2020.10.08 - Songwriter | ||
You're Living In A Dream World
Norman Harris (1972) |
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Songwriterシリーズ、
前回の Ronnie Baker に引き続き、フィラデルフィア周辺で Ronnie Baker、Earl Young とともに活躍した Norman Harris について取り上げます。
ギターリスト、Norman Harris は1947年生まれ。10代の頃から、 同じ歳の ベーシスト、Ronnie Baker とは知り合いだったようで、1950年代後半にはフィラデルフィア周辺のクラブで一緒に演奏していました。
一方、1940年生まれ、彼らより7才年上のドラマーの Earl Young はボーカルグループ、The Volcanos (後の The Trammps)の活動の傍ら、1960年代中頃、ドラマーとして Jackie Wilson のバック演奏、そして Stevie Wonder の日本公演にも参加。業界内でもその実力は知れ渡っていたようです。
1965年に3人は重要なレコーディングセッションに参加します。フィラデルフィアの録音エンジニア Frank Virtue の Virtue Studios で行われた女性シンガー、 Barbara Mason の自作の曲、"Yes, I'm Ready" のセッションです。このセッションに参加したのが、ギターに Norman Harris、ベースに Ronnie Baker、ドラムスに Earl Young、そしてバックコーラスに Kenny Gamble が加わりました。
Yes. I'm Ready(Barbara Mason) / Barbara Mason(1965)
この曲は US Billboard R&B の2位、US Billboard Hot の5位となり、その後フィラデルフィア・サウンドが花開く直前のヒットナンバーとなりました。リリース元になった Arctic Records からは、Kenny Gamble がかつて結成したグループ、 Kenny Gamble & The Romeos や Earl Young が所属していた The Volcanos もここからレコード・リリースしています。
その後、3人は The Delfonics などの Philly Groove Records でのセッションなどを経て、Gamble and Huff、そして Thom Bell との交流が深まり1971年、Gamble and Huff による Philadelphia International Records の設立時、同レコードレーベルの実質的なハウスバンドとなる MFSB (Mother Father Sister Brother)の中核メンバーとして、フィラデルフィアの Sigma Sound Studios で活動することになります。
その後、Earl Young 、Norman Harris、Ronnie Baker の3人自身のプロダクション、 Baker-Harris-Young Productions(B-H-Y Productions) を立ち上げます。Gamble and Huff や Thom Bell のプロダクションと並行して、自分達でプロデュース活動してことになります。詳細は Ronnie Baker の項を。
Norman Harris はギターリストのみならず、アレンジャー、コンポーザーとしても活躍。しかし1987年、39才の若さで亡くなりました。
今回は Norman Harris が書いた楽曲を聴いていきたいと思います。
Don't Ever Go Away(Barbara Mason-Norman Harris) / Barbara Mason(1968)
まずは Norman Harris が初期に書いた楽曲から。1968年、Barbara Mason の "Yes, I'm Ready" のヒットにギターリストとして貢献した Norman Harris と Barbara Mason との共作曲です。揺れるリズムに憂いのあるメロディーです。
Walk Right Up To The Sun(Norman Harris- Allan Felder) / The Delfonics(1971)
1970年代に入ると Norman Harris は Allan Felder と言う人と共作するようになります。1971年に Philly Groove Records からリリースされた The Delfonics のシングル曲です。アレンジも Norman Harris が担当。Thom Bell の創り出したフィラデルフィア"スィートソウル"音像を引き継ぎ、情感豊かに表現しています。この時期に The Delfonics に加入した Major Harris は Norman Harris のいとこに当たります。
Joe(Norman Harris-Allan Felder-Kenny Gamble) / Dusty Springfield(1970)
1970年、イギリスの Dusty Springfield のフィラデルフィアの Sigma Sound Studios での録音アルバム『A Brand New Me』に収録されたナンバー。Norman Harris- Allan Felder チームに Kenny Gamble が加わって書かれています。アレンジは Thom Bell が担当。この曲もメロディに憂いがあり、切ないナンバーです。
You're Living In A Dream World(Norman Harris-Allan Felder) / Continental IV(1972)
ニュージャージーで結成されたボーカルグループ、Continental IV の唯一のアルバム『Dream World』の1曲目。Norman Harris が書いた曲で一番好きなナンバー。プロデュースとアレンジはフィラデルフィア・サウンドの重鎮、Bobby Martin。切なくいいメロディで後を引きます。
The Loneliest House on the Block(Norman Harris- Allan Felder) / Little Anthony & the Imperials(1973)
1973年の Little Anthony And The Imperials のアルバム『On A New Street』から。このアルバムはA面 = The Thom Bell Side、B面 = The Teddy Randazzo Side とプロデュースを分け合ったアルバムで、この曲は A面 = The Thom Bell Side に収録されたナンバー。アレンジはその Thom Bell です。Norman Harris は作曲者としても Thom Bell の信頼が高かったと思われます。
Look Me Up(Norman Harris- Allan Felder) / Blue Magic(1974)
1974年の Blue Magic のデビューアルバム『Blue Magic』から。アルバム1曲目の Vinnie Barrett-Bobby Eli 作、"Sideshow" に続いて2曲目に収録。"Sideshow" のアレンジは Norman Harris が担当しましたが、本曲はビブラフォン奏者の Vince Montana が担当しています。明るい溌溂とした曲で、後半部のカッティングギターは Norman Harris 自身だと思います。
Good Things Don't Last Forever(Allan Felder-Bunny Sigler-Norman Harris) / Ecstasy, Passion and Pain(1974)
1974年の Ecstasy, Passion & Pain の唯一のアルバム『Ecstasy, Passion & Pain』から、Ecstasy, Passion & Pain はギター&ボーカルとドラマーが女性という当時珍しいグループでした。Bunny Sigler との共作曲で、アップテンポな曲を書きました。本アルバムは Bobby Martin がプロデュースとアレンジを担当。
In Search Of Peace Of Mind(Allan Felder-Norman Harris- Ron Tyson) / Norman Harris(1980)
1980年、Norman Harris は初のソロアルバム『The Harris Machine』をリリース。アルバム名は彼の愛称だった "The Harris Machine" Norman Harris から取り、このアルバムが彼の唯一のアルバムとなりました。この曲はアルバムからシングルリリースされたインストナンバー。Ron Tyson との共作曲です。