2020.11.17 - Cinema Music Composers
Green Mansions Song Green Mansions Song
Bronisław Kaper

(1959)

Cinema Music Composers シリーズ
今回は Bronisław Kaper を取り上げたいと思います。

Bronisław Kaper はポーランド出身の作曲家です。これまで取り上げた、Kurt Weill と同様、ヨーロッパからナチス・ドイツに逃れる形でアメリカに渡り、ハリウッドで活躍した映画作曲家です。

Bronisław Kaper は1902年、ポーランドのワルシャワで生まれました。幼い時期からピアノを弾き始め、ワルシャワ音楽院で作曲法とピアノを学びます。学校卒業後の1920年後半にベルリンに向かいます。そこでオーストリア出身の作曲家、Walter Jurmann と知り合い、職業作曲家となります。

ナチスがドイツで権力を握った頃になると2人はパリに逃れて作曲活動を行いました。当時はトーキー映画の誕生により、映画に付帯する劇判の音楽の市場が新たに生まれつつありました。

ヨーロッパでナチスが台頭する中、パリでも思うように音楽活動が出来なくなり、1935年、Bronisław Kaper と Walter Jurmann はアメリカに渡ります。そこでMGM映画社と専属契約を結びます。そこで映画『桑港(サンフランシスコ)』(SAN FRANCISCO)の音楽やマルクス兄弟のコメディ映画の劇判を担当しました。この2人を追うようにヨーロッパで活動してきた芸術家たちは次々とハリウッドにやってくるようになります。

その後、Bronisław Kaper は映画『ガス燈』(GASLIGHT、1944)、映画『大地は怒る』(GREEN DOLPHIN STREET、1947)、映画『INVITATION、1952』、ミュージカル映画『リリー 』(LILI、1953)、映画『ラプソディー』(RHAPSODY、1954)、映画『傷だらけの栄光』(SOMEBODY UP THERE LIKES ME、1956)、映画『緑の館』(GREEN MANSIONS、1959)、映画『バタフィールド8』(BUTTERFIELD 8、1960)、映画『戦艦バウンティ』(MUTINY ON THE BOUNTY、1962)といった作品を手掛けていきます。

Bronisław Kaper は1983年、81才で亡くなりました。今回は、1940年以降、Bronisław Kaper がアメリカに渡ってからの作品を聴いていきたいと思います。


Opening Theme From "AUNTIE MAME" / Bronislau Kaper (1958)

1958年の映画『メイム叔母さん』(AUNTIE MAME)のオープニングタイトル。MGM映画社との契約が切れてからの作品になります。万華鏡をモチーフに色鮮やかなオープニングになっています。華やいだワルツの調べに胸躍ります。


Opening Credits From "Invitation" (Bronisław Kaper) / Bronislau Kaper (1952)

Invitation (Bronisław Kaper) / Art Van Damme & The Singers Unlimited (1974)

1952年のMGM映画『Invitation』のオープニングタイトル。メランコリックな曲調。この曲は多くのジャズミュージシャン達に愛され、Paul Francis Webster が詩を付け、ジャズスタンダード・ナンバー化します。
今回はアコーディオン奏者の Art van Damme の調べに The Singers Unlimited のコーラスで聴いてみましょう。


Hi-Lilli, Hi-Lo (Bronislau Kaper) From "LILI" / Leslie Caron and Mel Ferrer (1952)

Hi-Lilli, Hi-Lo (Bronislau Kaper-Helen Deutsch) / Shelby Flint (1961)

1952年のMGMのポール・ギャリコ(Paul Gallico)原作のミュージカル映画『リリー 』(LILI)からのナンバー。劇中では人形劇のシーンに登場しました。歌っているのは主演のレスリー・キャロン(Leslie Caron)とメル・ファーラー(Mel Ferrer)です。
1961年の Shelby Flint のアルバム『Shelby Flint』に収録されたバージョンも合わせて。こういう曲は彼女の声にぴったりです!


On Green Dolphin Street (Bronislau Kaper-Ned Washington) / Jimmy Dorsey (Bill Lawrence, vocal) (1947)

On Green Dolphin Street (Bronislau Kaper-Ned Washington) / Mel Torme (1962)

映画『大地は怒る』(GREEN DOLPHIN STREET、1947)からのナンバー。同年、Jimmy Dorsey のオーケストラがシングル・リリースしました。この曲もその後、多くのジャズ・ミュージシャン達が取り上げ、ジャズ・スタンダード・ナンバー化します。1962年に Atlantic Records からリリースされた Mel Torme のアルバム『Comin' Home Baby!』のバージョンも合わせて。Shorty Rogers のアレンジ、レコーディングエンジニアに Bones Howe と Tom Dowd が就いています。


Take My Love (Bronislau Kaper-Helen Deutsch) / Eddie Fisher (1955)

Take My Love (Bronislau Kaper-Helen Deutsch) / Les Baxter (1957)

1955年のレスリー・キャロン主演の映画『ガラスの靴』(THE GLASS SLIPPER)で歌われたナンバー。同年、Eddie Fisher がシングルをリリースしてヒットさせています。Hugo Winterhalter's Orchestra And Chorus の演奏です。
今回は Les Baxter のオーケストラのバージョンも合わせて。歌っている女性ボーカルは Sue Allen です。


Green Mansions Song (Bronislau Kaper-Paul Francis Webster) From "GREEN MANSIONS"/ Anthony Perkins (1959)

1959年の映画『緑の館』(GREEN MANSIONS)からの1シーン。監督は先程の映画『リリー』でも歌っていたメル・ファーラー。歌っているのは出演したアンソニー・パーキンス(Anthony Perkins)。歌もとっても上手い美声の持ち主です。詩は Paul Francis Webster が書きました。美しい少女、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)は森の妖精のようでした。当時はメル・ファーラー夫人。オードリー・ヘプバーンが出演した映画でもっとも好きな映画です。


(富田英伸)

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