2020.02.22 - Songwriter | ||
How Do You Do It
Mitch Murray (1962) |
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Songwriterシリーズ、
今回は Mitch Murray を取り上げます。
Mitch Murray は1960年代前期から中期にかけて、イギリス北西部周辺で発生したブリティッシュビート、マージービートと言われている音楽形態で、その中核を担ったソングライターです。
Mitch Murray は1940年、イングランド・イースト・サセックスのホヴで生まれています。イギリスでブリティッシュビートが流行る前、1950年代後期から、ソングライターとして活動していたようです。
Mitch Murray に転機が訪れるのが1962年。Mitch Murray はイギリスのティーンアイドルの Adam Faith のために曲を書き、そのデモ・レコードを作成します。そのデモを歌ったのはソングライター仲間の Barry Mason でした。Barry Mason は後に Les Reed と組んで多くの楽曲を生み出していくことになります。
演奏したのは、1950年代後期から活躍していた 老舗バンド、The Dave Clark Five でした。録音した楽曲、"How Do You Do It " は Adam Faith には取り上げられず、不採用となりました。しかしそのデモ録音が現存しています。
How Do You Do It (Mitch Murray) / Barry Mason (1962、Demo)
この不採用になった楽曲、"How Do You Do It " に目をつけたのが、音楽プロデューサー、George Martin でした。George Martin はこのデモを聴き、自分がプロデュースし、デビューすることになった4人グループ、The Beatles のデビュー曲にしようと考えます。しかし、The Beatles のメンバーは曲作りにも長けており、メンバーの意見を尊重し、The Beatles 自作のナンバー、"Love Me Do" がデビューシングルとなります。結局、不採用となった The Beatles による、"How Do You Do It" ですが、音源は残りました。The Beatles による録音の時、Mitch Murray も立ち会ったと言われています。
How Do You Do It (Mitch Murray) / The Beatles (1963)
またも不採用となったこの曲ですが、1963年に同じく、George Martin によって、プロデュースすることなったグループ、Gerry and the Pacemakers のデビュー曲としてリリースされます。やっと陽の目を見たこのナンバーは UK Singles Chart 1位となります。
How Do You Do It (Mitch Murray) / Gerry and the Pacemakers (1963)
その後、Mitch Murray は Gerry and the Pacemakers に楽曲を提供。ブリティッシュビートのムーブメントを受け、1963年にレコードデビューとなった Freddie and The Dreamers にも楽曲を提供。"I'm Telling You Now" が UK Singles Chart の2位を記録。Mitch Murray は当時のブリティッシュビート・グループのご用達ソングライターとなります。
1960年代中期頃からはソングライター仲間である、Peter Callander とチームを組んで楽曲制作していきます。1974年には彼らがプロデュースした Paper Lace に書いた ""Billy Don't Be a Hero" が UK Singles Chart 1位。アメリカのプロデューサー、Steve Barri がこの曲を気に入り、Bo Donaldson and The Heywoods が取り上げ、US Billboard Hot 100 の1位となります。
I like it (Mitch Murray) / Gerry & the Pacemakers (1963)
"How Do You Do I" のヒットを受け、プロデューサー George Martin が Mitch Murray に依頼した Gerry & the Pacemakers のシングル第2弾。これも UK Singles Chart 1位となりました。Mitch Murray の書く曲はとにかく明るいです。
I'm Telling You Now (Freddie Garrity-Mitch Murray) / Freddie & the Dreamers (1963)
You Were Made For Me (Mitch Murray) / Freddie & The Dreamers (1963)
Freddie & The Dreamers へ提供した2曲を。"I'm Telling You Now" は1963年に Freddie & the Dreamers に提供したシングル第2弾。詩はFreddie こと Freddie Garrity が書きました。UK Singles Chart 2位を記録。アメリカでも Billboard Hot 100 1位となり、楽しいステージアクションで子どものファンも多いクループです。シングル第3弾となった "You Were Made for Me" も合わせて。
Everybody Know (Mitch Murray) / Gregory Phillips & The Remo Four (1964)
1964年、PYE Records からリリースされたシングル。Gregory Phillips というシンガーが、リバプール出身のバンド、The Remo Four のバックで歌っています。アレンジを担当したのは Ivor Raymonde です。
I've Got the Moon on My Side (Mitch Murray) / Matt Monro (1964)
1964年にイギリスを代表するポピュラーシンガー、Matt Monro に提供した楽曲。ミュージカル・ディレクションは Les Reed が行いました。この時期はブリティッシュ・ビート・グループへの提供が多いのですが、こういった楽曲も作っています。これもとても明るい曲です。
I'll Keep Coming Back (Silvers-Robinson-Murray-Levenson) / The Outcasts (1966)
1966年にアメリカの Dot Records からリリースされたシングル。 "Denise" で知られる Neil Levenson らとの共作曲です。プロデュースは Snuff Garrett と Leon Russell となっています。
Billy Don't Be A Hero (Mitch Murray-Peter Callander) / Bo Donaldson & the Heywoods (1974)
1974年、US Billboard Hot 100 の1位を記録。Steve Barri がプロデュースしました。オリジナルは同年、Mitch Murray-Peter Callander がプロデュースした Paper Lace というグループがオリジナルです。出来は Bo Donaldson & the Heywoods の方がいい感じです。
Gipsy (Mitch Murray) / Murray's Monkey (1966)
1966年に Murray's Monkey 名義でリリースしたシングル。歌っているのは Mitch Murray 自身だと思います。これも楽しい曲。アメリカの Hanna-Barbera Records からリリースされましたが、PYE Records からの供給を受けて、アメリカでリリースされたものだと思います。
Down Came The Rain (Mitch Murray-Robin Conrad) / Mister Murray (1965)
最後にこの曲を。1965年に Mitch Murray がリリースしたシングル。しっとりと始まるいい曲と思いきや、途中からは...(爆)。この人の性格をよく表している曲だと思います(笑顔)。