2019.07.11 - Cinema Music Composers
		Pure Imagination Anthony Newley (1971)

Cinema Music Composers シリーズ、
今回は Anthony Newley を取り上げたいと思います。

Anthony Newley はミュージカルや映画で知られるイギリスの俳優ですが、作曲者としても才能があった方です。今回は Anthony Newley がミュージカルのために書き下ろした楽曲を中心に見ていきたいと思います。

Anthony Newley は1931年ロンドン生まれ。12、13才の頃から子役として映画に出演していました。1959年にロックンロールと兵役を題材したイギリス映画『IDOL ON PARADE』に出演。Anthony Newley が作曲した "Idle Rock-A-Boogie" と "I've Waited So Long" がその映画の挿入歌となってこれがシングルデビューとなります。

1960年代になると、イギリス出身の作曲家で作詞家である Leslie Bricusse と出会い、2人で1961年にミュージカル『Stop the World - I Want to Get Off』を作り上げます。このミュージカルから生まれたナンバー、"What Kind of Fool Am I" は、Sammy Davis Jr.、Vic Damone、Shirley Bassey、Andy Williams、James Brown といった歌手が歌い、1963年グラミー賞 "Song of the Year" に輝きます。またこのミュージカルに出演した Anthony Newley はトニー賞最優秀主演俳優にノミネートされました。

その後、Leslie Bricusse と共同で、ミュージカル『The Roar of the Greasepaint - The Smell of the Crowd』(1965)、ロアルド・ダール (Roald Dahl) 原作の映画『夢のチョコレート工場』（原題:Willy Wonka & the Chocolate Factory、1971）を作り上げます。そこから多くの歌手達が Anthony Newley が作った楽曲を愛し、歌い続けました。

また Anthony Newley は俳優として、映画『ドリトル先生不思議な旅』（原題:Doctor Dolittle、1967）や映画『今宵かぎりの恋』（原題:Sweet November、1968）に出演。テレビショーなどで歌っていましたが、1999年に旅立ちました。

Anthony Newley が書いてきた楽曲を聴いていきたいと思います。盟友 Leslie Bricusse は映画『ドリトル先生不思議な旅』（1967）、映画『クリスマス・キャロル』（原題：Scrooge、1970）では作曲も手掛けていますが、Anthony Newley と組んだ場合は作詞に回っています。


Feeling Good (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Nina Simone (1965)

ミュージカル『The Roar of the Greasepaint - The Smell of the Crowd』(1965) からの楽曲。孤高のピアニスト、ジャズシンガーの Nina Simone がアルバム『I Put a Spell on You』で取り上げました。 Nina Simone が歌ったことでこの曲は John Coltrane、Stanley Turrentine などが演奏し、ジャズ・スタンダード・ナンバーとなります。


What Kind of Fool am I (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Sammy Davis Jr. (1961)

Anthony Newley の代表曲の１つ。1961年のミュージカル『Stop the World - I Want to Get Off』からの曲です。この Sammy Davis Jr. のバージョンは Billboard Hot 100 の17位となり、前述の通り、1963年グラミー賞に輝きます。アレンジとコンダクトは Marty Paich。


Once in a Lifetime (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Sammy Davis Jr. (1961)

同じく、ミュージカル『Stop the World - I Want to Get Off』からの曲です。
収録アルバムである『Sammy Davis Jr. Sings What Kind Of Fool Am I And Other Show-Stoppers 』(1961) は Anthony Newley の楽曲を中心に制作されたアルバム。Sammy Davis Jr. は Anthony Newley の楽曲の良き体現者でした。後に2人はテレビショーなどで共演し、交流を深めます。


The Joker (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Sergio Mendes & Brasil '66 (1966)

この曲は元々はミュージカル『The Roar Of The Greasepaint - The Smell Of The Crowd 』(1965) のために書かれた曲で、同年、Anthony Newley が歌いました。翌年、Sergio Mendes & Brasil '66 が取り上げ、広く知られるようになります。


Sweet November Theme (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Anthony Newley (1968)

1968年、Anthony Newley 主演の映画『今宵かぎりの恋』（1968）のテーマソング。アレンジを手掛けたのはこの映画の劇判を手掛けた Michel Legrand。ロマンティックなラブソングです。


Pure Imagination (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Anthony Newley (1971)

ミュージカル映画『夢のチョコレート工場』のために作られた楽曲。映画の中では主演のジーン・ワイルダー（Gene Wilder）が歌いました。この Anthony Newley 自身が歌ったバージョンはアメリカ西海岸で録音されたもので、プロデュースは Michael Lloyd、アレンジは Al Capps が施しています。この曲は2018年公開の映画『レディ・プレイヤー１』（原題：READY PLAYER ONE）のエンディングにも使われました。


Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me) (Anthony Newley-Leslie Bricusse) / Anthony Newley & Barbra Streisand (2016)

この曲もミュージカル『The Roar Of The Greasepaint - The Smell Of The Crowd』のために書かれた曲。Anthony Newley は1999年に亡くなってしまいましたが、2016年に過去の音源を使って Barbra Streisand が Anthony Newley とデュエットしました。こうやって過去の音源が蘇り、聴き継がれるのは素晴らしいことだと思います。