2020.04.02 - Magic Voice | ||
This Is Our House
Shelby Flint (1973) |
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Magic Voicesシリーズ、
Shelby Flint の第2回目です。
第2回目:1970年代のスタジオミュージシャン時代
Shelby Flint は Valiant Records で、『Shelby Flint』(1961)、『Shelby Flint Sings Folk』(1963)、『Cast Your Fate To The Wind』(1966)と3枚のアルバムをリリースしました。その2枚目のアルバム、『Shelby Flint Sings Folk』は、Shelby Flint のギターと声のみで構成されたフォークソング集のアルバムですが、シンガーソングライターの Joni Mitchell はこのアルバムに大きな影響を受け、自分の進む道を決めたそうです。
Shelby Flint が所属していた Valiant Records は、Shelby Flint のように楽曲が書けるミュージシャン、例えば、Barry And The Tamerlanes の Bodie Chandler、Addrisi Brothers、The Cascades の John Gummoe らが在籍しており、優れた楽曲が次々と生まれたレーベルでした。
1966年頃になると、Valiant Records は配給元だった Warner Bros. Records に買収されてしまいます。以降、Shelby Flint は1960年代後半から1970年代にかけて、西海岸を中心にスタジオミュージシャンとして、音楽活動を続けていくことになります。ミュージシャンのバックコーラスでは Livingston Taylor、Evie Sands、Cheryl Ladd、Chick Corea 等の作品のクレジットで名前を見つけることができます。
また、作曲者として、Nancy Sinatra や Thelma Houston 等に楽曲提供も行っています。活動拠点が西海岸ということもあって、映画やテレビ映画の主題歌や挿入歌も担当しました。
今回は、1970年代を中心に Shelby Flint が歌った、映画やテレビ映画の主題歌や挿入歌を聴いていきたいと思います。
This Is Our House Song From The Borrowers (Rod McKuen) / Shelby Flint(1973)
Rod McKuen の項でも書きましたが、1973年のテレビ映画『The Borrowers』の挿入歌です。『The Borrowers』はメアリー・ノートン(Mary Norton)の児童文学『床下の小人たち』が原作。日本で2010年『借りぐらしのアリエッティ』として映画化されました。全編の音楽を担当したのは Rod McKuen。ワルツの調べに誘われて、小人の世界に誘ってくれるような優しい Shelby Flint の声です。
Someone's Waiting for You"(Carol Connors-Ayn Robbins-Sammy Fain) / Shelby Flint(1977)
1977年公開のディズニー映画『ビアンカの大冒険』(THE RESCUERS)の挿入歌です。曲を書いたのは、"Love Is a Many-Splendored Thing"(「慕情」)、"That Old Feeling"などを書いたポピュラー音楽界の重鎮、Sammy Fain です。クレジットにある作詞の Carol Connors とは Phil Spector がいたグループ、The Teddy Bears の Annette Kleinbard のことです。この曲は第50回アカデミー賞ベストソング賞にノミネートされました。
Do You Remember Me (Sherman Brothers) / Shelby Flint(1972)
1972年公開の映画『スヌーピーの大冒険』(SNOOPY, COME HOME)から。スヌーピーが元の飼い主の少女が入院している病院まで、ウッドストックと一緒に旅する冒険話。スヌーピーの映画の中でも特に好きなお話です。曲を書いたのはディズニー映画でおなじみの、Sherman Brothers(Robert B. Sherman、Richard M. Sherman)です。ここでもワルツ曲です。
Breezy's song(Michel Legrand-Alan & Marilyn Bergman) / Shelby Flint(1973)
これもここで書きましたが、1973年、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督作品『愛のそよ風』(BREEZY)の主題歌。Michel Legrand 作曲、Alan and Marilyn Bergman 夫妻の作詞で、Shelby Flint の透明な声は、主人公の揺れる心を良く表していました。