2019.12.07 - Magic Voice | ||
Tenderly
Gene Puerling The Hi-Lo's (1957) |
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Magic Voicesシリーズ、
今回は Gene Puerling を取り上げたいと思います。
Gene Puerling は、1950年代から1960年初頭にかけて、コーラスグループ The Hi-Lo's に所属、そして、The Singers Unlimited を結成、グループのリーダー、そしてコーラス・アレンジャーとして素晴らしいコーラスを世に残してくれました。今回は The Hi-Lo's 時代と The Singers Unlimited の時代の2回に分けて書いていきたいと思います。
Gene Puerling は1929年、ウィスコンシン州のミルウォーキー生まれ。音楽一家に生まれ、地元の高校時代から仲間とコーラスグループを作って歌っていたそうです。その高校生時代に出会ったのが、後の The Hi-Lo's のバス担当のノッポの Bob Strasen でした。卒業後、地元のラジオ局ためのディスクジョッキーをやったり、ジングルを歌ったり、既にプロとして活動をしていました。
1950年代の初め、Gene Puerling はいつか自分のコーラスグループを作りたいという夢を抱いてロサンジェルスに移住します。Gene Puerling は、あるテレビ番組のオーディションの控室で、Clark Burroughs と出会います。2人共、歌うことが好きでしたので、Gene Puerling はコーラスグループを作りたいという夢を打ち明け、意気投合、そしてメンバーに地元から Bob Strasen、を呼び出しそして、同じ芸能の道を志し、曲作りにも長け、グラフィックデザイナーでもあった Bob Morse が参加して、1953年に The Hi-Lo's が結成されます。
The Hi-Lo's の名前は、Bob Strasen と Bob Morse の2人がノッポ、Gene Puerling と Clark Burroughs の2人がチビというのが由来です。
Bob Strasen(バス)
Gene Puerling(バリトン、バス)
Bob Morse(バリトン)
Clark Burroughs(テナー)
1953年にシングル、"Peg O' My Heart" を リリース。コンダクターを担当したのは Jerry Fielding、後に映画音楽家として大成する人です。その後、Starlite Records というマイナーレーベルから4枚のアルバムをリリースしました。
The Hi-Lo's の人気に火がついたのはテレビでした。『Rosemary Clooney Show』にレギュラー出演した The Hi-Lo's はアクロバティックなコーラス、そしてその芸達者振りで人気を博します。1957年にメジャーの Columbia Records に移籍、Rosemary Clooney And The Hi-Lo's 名義のアルバム『Ring Around Rosie 』も好評を博します。
その後、Columbia Records 中心にアルバムを次々とリリース。リリースを重ねる毎にアクロバティックな部分が少しずつ少なくなり、Gene Puerling による緻密なコーラスアレンジで洗練された音に変わっていきます。
1959年、バス担当の Bob Strasen がグループを脱退、Gene Puerling は新たなバス担当を求めて、オーディションを行いましたが、採用になったのは、後に The Singers Unlimited のメンバーとなる テナーの Don Shelton でした。この時点で、バス専任なし、テナーのツートップの体制となります。
Gene Puerling(バリトン、バス)
Bob Morse(バリトン)
Don Shelton(セカンドテナー)
Clark Burroughs(トップテナー)
この体制で、Philips Records、Reprise Records と渡り歩きながら、アルバムを4枚程リリース。1963年、最後にリリースされたアルバム『The Hi-Lo's Happen To Bossa Nova 』はボサノバのリズムによる、僕が特に好きなアルバムとなりました。Gene Puerling はその後、The Singers Unlimited の結成に向けて、準備に入ることになります。
次回に続く。
My Sugar Is So Refined(Sylvia Dee-Sid Lippman) / The Hi-Lo's(The Rosemary Clooney Show、1956-1957)
1956年から1957年に放送された『The Rosemary Clooney Show』から。左から、Gene Puerling、Bob Strasen、Clark Burroughs、Bob Morse と並んで始まります。The Hi-Lo's の芸達者振りがわかる映像です。途中ソロを Gene Puerling から Bob Morseへ回すシーンがあります。Gene Puerling はソロをとることはあまりないのですが、珍しくソロが見られる映像です。同時に他のメンバーのソロも聴くことができます。
Basin Street Blues(Spencer Williams) / The Hi-Lo's
これもテレビ番組からの映像。途中、ノッポの Bob Morse からチビの Clark Burroughs へソロを回します。その後、Gene Puerling のソロがあります。各個人がソロパートがとっているので、個々の声質も掴みやすい、誰がどの声かわかりやすい映像です。
Tenderly(Jack Lawrence-Walter Gross) / The Hi-Lo's(1957)
1957年のアルバム『Suddenly It's The Hi-Lo's』から。アカペラから始まる美しいナンバー。途中からストリングが絡みます。コンダクトはデビューから付き合いのある、Frank Comstock。芸達者振りなパフォーマンスの対照的にハーモニーの美しさを追及した作品。
Yesterdays(Jerome Kern-Otto Harbach) / The Hi-Lo's(1958)
1958年のアルバム『Love Nest』から。冒頭の Gene Puerling によるアカペラ・コーラスアレンジが素晴らしい曲。後の The Singers Unlimited の世界観につながる曲です。繊細なストリングス・アレンジは Clare Fisher が施しています。個人的には Clare Fisher の出会いが その後の Gene Puerling に影響を与え、後の The Singers Unlimited に繋がったのではないかと思っています。
Mr. Blue (Michael Franks) / The Hi-Lo's(1981)
The Hi-Lo's は1960年中期に解散しますが、1970年後期に再結成を果たします。1981年に制作のアルバム『Now』から。Michael Franks のナンバーを取り上げています。その他に当時人気のあった Billy Joel や David Foster、Jay Graydon などの曲も取り上げています。ストリングス・アレンジは Clare Fisher です。