2018.04.25 - Songwriter
Downtown Downtown
Tony Hatch - Songwriter

(1964)

Songwriterシリーズ、
Tony Hatch の第2回目です。

今回は 一番、Tony Hatch と関わった Petula Clark について取り上げてみたいと思います。

イギリスのシンガー、Petula Clark は1932年生まれで、9才の頃からラジオ等に出演していたそうです。レコードデビューは1949年頃、かなり早くから活動していたシンガーでした。1961年にリリースした "Sailor" が UK Singles Chart の1位を記録。フランス人と結婚した Petula Clark はそのフランスを初め、ヨーロッパ各国でもシングルをリリース、国際的に人気歌手となります。
その時にプロデュースを行っていたのが、Alan A. Freeman という人で、その頃から既に Tony Hatch は Alan A. Freeman のアシストを行っていたそうです。

Tony Hatch が Petula Clark に初めて提供した曲は、1963年、Mark Anthony 名義で書いた "Valentino" という曲。Tony Hatch はプロデューサー Alan A. Freeman から引き継いで、正式に Petula Clark のレコードプロデューサーとなります。

翌年の1964年、Tony Hatch は Petula Clark の次回のシングル制作の題材を見つけるために、初めて渡米、ニューヨークを訪れます。そこでセントラルパーク、ブロードウェイ、タイムズスクエアの景色、そして煌びやかな街のネオンサインにインスパイアされ、生まれた曲が "Downtown" でした。

帰国後、秋に多くの管弦奏者、ミュージシャンが招集され、Pye Recording Studios で録音が開始。リリースされたシングルは UK Singles Charts の2位。US Billboard Hot 100 で1位、ゴールドディスクとなります。

その後、Petula Clark は Tony Hatch プロデュースの下、"I Know a Place" (1965)、"My Love" (1965)、"I Couldn't Live Without Your Love" (1966) など、次々とヒット曲が生まれ、彼女にとって黄金期を迎えます。

今回は Tony Hatch にとって最も成功した Petula Clark に提供した楽曲を聴いていきたいと思います。


Downtown (Tony Hatch) / Petula Clark (1964)

街の素晴らしさを歌い上げ、多くの人に愛された都市賛歌。Pye Recording Studios での録音に招集されたミュージシャンにはギターリスト Jimmy Page などもいたそうです。バックボーカルを担当したのは The Breakaways です。


I Know a Place (Tony Hatch) / Petula Clark (1965)

1965年、"Downtown" に続くシングル。Petula Clark の一連のシングルはアメリカでは大手の Warner Bros.Records が配給し、アメリカでもヒットとなります。またVogue Records からはフランス語盤等もリリース、そのため世界的なヒットに繋がりました。


My love (Tony Hatch) / Petula Clark (1965)

1965年リリース作品。イギリスのみならず、Billboard Hot 100 でも1位を記録。録音はロサンジェルスの Western Studios で行われました。演奏はいわゆる
The Wrecking Crew と言われたミュージシャン達です。


Music (Tony Hatch) / Petula Clark (1965)

"Downtown" が"街"の素晴らしさと謳ったすれば、この曲は"音楽"そのものに深い愛情を込めた賛歌。Richard Rodgers が作り出すようなミュージカル音楽にも通ずるメロディライン。大好きな1曲です。


Call Me (Tony Hatch) / Petula Clark (1965)

Call Me (Tony Hatch) / Donna Loren (1965)

Call Me (Tony Hatch) / Chris Montez (1966)

人気曲、"Call Me" の聴き比べを。
初出は1965年、Petula Clark のアルバム『I Know a Place』(イギリスでは『The New Petula Clark Album』)に収録。
いち早くカバーしたのは、女優でシンガーの Donna Loren。Steve Douglas プロデュース、Jack Nitzsche がアレンジを担当しました。Donna Loren はプロデューサー Lenny Waronker の元奥さんだった人です。
翌年、Chris Montez 盤がリリースされます。プロデュースとアレンジはA&M Records のオーナー、Herp Albert。さてどれがお好みでしょうか?


I Couldn't Live Without Your Love (Tony Hatch-Jackie Trent) / Petula Clark (1966)

1966年、Tony Hatch-Jackie Trent 夫妻による作品。UK Singles Chart 6位、 Billboard Hot 100 9位を記録。盛り上がる力強いサウンドに気持ちも高揚します。


第3回に続く

(富田英伸)

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