2017.01.09 | ||
Time Is On My Side
Irma Thomas Single (1964) |
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新作『Blue & Lonesome』が好調な Rolling Stones ですが、この曲はかれらのアメリカ上陸の大事な一手でした。
Time Is On My Side / The Rolling Stones (1964)
ストーンズは Ed Sullivan Show への初出演時、Chuck Berry の "Around And Around" と、この "Time Is On My Side" を演奏しています。そして "Time Is On My Side" は彼らの初の全米 TOP 10 ヒットに輝きました。個人的にこの曲を知ったのは1983年のストーンズのツアー映画だったので、彼らのオリジナルだと思っていました。ミックに本当にぴったりな曲なのです。
"Time Is On My Side" は、元々はソングライターの Jerry Ragovoy が友人のジャズ・トロンボーン奏者である、Kai Winding に書いたものでした。Verve records からです。
Time Is On My Side / Kai Winding (1963)
歌と歌詞がコーラス部分しかない半インストなのですが、そのコーラスを歌っていたのは Cissy Houston、Dionne Warwick、Dee Dee Warwick の親戚トリオだったそうです。良い出来ですが、ヒットはしませんでした。
その曲をカバーしたのが、いまやニューオーリンズを代表する歌手である、Irma Thomas です。Imperial records から。
Time Is On My Side / Irma Thomas (1964)
どうでしょう、もう圧巻のパフォーマンス。しかしこの曲はB面曲としてリリースされたのでこちらもヒットには至らず、有名になるにはストーンズのカバーを待ちます。ちなみにアーマ・トーマスは Minit から Imperial に(おそらくレーベルごと)移籍して来て "Time Is On My Side" の前作からヒットチャートに記録が残っています。ついでに前作のこれまたB面を聞いてみましょう。
Break-a-way / Irma Thomas (1964)
これまたどうでしょうか?これも結局は英国の Tracey Ullman で大ヒットとなるのですが、すばらしい。今日の耳では "Break-a-way" も "Time Is On My Side" も優れた選曲・演奏としかいいようがありません。これらがB面だったのはセンスがあったのか、なかったのか?これらの考証は当時の売れ線常識とセットで考えないとなかなか正しいところがわからないかもしれません。
さて話を "Time Is On My Side" に戻しますと、アーマのカバーがあり、それがストーンズに流れます。この間たったの3ヶ月。リリースは、オリジナルが1963年の10月で、アーマが1964年6月、ストーンズがその9月です。このスピード。ニューヨークのジャズから、ニューオーリンズの若き歌姫に流れて、それを英国の若者たちがヒットさせる。それがストーンズを米国のスターへ導くのです。ネットもない時代に、大西洋を挟んだこのダイナミックな音のやりとり。でも、この曲の良さがそれをさせたのでしょうか。
この曲については以前達郎さんも特集で大きく紹介していました。
Jerry Ragovoy (ジェリー・ラゴヴォイ) 特集
サーカスタウンでも Jerry Ragovoy について取り上げています(アンジーの叔父さんであるところの Chip Taylor)
Chip Taylor - Songwriter