2017.06.27 - Songwriter | ||
The Rain, The Park & Other Things
Artie Kornfeld-Steve Duboff [Songwriter] (1967) |
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(2017年6月25日SSB「雨で棚からひとつかみ」で、The Cowsills "The Rain, The Park & Other Things" がかかりましたので。)
Songwriterシリーズ、今回は Artie Kornfeld-Steve Duboff チームを取り上げます。
Artie Kornfeld は後述しますが、60年代末に起きたロック界の大きなムーブメントに深く関わった人なので語られる機会の多い人です。今回は相棒の Steve Duboff も一緒に取り上げていきたいと思います。
まずは Artie Kornfeld から。
Artie Kornfield は1942年、ニューヨーク、ブルックリン生まれ。1960年代初期は西海岸で活動したと思われ、Jan & Dean の Jan Berry との共作曲を数曲残しています。The Angels "I Adore Him"、Jan & Dean "Dead Man's Curve" 等です。Jan Berry 以外にも Marcie Blane、The Shirelles、The Cookies 等でクレジットを見つけることができます。たぶん、多くは作詞でのクレジットだと思われます。
続いて、Steve Duboff について。
Steve Duboff は1941年生まれで、1960年代前期には The Routeens、The Emeralds といったガールグループでクレジットを見つけることができます。
Artie Kornfeld と Steve Duboff は録音スタジオで出会い、The Changin' Times というグループを結成します。このグループは Bob Dylan を意識したグループで歌唱方法も Bob Dylan そっくり。1965年に "Pied Piper" というシングルをリリース。このナンバーをイギリスの Crispian St. Peters という人がカバーしヒット、アメリカ国内でも Del Shannon、Sonny & Cher の Cher、などが取り上げ、当時のヒッピー、フラワー・ムーブメントに影響を与えていきます。
また同時に ソングライターチームとしても活動を開始、Reparata And The Delrons、The Turtles、Tokens といったグループに楽曲を提供していくようになります。
1967年、ロードアイランド州ニューポート出身のファミリーグループ、The Cowsills が Philips Records から MGM Records に移籍し、Artie Kornfeld と Steve Duboff は全面的に、The Cowsills を手掛けていくようになります。1967年にリリースした シングル "The Rain, the Park & Other Things" は Billboard Hot 100 の2位のヒットとなります。
1969年になると2人はチームを解消。Steve Duboff はその後も Ringo Starr 等に楽曲提供していきます。一方、Artie Kornfeld は友人の Michael Lang と一緒に1969年8月15日から17日まで開催された歴史的なイベントである ウッドストック・フェスティバルの発起人となります。Artie Kornfield は曲通りに、ウッドストックへの案内人 = Pied Piper となりました。
Did You Ever Love A Guy (Steve Duboff) / The Emeralds (1964)
1964年、Jubilee Records からリリースされたガールグループ、The Emeralds の提供した Steve Duboff 単独クレジット作品。まだ Artie Kornfeld と出会う前の作品です。エンジニアのクレジットに後にプロデューサーとなる Brooks Arthur の名前が見つかります。
Pied Piper (Artie Kornfeld-Steve Duboff) / The Changin' Times (1965)
How Is The Air Up There? (Artie Kornfeld-Steve Duboff) / Changin' Times (1965-TV)
元々、"Pied Piper" は他のミュージシャンのためのデモとして録音されたものでしたが、Screen-Gems Columbia のマネージャー・チーム、Charles Koppelman-Don Rubin が彼らの知らないうちに The Changin' Times というグループ名をつけてシングル・リリースしたものでした。"Pied Piper" とは「ハーメルンの笛吹き男」のこと。数年後にウッドストック・フェスティバルでこの楽曲の通り、若者を引率、解放するとは夢にも思ってなかったでしょう。
笛吹き男を印象付ける冒頭のフルートは Artie Kaplan が吹いているそうです。彼らが出演したテレビ・ライブの模様と一緒に。
I Can Tell (Artie Kornfeld-Steve Duboff) / Lesley Gore (1965)
この曲は同年、Reparata And The Delrons に提供した曲で、Lesley Gore のバージョンはそのカバーだと思われます。今回の歌唱力のある Lesley Gore のバージョンを。
Don't Cry Sing Along With The Music (Artie Kornfeld-Steve Duboff) / The Tokens (1966)
1966年、B.T. Puppy Records からリリースされた、The Tokens に提供した曲。A面は "I Hear Trumpets Blow" 。アレンジは Gorgoni、Martin And Taylor の Tarade Martin が担当しています。The Tokens の優れたボーカルワークもあって、心地よい曲です。
We Can Fly (Cowsill-Cowsill-Artie Kornfeld-Steve Duboff) / The Cowsills (1967)
1967年、Artie Kornfeld-Steve Duboff が全面的に手掛けた The Cowsills に提供したメンバーとの共作曲です。アレンジを担当したのは Frankie Valli "Can't Take My Eyes Off You" 等を手掛けた、Artie Schroeck 。爽快感ある曲に仕上がっています。
The Rain, The Park & Other Things / The Cowsills (1967)
1967年、"We Can Fly" に続いて、The Cowsills 提供したシングル。Billboard Hot 100 の2位、日本でも『雨に消えた初恋』の邦題でヒットしました。家族兄弟による声質が似ているコーラスがとても心地よいです。
アレンジを担当したのは、Jimmy Wisner。Jimmy Wisner は クレジットで Jimmy "Wiz" Wisner と記述されることが多く、まったく、このアレンジは魔法使い=Wizard のような素晴らしい出来です。
今回は Original Mono 45 Single Version を。
*写真は The Changin' Times(左が Artie Kornfeld、右が Steve Duboff)