2017.06.30 - Songwriter
Ebb Tide Ebb Tide
Robert Maxwell [Songwriter]

(1953)

Songwriterシリーズ、今回は目先をちょっと変えて、ちょっと一世代前の人ですが、主に1950年代に活躍した Robert Maxwell を取り上げたいと思います。

Robert Maxwell はハープ奏者で、職業作曲家ではありませんが、"Ebb Tide"(邦題「引き潮」)、そして "Shangri-La" を作曲したことで名を後世に残した人です。今回はこの2曲に限って、歌唱ありなし等織り交ぜて、聴き比べをしていきたいと思います。まずは簡単な経歴から。

Robert Maxwell は1921年ニューヨーク生まれ、2012年に他界。10代の頃からハープ演奏を始め、その腕前で奨学金を授与され、ジュリアード音楽院で多くの音楽理論を学んだとのこと。Robert Maxwell は古典的な楽器であるハープの演奏について革新的に新しい奏法を次々と開発したそうです。

1940年中期辺りからレコードをリリースし始め、1953年にはシングル "Ebb Tide" をリリース。波の音を聴きながらメロディが頭に浮かんだそうです。翌年の Frank Chacksfield のバージョンが広く世の中に知られるようになります。この楽曲を取り上げた オーケストラは数知れず。ボーカル・バージョンでは1965年に、The Righteous Brothers が取り上げ、これが Phil Spector の Philles Records の殆ど最終的な作品となりました。

"Shangri-La" は1946年に作られた楽曲で、(共作者である) Matty Malneck & Robert Maxwell の名義でシングル・リリースされました。
"Shangri-La" とは"理想郷"のことで、James Hilton の小説「失われた地平線」(Lost Horizon)からきています。


まずは "Ebb Tide" の聴き比べを。

Ebb Tide (Robert Maxwell) / Robert Maxwell (1953)

1953年リリースのオリジナル盤は、オーケストラではなく、Robert Maxwel のハープ演奏で展開されています。Robert Maxwell がハープの名手だとよくわかります。


Ebb Tide (Robert Maxwell) / Robert Maxwell, His Harp And Orchestra

その後、いくつかのバージョンがリリースされますが、聴き馴染みがあるのはこのオーケストラ・バージョンだと思います。録音時期が明確ではありませんが、1950年代後期のものだと思われます。静かな夕暮れの岸辺のイメージ。雰囲気ありますね。


Ebb Tide (Robert Maxwell-Carl Sigman) / Matt Monro (1967)

数ある中でボーカル・バージョンは、1967年リリースのアルバム『Yesterday 』収録のイギリスのシンガー、Matt Monro 歌唱のものを選びました。落ち着いた大人のボーカルが心地いいです。


続いて "Shangri-La" を。

Shangri La (Robert Maxwell-Matty Malneck) / Jackie Gleason & His Orchestra (1954)

オーケストラ・バージョンは Jackie Gleason のバージョンを。しっとりとしてムードありますね。Jackie Gleason は俳優が本職。1961年映画『ハスラー』(原題: The Hustler)のミネソタ・ファッツ役が有名です。


Shangri La (Robert Maxwell-Matty Malneck-Carl Sigman) / The Royalettes (1966)

ボーカル・バージョンは1966年、 The Royalettesのアルバム『The Elegant Sound Of The Royalettes』収録のものを。プロデュースとアレンジは、Teddy Randazzo が担当。いい選曲、いいアレンジです。

夏はもう、そこまで来ています。

(富田英伸)




Copyright (c) circustown.net