しました。この頃に加入したボーカル、 Bonnie Bowden という女性、いい声していますね。
以降、最終回【Lambert-Potter ブラック・ミュージック編】に続きます。
(P.S.あの曲がない、あのグループがない!とかいろいろお叱りあると思いますが、"私家版"ということでご了承くださ〜い)