2020.09.22 - Songwriter
Now That You've Gone Now That You've Gone
Petula Clark

(1965)

(2020年9月20日SSB「棚からひとつかみ+リクエスト」で、Petula Clark "Now That You've Gone" がかかったので)


Songwriterシリーズ
今回は "Now That You've Gone" の聴き比べから始めてみたいと思います。"Now That You´ve Gone" はこの曲を歌った Petula Clark が作った作品です。Petula Clark は作曲においてもとても長けた女性でした。後半はこの曲のほかに Petula Clark が作ったいくつかの楽曲も聴いていきたいと思います。

この曲はSSB番組内でコメントがあったように、1964年、フランスの Disques Vogue Records からリリースされた Petula Clark のアルバム『Petula Clark』に収録された楽曲で、その時はフランス語で歌われ、タイトル名は"Puisque Tu Pars" でした。本アルバムは既存のシャンソン、そして Petula Clark が作った楽曲を中心に選曲されたアルバムでした。Tony Hatch が書いた楽曲はありませんでしたが、2曲を除いて、Tony Hatch がオーケストレーションを担当したアルバムでした。

詩を書いたのは、Petula Clark のフランス語での楽曲を多く手がけていた、Hubert Ballay というフランス人でした。翌年、イギリスの Pye Records からリリースされたアルバム『Downtown』に収録、"Now That You've Gone" のタイトルで、英語で歌われます。その英語詩を書いたのは、Norman Newell という別名、David West でも知られるレコードプロデューサーで、映画『世界残酷物語』(MONDO CANE、1962)の主題曲 "More" の英語詩を書いた人でもあります。

Now That You've Gone(Hubert Ballay-Norman Newell-Petula Clark) / Petula Clark(1965)


その Pye Records から同年に南アフリカ出身の女性シンガーの Sharon Tandy がシングルリリースしています。この曲が彼女のデビュー曲となります。プロデュースは Alan A. Freeman、Petula Clark の担当プロデューサーでした。Sharon Tandy はその後アメリカに渡り、Atlantic Recrords と契約します。

Now That You've Gone(Hubert Ballay-Norman Newell-Petula Clark) / Sharon Tandy(1965)


アメリカでは同年の1965年に Connie Stevens がシングルをリリースします。Jimmy Bowen のプロデュースで、Ernie Freeman がアレンジを担当しています。これもとっても可愛らしい歌唱です。
2020年9月現在、circustown DB によると、Petula Clark のバージョンが4回のオンエア、Connie Stevens のバージョンが4回、同じになっています(笑顔)。

Now That You've Gone(Puisque Tu Pars)(Hubert Ballay-Norman Newell-Petula Clark) / Connie Stevens(1965)


ここからは Petula Clark 自身が書いた曲を聴いていきたいと思います。
Petula Clark はシンガーのみならず、映画にも出演し、女優としても有名でしたが、楽曲作りも才能のある女性でした。1932年、イギリス生まれの Petula Clark は9才の頃からラジオショーに出演していたそうです。1957年、夫がフランス人で、Vogue Records の広報担当者ということもあって、Petula Clark はフランスの Vogue Records からもレコードをリリースするようになり、これまで既存の楽曲を歌ってきた Petula Clark は自分でも楽曲を作るようになります。

まず Petula Clark が作った最初期の作品を。1961年にリリースした作品。作詞作曲とも Petula Clark です。翌年にはフランス語でも歌いました。フランス詩を書いた Pierre Delanoë はフランスの重鎮の作詞家で、"Let It Be Me" の英題で広く知られる "Je t'appartiens" の詩を書いた人です。オーケストレーションは Peter Knight によるもの。素直な可愛らしいメロディです。

All Over Now(Petula Clark) / Petula Clark(1960)

La Seine Et La Tamise(Pierre Delanoë-Petula Clark) / Petula Clark(1961)


1961年にシングルリリースした "Sailor" が全英で1位となり、人気シンガーとなっていきます。Petula Clark はそのフランスを初め、ヨーロッパ各国でもシングルをリリース、国際的に人気歌手となります。その時にプロデュースを行っていたのが、Alan A. Freeman という人で、その頃から既に Tony Hatch は Alan A. Freeman のアシストを行っていました。

以降、Tony Hatch との共作も多くなっていきますが、今回は Petula Clark の単独クレジット、もしくは作曲した作品を聴いていきたいと思います。

Where Am I Going(Petula Clark) / Petula Clark(1965)

1965年にリリースしたシングル "My Love" のB面に収録された楽曲。アレンジは Tony Hatch です。"My Love" がロサンゼルスの Western Studios で、Wrecking Crew のバックで録音されたので、この曲もロサンゼルス録音だと思われます。とっても前向きな歌。邦題は "愛の行くえ" となっていました。


Here Comes The Morning(Petula Clark-Jackie Trent) / Petula Clark(1967)

1967年、"Don't Sleep In The Subway" のB面に収録されたナンバー。Tony Hatch の奥方の Jackie Trent との共作曲です。Tony Hatch のプロデュースの下、Johnny Harris がアレンジを担当しています。しっとりとした奥深いメロディです。


The Show is Over(Petula Clark) / Petula Clark(1967)

1967年にリリースした、"This Is My Song(Charles Chaplin)" のB面に収録された曲。アレンジは Tony Hatch。多くのステージに立った Petula Clark の想いが詰まった曲です。


Isle De France(Petula Clark-Pierre Delanoë) / Petula Clark(1968)

1968年にリリースしたアルバム『The Other Man's Grass Is Always Greener』に収録された楽曲。フランス部分の詩は、先に登場した Pierre Delanoë が補詩しています。プロデュースは Sonny Burke なので、アメリカ録音だと思われます。Petula Clark の第2の故郷となったフランスに想いを馳せる歌です。


Two Rivers(Petula Clark) / Petula Clark(1966)

1966年のアルバム『 I Couldn't Live Without Your Love』に収録。プロデュースは Tony Hatch で、アレンジはJohnny Harris 。この曲も2つの川になぞらえて、生まれ育ったロンドン、そしてパリのことを歌った都市賛歌になっています。


Petula Clark と Tony Hatch は以下も参照ください。Songwriterシリーズ、Tony Hatch の第2回目、Tony Hatch と Petula Clark

(富田英伸)

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