2018.01.17
Portrait Portrait
高野寛

Everything Is Good (2017)

 昨年(2017年)の私のお気に入りのアルバムの中の1枚を紹介します。それは高野寛さんのアルバムの『Everthing Is Good』です。
 お恥ずかしながら、私は、高野さんの歌をそれほど熱心に聴いていませんでしたが、彼の音楽活動についてはSNS等を通じて見聞きしてきました。余談になりますが、以前、高野寛さん、畠山美由紀さん、おおはた雄一さんの三人一緒のライブをビルボードライブ東京で見ました。
 ご承知のとおり、高野寛さんは、今年(2018年)デビュー30周年を迎える男性シンガー・ソングライターであり、また、今まで多くの歌手の歌のアレンジやサウンドプロデュースをつとめる「ポップスの職人」のひとりという評言は大げさでしょうか。最近では、のんさんのシングル盤の作曲ほかを担当したことが記憶に新しいです。
 デビュー30周年を迎える今年、芝居で言えば導入部のようなミニ・アルバムが昨年リリースされた『Everthing is Good』です。
 このアルバムの内容は、新曲7曲にボーナストラック5曲、そのボーナス・トラックが前述した新曲のプロトタイプ(原型)やカセット・デモほかというもので、聴く者の心をくすぐる内容ではないでしょうか。そして、このアルバムは、聴く者にとって高野さんのそれぞれの歌が完成されるまでの創作過程をまじかで見るような楽しみがあります。また、高野さんのミュージシャンとしての音楽に臨むアプローチの仕方にも興味を覚えさせます。
 それらのことをうかがえる一面として、このアルバムで、私が特に好きな歌の「Potrait」を聴いてみましょう。過ぎ去った恋愛模様を「Portrait」に託したラヴ・ソングといったら単純すぎるでしょうか。
 この「Portrait」では、前述したように、デモ音源と本編と比較すると、以下のような歌詞の異同があります。
 本編では
 @「サヨナラさえ言えずに/泣き顔さえ見せずに/今もこの手の中で笑う/君のポートレイト」
 A「2月の夜に/震えてたね/まるで迷子のいるかみたいに」
 B「ひび割れた画面/指でなぞって/破れた言の葉を/探した」
 C「愛し合うことの意味も/わからないままで/傷つけて」
デモでは
 @Bは同じ、
 A「時は早くて/記憶の隅に/トラウマさえも/隠してしまう」
 C「戻らない日々は/今も/美しく見える/幻」
 また。サウンド面でもデモではスリー・ピースのリズムを土台にしたラフな演奏で歌われますが、本編ではポップなサウンドで高野さんの歌が映えています(作詞ほかについては、「高野寛のNote」の「Everything Is Goodのまつわる100の事柄」で彼自身が語っていますので、参照していただくとうれしいです)。
 遅まきながら、昨年、私にとって「高野寛ファン暦元年」になりました。2月の最新アルバムのリリース、30周年のライブほかが予定されています。まだファンほやほやの私ですが、高野寛さんの歌とともに今年は過ごす年になりそうです。

『Everything is Good』 trailer : 高野寛

(伊東 潔)




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