2020.08.25 - Songwriter
砂に消えた涙(Un Buco Nella Sabbia) 砂に消えた涙(Un Buco Nella Sabbia)
Piero Soffici

(1964)

(2020年8月23日SSB、「納涼夫婦放談」で、竹内まりやさん"砂に消えた涙" がかかったので)

Songwriterシリーズ
今回も趣向を変えて "砂に消えた涙" を様々な角度から聴き比べてみたいと思います。

それに先立って、この曲を書いたイタリアの作曲家、Piero Soffici について少し触れておきたいと思います。

Piero Soffici は1920年、イタリア、ミラノ生まれ。元々は管弦楽の演奏者でした。第二次世界大戦後、自身の楽団を率いて、演奏活動を始めたそうです。
Philips Records でアレンジャーとして活躍するようになり、合わせて楽曲も提供していくようになります。

Piero Soffici の楽団が1961年にリリースした "That's The Way With Love" を聴いてみたいと思います。聴いての通り、1959年から1960年にかけて世界的ヒットとなった"A Summer Place"(邦題 "夏の日の恋")に影響を受けた楽曲です。アメリカではこの曲を Don Costa の楽団がシングルリリースしています。

That's The Way With Love (Gualtiero Malgoni-Piero Soffici) / Piero Soffici(1961)

That's The Way With Love (Gualtiero Malgoni-Piero Soffici) / Don Costa(1961)


Piero Soffici は1960年代に入ると、Cocki Mazzetti 、Gigliola Cinquetti、Mina といったイタリアの当時のアイドルシンガーにも楽曲を提供していくようになります。1963年に Mina に提供した楽曲を聴いてみましょう。

Stessa Spiaggia Stesso Mare(Mogol-Soffici) / Mina(1963)


1964年に5月に Mina に提供した "Un Buco Nella Sabbia" がリリースされます。演奏にあたったのは Augusto Martelli の楽団。Bob Mitchell の名前でも知られている人です。

Un Buco Nella Sabbia(Alberto Testa-Piero Soffici) / Mina(1964)


1950年代から1960年代にかけてイタリアでサンレモ音楽祭が毎年盛大に開催され、イタリアのみならず、世界のポピュラーミュージックの交流の場でした。日本でも多くのイタリアの歌曲、カンツォーネ曲が取り上げられた時代でした。

この曲はイタリア国内では最高位10位程度で、年間ランキングでも55位くらいでしたが、日本国内では漣健児さん初め、日本のレコード関係者が注目。約半年後の1964年12月に日本コロンビアから"砂に消えた涙" がリリース。詩を書いたのが漣健児さん、歌ったのが弘田三枝子さんでした。

どことなく日本情緒を感じるイントロのメロディ。明るい曲調ながらもちょっと悲しい詩。そして弘田三枝子さんの素晴らしい歌唱力!日本国内でそれが受けたんだろうと思います。

砂に消えた涙(Un Buco Nella Sabbia)(漣健児-Piero Soffici) / 弘田三枝子(1964)


この弘田三枝子さんが歌ったバージョンが評判となり、翌年の1965年1月に 漣健児さんが書いた詩でMina が日本語で歌ったバージョンがリリースされ、逆カバーバージョンが誕生します。

砂に消えた涙(Un Buco Nella Sabbia)(漣健児-Piero Soffici) / Mina(1965)


同年、この曲は弘田三枝子さんのみならず、日本のシンガー達が歌い、お茶の間でお馴染みの曲となっていきます。伊東ゆかりさんは1965年にサンレモ音楽祭に出場した縁でアルバム『サンレモのゆかり』で歌っています。ザ・ピーナッツもアルバム『アモーレ・スクーザミ〜ヒット・パレード第6集』で歌っています。
伊東ゆかりのバージョンはボサの雰囲気のある感じ。ザ・ピーナッツのバージョンは原曲の同一2声のハーモニーを生かして2人でデュエットしています。

砂に消えた涙(Un Buco Nella Sabbia)(漣健児-Piero Soffici) / 伊東ゆかり(1965)

砂に消えた涙(Un Buco Nella Sabbia)(漣健児-Piero Soffici) / ザ・ピーナッツ(1965)


(富田英伸)

シェアする facebook twitter
Copyright (c) circustown.net