2019.11.23 - Cinema Music Composers
East of Eden East of Eden
Leonard Rosenman

(1954)

Cinema Music Composers シリーズ
今回は Leonard Rosenman を取り上げます。

Leonard Rosenman は1924年、ニューヨーク、ブルックリン生まれ。第二次世界大戦中にアメリカ陸軍空軍に勤務した後、カリフォルニア大学バークレー校で音楽の学士号を取得します。

その頃、西海岸から俳優を夢見て、ニューヨークへやってきたある青年と出会います。その青年とはまだ無名のジェームズ・ディーン(James Dean)です。Leonard Rosenman はジェームズ・ディーンにピアノを教え、2人は友人となります。ジェームズ・ディーンはいくつかの映画の端役が映画監督の巨匠、エリア・カザン(Elia Kazan)の目に留まり、映画『エデンの東』(EAST OF EDEN、1955)の主役に抜擢されます。

ジェームズ・ディーンは友人、Leonard Rosenman の音楽才能にいち早く気づいていました。映画の製作に入り、ある時、ジェームズ・ディーンは友人である Leonard Rosenman が舞台用に作曲したスコアをエリア・カザンに見せました。エリア・カザンはそのスコアにいたく感動、その Leonard Rosenman に『エデンの東』の音楽の依頼することになります。エリア・カザンが見出したのは、ジェームズ・ディーンだけではなく、音楽家 Leonard Rosenman も見出しました。その後、映画は世界的ヒット、映画『エデンの東』のテーマ曲はアメリカのみならず、全世界のラジオから流れました。

映画『エデンの東』は映画としての評価も高く、興行成績も好調、ジェームズ・ディーンは一躍スターの仲間入りとなりました。ジェームズ・ディーンの次回作、映画『理由なき反抗』(Rebel Without a Cause、1955)においても、音楽を Leonard Rosenman が担当しました。

Leonard Rosenman は職業作曲家となり、数多くの映画音楽を手掛けていきます。代表的な作品を挙げると、1960年代は映画『ミクロの決死圏』(FANTASTIC VOYAGE、1966)、テレビ映画『コンバット』(1962-1967)。1970年代に入ると、映画『続・猿の惑星』(BENEATH THE PLANET OF THE APES、1970)、映画『最後の猿の惑星』(BATTLE FOR THE PLANET OF THE APES、1973)、映画『バリー・リンドン』(BARRY LYNDON、1975)、映画『民衆の敵』(AN ENEMY OF THE PEOPLE、1978)。1980年代以降も映画『故郷への長い道/スター・トレック4』(STAR TREK IV: THE VOYAGE HOME、1986)、映画『ロボコップ2』(ROBOCOP 2、1990)があります。

ジェームズ・ディーンは24歳の若さで亡くなり、2人のコラボ作品は2作とみとなりましたが、Leonard Rosenman は生涯現役を貫き、2008年に83歳でこの世を去りました。友人ジェームズ・ディーンの分まで生きて、僕たちに多くの素晴らしい音楽を残しました。


East Of Eden(Leonard Rosenman) / Victor Young And His Singing Strings(1954)

East Of Eden(Soundtrack)(Leonard Rosenman) / Leonard Rosenman(1954)

1955年に映画『エデンの東』が日本で公開となり、この Victor Young楽団のシングル盤は日本国内で空前の大ヒットとなり、各ラジオの音楽番組で毎日のようにかかるようになります。当時のこのシングル盤は以下の画像のようにこの Victor Young楽団のバージョンが"オリジナル・サウンドトラック盤"と記載されており、演奏者、 Victor Young 自身も映画作曲家だったため、長らく Victor Young が作った曲と伝えられていました。ただこの Victor Young楽団の演奏、アレンジは素晴らしく、いつ聴いても胸が締め付けられます。実際、映画に使われた Leonard Rosenman によるサウンドトラックも合わせて。途中から聴きなれたメロディーが登場します。


*『エデンの東』シングルレコード(1955)


The Main Theme From "Rebel Without A Cause" / Leonard Rosenman(1955)

The Main Theme From "Rebel Without A Cause" / Leonard RosenmanPlaying Piano

ジェームズ・ディーンが続いて出演した映画『理由なき反抗』(REBEL WITHOUT A CAUSE、1955)から。友人の Leonard Rosenman が引き続き音楽を手掛けました。ジェームズ・ディーンが猿のオモチャと戯れる印象的な冒頭のシーンを。晩年、Leonard Rosenman 自身がピアノ演奏したものも合わせて。


Editing From "THE CROWDED SKY" / Leonard Rosenman(1960)

航空パニック映画『翼の男』(THE CROWDED SKY、1960)から。Leonard Rosenman は情緒的なメロディだけでなく現代音楽的でもあり、緊張感のあるスコアを得意する人でした。こういったパニック状況、スリル描写でもその特徴を発揮しています。


Teresa's Theme From "The Chapman Report" / Leonard Rosenman(1962)

映画『チャップマン報告(レポート)』(THE CHAPMAN REPORT、1962)から。うって変わって、ちょっとユーモアのあるジャズ要素を取り入れたナンバーです。


COMBAT TV Theme / Leonard Rosenman(1962)

テレビ映画『コンバット』のテーマ曲。日本でもとても人気があった海外ドラマ。多くの少年達が胸躍ったマーチです。映画『エデンの東』に続いて有名な曲だと思います。


Main Title From "Beneath The Planet Of The Apes" / Leonard Rosenman(1970)

1970年の映画『続・猿の惑星』(BENEATH THE PLANET OF THE APES)から。前作の映画『猿の惑星』(PLANET OF THE APES)の世界観を引き継ぎ、前回は Jerry Goldsmith が音楽を担当。Leonard Rosenman も前衛的なスコアを書いて、緊張感を保っています。Leonard Rosenman は1973年の『最後の猿の惑星』も担当します。


Lord of the Rings Theme / Leonard Rosenman(1978)

1978年にアニメーション作家、ラルフ・バクシ(Ralph Bakshi)がJ・R・R・トールキン(J.R.R. Tolkien)原作の『指輪物語』(THE LORD OF THE RINGS)をアニメーション化しました。そのテーマ曲です。冒険に出かけるウキウキした感じが良く表れています。


Star Trek IV The Voyage Home / Leonard Rosenman(1986)

映画『故郷への長い道/スター・トレック4』(STAR TREK IV: THE VOYAGE HOME、1986)から。スター・トレック・シリーズ、映画版シリーズ第4作目の作品です。ミスター・スポックことレナード・ニモイ(Leonard Nimoy)がメガホンを取り、ちょっとコメディ・タッチな作品となりました。


Main Theme From ""RoboCop 2" / Leonard Rosenman(1991)

1991年の映画『ロボコップ2』(RoboCop 2)より。ここでも人気シリーズの続編を手掛けていますが、その前作のイメージを壊すことなく丁寧にスコアを書き下ろしています。


Theme From "Cross Creek" / Leonard Rosenman(1983)

最後に日本未公開の映画『クロスクリーク』(CROSS CREEK、1983)から。ここではこれまでのようなフルオーケストラではなく、フルートとギターのみで奏でられた繊細で美しいメロディを聴くことができます。


*写真は James Dean と Leonard Rosenman。




(富田英伸)

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