2016.02.14
Heaven Must Be Missing An Angel Heaven Must Be Missing An Angel
Tavares

Sky High ! (1976)

ディスコ特集、Van McCoyで西から東に行きましたがまた西に戻って。ディスコ特集をやるにあたって最初に思い浮かんだのがこのジャケットでした。”ディスコ天国”Tavares。

昔から兄弟グループというのはたくさんいました。ソウルの世界でもJackson5やIsley Brothersなどが有名ですが、このTavaresも兄弟グループ。Tavaresというのは彼らの姓から取られたグループ名で、兄弟5人のヴォーカル・グループでした。73年にデビューし、4枚目のこの『Sky-High!』で大ブレイクを果たします。

プロデューサーはモータウンで初期のJackson5やSpinnersでも大ヒットを放ったFreddie Perrenが手掛けました。モータウン人脈でドラムがJames Gadson、ベースはScott Edwardsが担当。一定のリズムの上に流麗なストリングスやホーンを配しているところはやはりフィリーからの影響を大きく受けたディスコ・サウンド。同じ時期のVan McCoyBarry Whiteがフィリー・ダンサーのスタイルをうまく取り入れた手法と同じです。「Heaven Must Be Missing An Angel」は「ダンス天国」として日本でも大ヒットしました。当時ディスコでどういう曲がパワープレイされていたのかがよく分かるような気がします。

しかし、ディスコのヒット・アルバムというだけではなく、彼ら兄弟が奏でるコーラス・グループとしてのハーモニーも聴きどころの一つだと思います。ミディアム・テンポのバラード「Ridin’ High」はファルセットのリード・ヴォーカルと兄弟のユニゾンのコーラスが呼応しあう気持ちのいいハーモニー。フィラデルフィア・ソウルを彷彿とさせる「Guiding Star」あたりも地味ですがいい曲です。

ディスコというのはここから先、”サタデーナイト・フィーバー”の爆発的ヒットによって白人マーケットや不思議なオリエンタル趣味(日本もそうですが)みたいなものを巻き込みながら、なんだかへんてこりんな方向に向かっていきます。ダンスが諧謔的な要素を持っている以上仕方のないことなのかもしれませんが・・・。
ソウル・ミュージックがディスコでかかるダンス・ミュージックとして最も機能していたのはこの76〜7年ぐらいまででしょうか。いずれにせよディスコとしてのヒット曲としてだけではなく良質なソウル・ミュージックとしても鑑賞できるのがこの頃のサウンドの素晴らしいところです。



今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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