2019.04.30 - Magic Voice | ||
Vanity
Sue Allen (1951) |
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Magic Voicesシリーズ、
今回は Sue Allen という女性シンガーを取り上げてみたいと思います。
Sue Allen はスタジオコーラス・シンガーの草分け的存在の女性です。基本パートはソプラノです。詳細なバイオ等は不明ですが、1940年代にはレコーディング記録があります。ピアニスト、ジャズ歌手、作曲家の Mel Tormé が1944年に結成した Mel Tormé and His Mel-Tones に途中参加したようです。1959年のアルバム『Back In Town』で名前がクレジットに確認できます。Mel-Tones のボーカルメンバーには "Quiet Village" などの作曲で知られる作曲家、コンダクターの Les Baxter が在籍しており、その Les Baxter がリーダーアルバムを制作するようになると、Sue Allen をメインボーカルに起用するようになります。また後にスターシンガーとなる Jo Stafford や Frank Sinatra が在籍したことで知られる The Pied Pipers にも参加していたようです。
1954年には Jerry Leiber-Mike Stoller の最初期のヒットである "(Bazoom) I Need Your Lovin'." のヒットを持つ The Cheers に参加。この曲はシングルチャート3位を記録しました。The Cheers のメンバーには Perry Botkin Jr. とのチームで知られる Gil Garfield も在籍していました。
1963年には西海岸のアレンジャー集団で結成されたボーカルグループ、The Singers Inc を結成。メンバーは先の Perry Botkin Jr、George Tipton、 Ian Freebairn-Smith、Jimmy Bryant、そして紅一点、Sue Allen です。同年、アルバム『Bossa Nova』を残しました。1960年代は西海岸で制作された数多くのレコーディングに参加したようです。この時代のレコーディングは殆どバックボーカルのクレジットが残されていないのがとても残念です。同時期、グループ参加としては Ray Conniff And The Singers, The California Dreamers にも在籍していました。
1966年に映画『ロシュフォールの恋人たち』(原題:THE YOUNG GIRLS OF ROCHEFORT、1966)の英語版が制作されました。その時、姉の Solange 役、フランソワーズ・ドルレアック(Françoise Dorléac)の声をアテたのが Sue Allen でした。Jackie Ward の項を参照ください。
1970年代に入ってもスタジオのコーラスワークを続け、Paul Johnson Voices 、1977年に結成されたスタジオユニット、Tuxedo Junction でもSue Allen もその名前を見つけることができます。
1940年代から1970年代まで長きに渡って活動された Sue Allen さん、その一部ではありますが、レコードに刻まれたその声を聴いていきたいと思います。
Do It Again (Gershwin-DeSylva) / Billy Butterfield With Sue Allen vocal (1945)
Sue Allen の最初期のレコーディング作品と思われます。シングル盤の記載は Billy Butterfield And His Orchestra となって、小さめに "Vocal by Sue Allen と記載されています。この頃はこういう形でいろいろな楽団に参加していたようです。とても素直な歌唱、多くの楽団に好まれた声だったのでしょう。
Vanity (Guy Wood-Jack Manus-Bernard Bierman) / Les Baxter His Chorus and Ochestra With Sue Allen (1951)
You'll Know (Harold Adamson-Jimmy McHugh) / Les Baxter His Chorus and Ochestra With Sue Allen (1951)
Mel Tormé with The Mel-Tones で一緒に歌っていた Les Baxter のオーケストラの作品から2曲。Sue Allen の絹のようにしなやかなボーカルが魅力的です。前者のクレジットは "Vocal by Sue Allen and Baxter Chorus" となっており、Sue Allen はLes Baxter の作品には欠かせない存在だったと思います。
I've Never Been in Love Before(Frank Loesser) / Mel Tormé with The Mel-Tones (1959)
Mel Tormé with The Mel-Tones に参加していた頃の作品から。アレンジ、ピアノ、セレステは Marty Paich。途中のテナーサックスは Art Pepper。技巧的なコーラスですが、Sue Allen は正確にこなしています。
Once In A While (Bud Green- Michael Edwards) / Les Baxter and His Orchestra and Singers (1961)
1960年代の作品。Les Baxter の1961年リリースのアルバム『Voices In Rhythm』から。この頃はバックボーカルのクレジットが記載されていませんが、 Sue Allen が参加していると思います。素敵な演奏とコーラスに夢心地です。
Liebestraum / The Singers Inc. (1963)
1963年には西海岸のアレンジャー集団で結成されたボーカルグループ、The Singers Inc のアルバム『Bossa Nova』から。当時流行り出したボサノバを取り上げた作品となっています。Gold Star Studios で録音、Variant Records からリリースされました。メンバーは以下の通り。
Perry Botkin Jr、
George Tipton、
Ian Freebairn-Smith、
Jimmy Bryant、
Sue Allen
Only One Life (Christiansen-Dunlop) / Paul Johnson Singers (1978)
1970年代、Paul Johnson Singers に参加していた作品を1曲。西海岸の活躍していたボーカリストが一斉参加している曲です。それは楽しいレコーディングだったことでしょう。溌溂とした曲です。
Sue Allen's 90th Birthday Party
最後に Sue Allen さんの90才の誕生日の様子を。残念ながら Sue Allen さんの声は聴くことができませんが、楽しいパーティの様子が伝わってきます。Sue Allenさんがそのコーラスを見守ってる姿がとても素敵です。Sue Allenさん、ほんとに長きに渡って、"声"でレコーディング・スタジオを支え、多くの歌の仲間、スタジオの仲間、そしてミュージシャン達に愛された方なんだと思います。