2016.12.17 - Xmas Special | ||
Little Drummer Boy
Bob Dylan Christmas in the Heart (2009) |
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話題のこの人もクリスマス・アルバムを出していますのでまず1曲。
Must Be Santa / Bob Dylan (2009)
Bob Dylan のクリスマス・アルバム『Christmas in the Heart』は2009年に発表されました。ボブはこのアルバムをアメリカでの飢餓への募金のために企画しています。収録15曲は、どれも誰もが一度は耳にしたクリスマス・スタンダードと賛美歌。(山下家的におなじみな)"O' Come All Ye Faithful" "Have Yourself a Merry Little Christmas" "The Christmas Song" なども歌われています。紹介した "Must Be Santa" は一番ロックっぽい(というかドイツ民謡)ですが、他の曲はもっとコテコテにクリスマスです。鈴の音・弦・女性コーラス必要なもの全部入りです。
さて、ディランがノーベル賞を受賞しました。ディランおめでとう。本当にもらうのか?来るのか来ないのか?と色々物議をかもしましたが、結局授賞式には参加せず、受賞メッセージがスウェーデン駐在米大使により代読されました。このメッセージが非常に興味深いので一部を引用してみます。なお、ディランは賞への経緯や自分の心境に関して丁寧な説明をしていますので是非全文を読んでいただければと思います。全文は こちら (NME Japan) にあります。下記邦訳の引用も同サイトからです。
受賞の知らせを聞いた時、私はツアーに出ていました。ちゃんと受け止めるのにしばらく時間がかかりました。私は偉大な文学家、ウィリアム・シェイクスピアについて考え始めました。彼は自分のことを劇作家と考えていたのだと私は思っています。彼は自分が文学を書いているんだという意識はまったく頭になかったでしょう。彼は演劇のために言葉を書いていたのです。つまり話されるもので、読まれるものではなかったのです。彼が『ハムレット』を書いている時、彼はいろんなことを考えていたと私は確信しています。『この役に合う役者は誰だろう?』、『これはどうやってステージにすべきか?』、『デンマークを舞台にしたいのか?』など。彼のクリエイティヴなヴィジョンや野望は、間違いなく彼の念頭にあったものでしょう。でも、考えたり、対処しなければならない世俗的な事柄もあったと思うのです。『資金の手当ては大丈夫なのか?』とか、『自分のパトロンにちゃんとした席はあるのか?』とか、『骸骨はどこで手に入るのか?』とか、そういうものです。『これが文学か?』という問いは彼の意識のなかで最も遠いところにあったと私は思っています。
(略)
ぜひお伝えしておきたいことがあります。ミュージシャンとして私は5万人の前でプレイしたこともありますが、50人の前でプレイする方がもっと難しいのです。5万人の観衆はひとつの人格として扱うことができますが、50人の場合はそうはいきません。個々人が独立したアイデンティティを持ち、自分自身の世界を持ち、こちらの物事に向き合う態度や才能の高さ低さを見抜かれてしまうのです。ノーベル委員会が少人数で構成されている意義を、私はよく理解できます。
私もシェイクスピアのようにクリエイティヴな試みを追求しながらも、「この曲にはどのミュージシャンが合っているか? レコーディングはこのスタジオでいいのか? この曲はこのキーでいいのか?」などという、避けて通れぬ人生のあらゆる俗的な問題と向き合っています。400年経っても変わらないものはあるのです。
Peace on Earth/Little Drummer Boy David Bowie and Bing Crosby Single (1982) | ||