2017.08.27 | ||
Girls On The Beach
The Beach Boys All Summer Long (1964) |
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雨がちだった東京の夏も終わりに差し掛かってきて、その名残を惜しむかのような暑さがいっとき戻ってきています。
晩秋や春の卒業式のシーズンも寂しさを感じますが、僕は一年の中でこの夏の終わりが一番物悲しい季節だと思います。大はしゃぎした宴の後の空虚な感じに似ていますね。宴が楽しければ楽しいほど時間は流れるように過ぎていく。あれだけ賑わっていた浜辺もやがて誰もいなくなる。夏は短くて刹那でだからその終わりは一層寂しいのかもしれない。
とりわけ今年の東日本の夏は雨が多くて、スカッとした天気が数えるほどしかないうちに、早くも立秋を迎えてしまったので、例年以上に夏の終わりにしんみりしてしまうのかもしれません。
・・・なのに、行ってしまったはずなのに、意表をついて角を引き返して戻ってくる・・・。
誰もいなくなった浜辺で、しまいかけたビーチパラソルをもう一度開いてみると、あのハーモニーが蘇ってきます。そして、そのハーモニーは数ある彼らの美しい作品たちのなかで僕にとってはやはりこれでなくてはいけないと思うのです。「Girls On The Beach」。
中学3年の時に初めて小遣いで買った彼らのアルバムが『All Summer Long』でした。ほどなくしてリバイバルで観た映画“アメリカン・グラフィティ”のエンディングで流れたのがこのアルバムに収められていた「All Summer Long」。若者たちの、ひと夏の終わり≒青春の終わり、のように感じられたからでしょうか。The Beach Boysの曲は、夏の真っ盛りに聴くよりも晩夏のこの季節のほうがふさわしいような気がずっとしていました。
ボーダーのシャツを着て浜辺で戯れる彼らのひと夏を切り取ったコラージュのようなジャケット写真も、いずれ終わりゆく夏の雰囲気を伝えていたように思います。
湿気をはらんで少し重たくなった潮風は、倍音の揺らぎが紡ぎ出す彼らの甘いハーモニーと不思議に溶け合っていきます。
今年も夏が終わりますね。
今日の1曲