2017.08.04 - Songwriter | ||
Under The Boardwalk
Kenny Young [Songwriter] (1964) |
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Songwriterシリーズ、今回は Kenny Young を取り上げます。
Kenny Young は Artie Resnick との共作で、 The Drifters の1964年の大ヒット曲、"Under the Boardwalk" の作者の1人。しかしその後の作り出す音楽スタイルは大きく変化した人です。これまであまり語られる機会が少ない人でまだ謎も多い人。チームとして活躍した Artie Resnick についても一部触れていきます。
Kenny Young はイスラエル出身ですが、ニューヨークで育ったようです。幼い頃からピアノに触れて育ちました。1963年から1965年にかけて、MGM Records や Atco Records で自身のシングルをリリース。その頃、ブリル・ビルディングで、Artie Resnick と出会い、ガールシンガー、ガール・グループなどに Artie Resnick とのチームで楽曲を書くようになります。
1964年に 名門の The Drifters に "Under the Boardwalk" を提供。プロデュースには Bert Berns が就きました。その後、多くのミュージシャンがこの曲を取り上げ、ロックンロール・クラシックとなります。
1965年には Herman's Hermits がリリースした、"Just A Little Bit Better" が Billboard Hot 100 の7位のヒット、イギリス含めヨーロッパでもヒットとなりました。
1960年中期は多くの楽曲を書き、特にガール、シンガー、ガール・グループを多く手がけました。その一部を挙げると、The Charmettes、Merry Clayton、Sally And The Roses、Bernadette Peters、The Sapphires、Reparata And The Delrons 等々。
またイギリスのビートグループへの楽曲提供も多く、Herman's Hermits を始め、
The Swinging Blue Jeans、The Searchers なども Kenny Young の楽曲を取り上げています。
1970年代に入ると、イギリスに渡り、Fox、Yellow Dog といったバンドを結成して活動。その後は自然環境保護を目的に音楽活動を行うようになります。
1981年の Quincy Jones のヒット曲、"Ai No Corrida"(愛のコリーダ) (Chaz Jankel-Kenny Young)に作曲クレジットされている人物とは、同一人物のようです。
一方、Artie Resnick は1965年、ソングライター、Rudy Clark との共作で、 The Olympics に "Good Lovin'"を提供。翌年、The Young Rascals が取り上げヒットさせます。その後、奥さんの Kris Resnick、バブルガム・ポップスのプロデューサーとして知られる Joey Levine と The Third Rail というバンドを結成。作家としても、Ohio Express などに楽曲を提供していくようになります。
今回は Kenny Young-Artie Resnick チームの作品を中心に1960年代の作品を聴いていきたいと思います。
Please Don't Kiss Me Again (Kenny Young) / The Charmettes (1963)
Kenny Young が最初期に手がけた作品。1963年に KAPP Records からリリースした Phil Spector を意識した典型的なガールグループ・サウンドです。
Under The Boardwalk (Artie Resnick-Kenny Young) / The Drifters (1964)
1964年、Atlantic Rocords からリリースされたロックンロール・クラシック。日本でも邦題「渚のボードウォーク」で広く知られており、多くのミュージシャンに愛されました。The Drifters には同年、"I've Got Sand In My Shoes" という曲も提供。まだ若い2人にとって The Drifters への楽曲提供は大抜擢だったと思います。
Just A Little Bit Better (Kenny Young) / Herman's Hermits (1965)
Just A Little Bit Better (Kenny Young) / Kenny Young (1965)
前述の通り、Herman's Hermits のバージョンはヨーロッパ全域でヒットしました。プロデュースは Mickie Most が担当。同年リリースされた Kenny Young 自身のバージョンも併せて一緒に。
We'll Start The Party Again (Artie Resnick-Kenny Young) / Bernadette Peters (1965)
後にミュージカル女優になる Bernadette Peters に提供した曲。プロデュースも Artie Resnick-Kenny Young チームが行っています。これも典型的なガール・サウンドです。
Evil One (Artie Resnick-Kenny Young) / The Sapphires (1965)
Jerry Ross のプロダクションへ提供した楽曲を。女性1人、男性2人の The Sapphires へ提供した楽曲。Joe Renzetti のアレンジが冴えています。
Arizona (Kenny Young) / Mark Lindsay (1969)
Silver Bird (Kenny Young) / Mark Lindsay (1970)
1960年後期には Columbia Records のプロデューサー Jerry Fuller も Kenny Young の楽曲を取り上げます。Mark Lindsay に提供した2曲を。
いずれも Kenny Young 単独クレジット作品です。
Artie Butler のアレンジが楽曲のいい部分をしっかりと引き出しています。
Under the Boardwalk (Artie Resnick-Kenny Young) / Kenny Young
最後に、最近の Kenny Young の姿を。自身の歌唱による "Under the Boardwalk" です。Kenny Young さん、とてもいい声していますね。