2019.06.26 - Cinema Music Composers | ||
Love with the Proper Stranger
Elmer Bernstein (1964) |
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Cinema Music Composers シリーズ、
Elmer Bernstein の続きです。
出世作となった作品、『黄金の腕』(The Man With The Golden Arm)の評判により、Elmer Bernstein には大作映画の音楽依頼も舞い込むようになります。
1958年公開の巨匠、セシル・B・デミル(Cecil B. DeMille)監督の史劇大作『十戒』(Ten Commandments)の音楽を担当。今までにない荘厳なスコアを残します。
1960年代になると売れっ子人気映画音楽家となり、年間3本〜4本ペースで、精力的に映画に音楽を付けていきます。代表的な作品は1961年公開の映画『荒野の七人』(The Magnificent Seven)、1963年公開『大脱走』(The Great Escape)等々、誰もが口ずさむことができるテーマ曲です。
1970年代も西部劇、アクション、サスペンスと作品は幅広く、またテレビ映画の劇判も手掛けていきました。1980年代以降も多くの作品に携わりました。特に映画監督、ジョン・ランディス(John Landis)と親交深く、彼の作品にも多くのスコアを提供。マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督が撮る重厚な映画を手掛ける一方、SF映画や1984年公開の映画『ゴーストバスターズ』(Ghostbusters)といった映画も手掛けました。映画『ウエスト・サイド物語』(West Side Story、1961)の音楽でも知られる作曲家、指揮者の Leonard Bernstein とは遠戚関係はないですが、2人は若い頃からの友人だったそうです。Elmer Bernstein は生涯現役を貫き、2004年に他界しました。
Elmer Bernstein の代表作と言えば、『大脱走』、そして『荒野の七人』が有名ですが、あらゆるジャンル、様々なスタイルで幅広い作風を擁した作曲家でした。第2回目はそういった側面から聴いてみたいと思います。
Opening Title From "Love with the Proper Stranger" / Elmer Bernstein(1964)
Love with the Proper Stranger(Johnny Mercer-Elmer Bernstein) / Jack Jones(1964)
1964年公開の映画『マンハッタン物語』(Love with the Proper Stranger)からのタイトルバック。今までにないしっとりとしたロマンチックな曲。挿入歌は Johnny Mercer が詩をつけ、Jack Jones が歌いました。映画は前年公開の『アラバマ物語』(To Kill A Mockingbird、1963)のアラン・J・パクラ(Alan J. Pakula)制作、ロバート・マリガン(Robert Mulligan)監督による恋愛もの。
Park Scene From "The World of Henry Orient" / Elmer Bernstein(1964)
1964年公開の映画『マリアンの友だち』(The World of Henry Orient)の1シーンより。2人の女の子が秋のセントラルパーク、ニューヨーク界隈を走り抜けます。スローモーションを使って、音楽もこのシーンにぴったり。快活な2人の心象風景を表しています。映画はそんな空想好きの2人に振り回されるピアニスト、ピーター・セラーズ(Peter Sellers)のコメディ映画。ジョージ・ロイ・ヒル監督の(George Roy Hill)の初期の作品。
Wishing Doll from "Hawaii"(Elmer Bernstein-Mack David) / Julie Andrews(1966)
The Wishing Doll(Elmer Bernstein-Mack David) / Jackie DeShannon(1967)
1966年公開の映画『ハワイ』(Hawaii)より。観てわかる通り、この "Wishing Doll" の歌はジュリー・アンドリュース(Julie Andrews)がさわりだけ歌うだけでちょっとしか登場しません。翌年、Jackie DeShannon がこの曲を取り上げました。アレンジは George Tipton が担当しています。映画は1800年初頭、アメリカの宣教師が布教のため、ハワイに移住、古い因習や習慣を変えていこうとする話。これもジョージ・ロイ・ヒル監督作品です。
I Love You Alice B Toklas(Larry Tucker-Paul Mazursky-Elmer Bernstein) / The Blades Of Grass(1968)
I Love You Alice B Toklas(Larry Tucker-Paul Mazursky-Elmer Bernstein) / Harpers Bizarre (1968)
1969年公開の映画『太ももに蝶』(I Love You, Alice B. Toklas)の挿入歌で、The Blades Of Grass というニュージャージー出身のグループが歌いました。かなりサイケ色が強い作品。同年、Harpers Bizarre が取り上げました。Harpers Bizarre のバージョンはアレンジを Bob Thompson が手掛けましたが、その Bob Thompson は映画『太ももに蝶』にもアレンジャーとして参加しているようです。映画はピーター・セラーズ主演のヒッピー・コメディ。この詩も書いているポール・マザースキー(Paul Mazursky)はこれが初脚本となります。
True Grit(Don Black−Elmer Bernstein) / Glen Campbell(1969)
1969年公開の西部劇『勇気ある追跡』(True Grit)の主題歌。映画にも出演した Glen Campbell が歌いました。シングル盤は Al De Lory がアレンジを担当。後半部のストリングスが素晴らしいです。西部劇が廃れつつある時代の作品ですが、主演のジョン・ウェイン(John Wayne)はこの作品で念願のアカデミー主演男優賞を受賞しました。
Wherever Love Takes Me From "Gold" (Don Black−Elmer Bernstein) / Maureen McGovern(1974)
この曲はイギリスで製作されたパニック映画『ゴールド』(Gold、1974)の挿入歌。グライダーによる空撮シーンで流れたと記憶しています。しっとりとしたラブソングで昔から気に入っている1曲。その年のアカデミー歌曲賞にノミネートされたようです。したがって1974年に Maureen McGovern が歌った歌は『タワーリング・インフェルノ』"We May Never Love Like This Again" とこの『ゴールド』"Wherever Love Takes Me! の2曲がノミネートされたことになります。
The Magnificent Seven Theme / Elmer Bernstein(1961)
皆さんご存知のこの曲を最後に。1961年公開の映画『荒野の七人』(The Magnificent Seven)のサウンドトラックより。何度聴いても勇気湧いてくる旋律です!