2019.06.18 - Cinema Music Composers | ||
Walk On The Wild Side
Elmer Bernstein (1962) |
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Cinema Music Composers シリーズ、
Elmer Bernstein を取り上げたいと思います。今回も2回に分け取り上げていきます。
Elmer Bernstein は職業映画音楽家として150本以上の映画音楽を担当した人ですが、今回は Elmer Bernstein が遺した有名な楽曲に加え、普段聴く機会の少ない楽曲も交えて書いていきたいと思います。
Elmer Bernstein は1922年、ニューヨーク生まれ。10代の頃は役者としてブロードウェイの舞台に立ったこともあったそうです。しかし Elmer Bernstein の興味はクラシック音楽で、ピアニストとして練習を積むことになります。第2次大戦の頃は空軍のためのラジオショーやドラマのために音楽をつける仕事に就いていたとのこと。戦後、ブロードウェイのリハーサル・ピアニストの仕事を得ます。その時、知り合ったのが、同じリハーサル・ピアニストの同業者で、ダニー・ケイ(Danny Kaye)の妻である Sylvia Fine でした。後述しますが、Sylvia Fine とは後に共作曲もあります。
1950年代入ると Elmer Bernstein は東海岸から西海岸に移り住み、映画音楽の仕事に就くようになります。最初に手がけた作品は1951年公開のフットボールを題材にした映画『Saturday's Hero』でした。その後、いくつかの作品を手掛けた後、1955年に『黄金の腕』(The Man with the Golden Arm)の音楽を担当します。これは映画音楽として本格的にモダン・ジャズを取り入れた先駆けとなった作品となり、この作品によって Elmer Bernstein の名は映画界に広く知れ渡ることになります。
次回へ続く。
Elmer Bernstein はとにかく作品数が多いので、網羅することは叶わず、一部を触れるだけになります。今回は初期に手掛けた映画音楽を中心に聴いていきたいと思います。
Main Title" From "Walk On The Wild Side" / Elmer Bernstein (1962)
Walk on the Wild Side (Elmer Bernstein-Mack David) / Brook Benton (1962)
まずはこの曲を。1962年公開の映画『荒野を歩け』(Walk On The Wild Side)のメインタイトル曲。Elmer Bernstein ならではのモダン・ジャズの要素がある力強いメロディ。ソウル・バス(Saul Bass)によるモノクロ・タイトルバックも素晴らしい。何度見ても痺れます。挿入歌は詞を Mack David(作詞家、Hal David の兄)が付け、Brook Benton が歌いました。1962年シングルリリースのこのバージョンは Stan Applebaum がアレンジを担当しました。映画の方はアメリカ南部を舞台にした恋愛ものです。
Opening Title From "To Kill A Mockingbird" / Elmer Bernstein (1962)
Kill A Mockingbird Suite (Elmer Bernstein) / Sara Andon, flute (2014)
1963年公開の映画『アラバマ物語』(To Kill A Mockingbird)からオープニング・タイトル曲。ここではフルートをフィーチャーした Elmer Bernstein の繊細なメロディを聴くことができます。このタイトルバックも素晴らしいです。2014年のASCAP 100th Anniversary Gala のコンサート模様も素晴らしいので合わせて。映画はアメリカ南部における人種問題を扱った映画でしたが、その出来事を子ども達の目線で丁寧に描き、心にじっと染み入る作品でした。
Love Me True From "Cast A Giant Shadow" (Elmer Bernstein-Ernie Sheldon) / Elmer Bernstein (1966)
Love Me True From "Cast A Giant Shadow" (Elmer Bernstein-Ernie Sheldon) / Jane Morgan (1966)
うって変わってロマンチックなナンバーを。1966年公開の映画『巨大なる戦場』(Cast A Giant Shadow)から。そのラブテーマです。同年、Jane Morgan が同曲を歌いました。Elmer Bernstein の楽曲の幅広さを伺い知ることができます。映画の方はユダヤ独立運動に携わったアメリカ軍人の物語でした。
Monique's Theme From ""Kings Go Forth" / Elmer Bernstein (1958)
Monique Song From "Kings Go Forth" (Elmer Bernstein-Sammy Cahn) Frank Sinatra (1958)
遡って1950年代の作品を。1958年公開の『最后の接吻』(Kings Go Forth)からの曲。しっとりとしたナンバーです。主演はフランク・シナトラ(Frank Sinatra)、ナタリー・ウッド(Natalie Wood)、トニー・カーティス(Tony Curtis)。その主演のフランク・シナトラが歌いシングルがリリースされました。コンダクターは Felix Slatkin。
"Main Title" From "The Man With The Golden Arm" / Elmer Bernstein (1956)
Delilah Jones (Elmer Bernstein-Sylvia Fine) / The McGuire Sisters (1956)
最後に出世作となったこの曲を。1956年公開の映画『黄金の腕』(The Man With The Golden Arm)からタイトルバック。有名すぎる曲ですが、高らかに鳴り響くホーン、モダン・ジャズのリズム、当時は斬新だったと思います。ソウル・バスのタイトルバックも潔く格好いいです。同年、かつてリハーサル・ピアニストの同僚だった Sylvia Fine (後のダニー・ケイの奥さん)が詩を付けて、"Delilah Jones" のタイトルで The McGuire Sisters が歌いました。