2019.11.05 - Magic Voice
The Ecstasy Of Gold The Ecstasy Of Gold
Edda dell'Orso

(1966)

Magic Voicesシリーズ
今回はイタリアのシンガー、Edda dell'Orso を取り上げたいと思います。

前回、イタリアのコーラス集団、I Cantori Moderni di Alessandroni を取り上げましたが、今回はその中でハイソプラノとして抜きんでいた女性シンガー Edda dell'Orso に焦点を当ててみたいと思います。

Edda dell'Orso こと Edda Sabatini は1935年、イタリアのジェノバ生まれ。1956年に音楽学校で声楽を学び、この学校時代に作曲家で夫となる Gianni Dell'Orso と知り合ったそうです。1950年代から既にローマのレコーディングスタジオでイタリアのミュージシャンのレコーディングに参加。Frank Sinatra のイタリア公演などのバックボーカルにも参加していたそうです。

1960年前半、スタジオでの音楽活動を通じて、ミュージシャン、映画音楽作曲家である Alessandro Alessandroni と出会うことになり、彼が主宰するコーラス集団、I Cantori Moderni di Alessandroni に参加します。

Edda dell'Orso が初めて映画音楽に携わった作品は、『荒野の用心棒』(原題:PER UN PUGNO DI DOLLARI、1964)とのこと。この映画は音楽にかける予算が極めて限られていたためフルサイズのオーケストラを導入することができませんでした。まだ駆け出しだった作曲家 Ennio Morricone は楽器を人の"声"に置き換えることを想定し、作曲を行いました。そのことは Alessandro Alessandroni によるギターと口笛、そして Edda dell'Orso による独特なソプラノの声などを最大限に活用して実現しました。それはこの作品に続くいわゆる "ドル箱三部作" の音楽を特徴づける要素となっていきます。

その後、Ennio Morricone が手掛けた映画音楽のソロスキャットは殆ど、Edda dell'Orso が歌うようになっていきます。その声は他の音楽家にも評価され、Bruno Nicolai、Piero Piccioni、 Luis Bacalov、Roberto Pregadio といったイタリアの映画音楽家も彼女の声を採用することになります。

Ennio Morricone が手掛けた映画音楽を中心に Edda dell'Orso の声を聴いてきたいと思います。


The Ecstasy Of Gold〜映画『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』 / Ennio Morricone(1966)

映画『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(THE GOOD, THE BAD AND THE UGLY、1966)からラストシーン近く、金塊を探し出すシーンで流れた曲。墓地内を回るカメラと一緒にテンションも上がります。この作品で Edda dell'Orso の声は特徴づけられ、その印象は深く心に刻まれました。


Finale〜映画『ウエスタン』 / Ennio Morricone(1968)

映画『ウエスタン』(Once Upon A Time In The West、1968)から。"ドル箱三部作"の次の作品。西部で生き抜く人々への鎮魂歌。情緒たっぷりの Ennio Morricone のメロディに Edda dell'Orso のスキャットが西部の街並に響き渡ります。


Giu' la Testa〜映画『夕陽のギャングたち』 / Ennio Morricone(1971)

映画『夕陽のギャングたち』(A FISTFUL OF DYNAMITE、1971)から。主人公が生まれの地であるアイルランドを回想したシーンで流れる曲。Alessandro Alessandroni による口笛、特徴ある男声 "sean,sean" に続き、Edda dell'Orso のスキャットが流麗に流れ込みます。一度聴いたら忘れられないメロディ。


Deborah's Theme 〜映画『Once Upon a Time in America』 / Ennio Morricone(1984)

Ennio Morricone と小学校時代からの盟友、セルジオ・レオーネ(Sergio Leone)監督の遺作となった作品。主人公が生涯愛した女性を想う曲。切ないメロディーに、限りなく優しい Edda dell'Orso のスキャットが絡みつきます。


映画『ある夕食のテーブル』(Metti Una Sera a Cena) / Ennio Morricone(1969)

最後にこの曲を。現在でも Ennio Morricone のライブでも披露される人気曲。妖艶な Edda dell'Orso のスキャット。メロディがリフレインして盛り上がってきます。



(富田英伸)

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