2019.10.09 - Cinema Music Composers | ||
Where Do I Go From Here
Paul Williams (1972) |
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Cinema Music Composers シリーズ、
今回は Paul Williams を取り上げたいと思います。
シンガーソングライターそして俳優としても著名な Paul Williams。また、ソングライター、Roger Nichols や Kenny Ascher の楽曲の作詞者としても多くの優れた楽曲を書きました。今回は映画人、Paul Williams が関わった映画音楽に焦点を当ててみたいと思います。
Paul Williams は1940年、オクラホマ州ネブラスカで生まれました。3人男兄弟で、弟は Dobie Gray の"Drift Away" 作者で知られる Mentor Williams です。1960年後期にロサンゼルスでシンガーソングライターの Biff Rose と出会い、2人で芸能の道に進みます。1966年には映画『逃亡地帯』(THE CHASE)に出演しています。1968年に Biff Rose はアルバムをリリースし、"Fill Your Heart" という曲を共作しています。
その同じ1968年にソングライターの Roger Nichols と出会い、Paul Williams が作詞に回り、一緒に楽曲を制作するようになります。1969年には Reprise Records からシングル、"So Many People / To Put Up With You" をリリース。1970年にはソロアルバム『Someday Man』をリリースします。2人が作った楽曲は "We've Only Just Begun"、"Rainy Days and Mondays" など Carpenters を始め、多くのミュージシャンに愛されていきます。
1970年代に入ると作詞のみならず、本格的に作曲も手掛け、Three Dog Night "An Old Fashioned Love Song" など大ヒットが生まれます。1971年リリースのセカンドアルバム『An Old Fashioned Love Song』以降のソロアルバムでは、Paul Williams 単独のクレジット曲も多くなっていきます。
1970年代、Paul Williams は俳優業を再開し、『最後の猿の惑星』(BATTLE FOR THE PLANET OF THE APES、1973)で猿のヴァージル役で出演。そして、『ファントム・オブ・パラダイス』(PHANTOM OF THE PARADISE、1974)でスワン役を演じます。この『ファントム・オブ・パラダイス』で Paul Williams が音楽を全面的に手掛け、それがきっかけで、映画音楽にも携わるようになります。主な作品を挙げると、『ダウンタウン物語』(BUGSY MALONE、1976)、『スター誕生』(A STAR IS BORN、1976)などがあります。
Paul Williams が映画に関わった楽曲を聴いていきたいと思います。
Where Do I Go from Here(Paul Williams) / Paul Williams(1972)
1974年制作の映画『サンダーボルト』(THUNDERBOLT AND LIGHTFOOT)で使われたナンバー。2人の男の奇妙な友情を描いた犯罪ロードムービー。映画製作は主演のクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)のプロダクション、マルパソ・カンパニーで、前作『ダーティハリー2』(MAGNUM FORCE)での脚本を書いたマイケル・チミノ(Michael Cimino)を監督として抜擢したのが、クリント・イーストウッドだったと伝えられています。これがマイケル・チミノの監督デビュー作品となります。
この曲は元々、Paul Williams の1972年のセカンドアルバム『Life Goes On』に収録されていたナンバーです。この曲も音楽にも精通していたクリント・イーストウッド自身が抜擢した可能性が高いと思っています。僕はこの映画を観て、Paul Williams の存在を知りました。
Where Do I Go from Here(Paul Williams) / Michael McDonald(1972)
Where Do I Go from Here(Paul Williams) / Elvis Presley(1973)
先のナンバーのカバーを2つ。1972年に、後に Doobie Brothers やソロミュージシャンとして活躍する Michael McDonald がこの曲を録音しています。まだ Steely Dan のバックメンバーとして評価される前のことだと思います。1973年に Elvis Presley もアルバム『Elvis』で取り上げていますので、これも合わせて。
Faust (Swan)(Paul Williams) From "Phantom of the Paradise" / Paul Williams(1974)
1974年制作のミュージカル映画『ファントム・オブ・パラダイス』(PHANTOM OF THE PARADISE)。レコード業界を背景にゲーテの『ファウスト』の要素を取り入れ、『オペラの怪人』をロック・ミュージカル化した作品。ブライアン・デ・パルマ(Brian De Palma)監督の出世作となりました。Paul Williams は音楽プロデューサー社長、怪人スワンを演じています。このスワンは脚本段階では "Spectre" となっており、プロデューサー、Phil Spector を意識した設定でした。
My Name is Tallulah(Paul Williams) From "Bugsy Malone"(1976)
Ordinary Fool(Paul Williams) From "Bugsy Malone"(1976)
Ordinary Fool(Paul Williams) / Carpenters (1983)
1976年制作のイギリス映画『ダウンタウン物語』から。登場人物すべてが子どものギャング・ミュージカル映画。『小さな恋のメロディ』(MELODY、1971)の脚本を書いたアラン・パーカー(Alan Parker)の監督デビュー作品。出演は子どもだけですが、歌声は Paul Williams を始め、大人のスタジオミュージシャンがアテています。そのスタジオミュージシャンにはアメリカの Jim Haas や Ron Hicklin もいました。1曲目の妖艶な歌姫タルーラ役を演じたのはジョディ・フォスター(Jodie Foster)でした。"Ordinary Fool" は Carpenters のバージョンも合わせて。
What Would They Say(Paul Williams) From "Boy In The Plastic Bubble" / John Travolta(1977)
What Would They Say(Paul Williams) / Helen Reddy(1972)
1976年制作のテレビ映画『プラスチックの中の青春』の主題歌として使われた曲。映画は無菌の部屋でしか生きることができない少年の青春を描いた作品。日本ではNHK総合で放送されました。主演はまだブレイク前のジョン・トラボルタ(John Travolta)。そのジョン・トラボルタが歌っています。元々、この曲のオリジナルは Helen Reddy が歌いました。それも合わせて。1974年に Paul Williams 自身もソロアルバムで取り上げています。
Love Theme From "A Star Is Born" (Evergreen) (B.Streisand-P.Williams) / Barbra Streisand(1977)
1976年制作の映画『スター誕生』(A STAR IS BORN)から。『スタア誕生』の3度目のリメイク作品です。劇判は Paul Williams の盟友、Kenny Ascher が担当しましたが、このラブ・テーマは Paul Williams と主演のバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)が共作しました。