2020.12.29 - Cinema Music Composers | ||
Our Love Affair
Roger Edens (1940) |
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Cinema Music Composers シリーズ、
Roger Edens という人を2回に分けて取り上げたいと思います。
Roger Edens はミュージカル映画全盛期における作曲者、アレンジャー、そして映画製作者でもありました。特に女優、シンガーのジュディ・ガーランド(Judy Garland)のデビューの頃からのトレーナーであり、生涯に渡って彼女をサポートした人でもあります。今回は Roger Edens の足跡を辿り、第2回目は彼が渾身を賭けて、映画製作者、作曲者として手掛けた映画『パリの恋人』(Funny Face、1957)の楽曲を中心に取り上げていきたいと思います。
Roger Edens は1905年、ヒルズボロでアイルランド系アメリカ人一家に生まれています。最初の仕事はブロードウェイ界隈のダンスホールでピアノを弾いていました。1920年代の終わりにミュージカル女優、エセル・マーマン(Ethel Merman)のミュージカル『Girl Crazy』のオーケストラで演奏していました。映画『百万弗小僧』(KID MILLION、1934)にエセル・マーマンが出演することになり、Roger Edens は彼女と一緒にハリウッドに向かいます。そこでMGM映画社で昇進したばかりの製作責任者のアーサー・フリード(Arthur Freed)と出会い、スカウトされます。
MGM映画社には、作曲家、Burton Lane に見出されたばかりでまだ新人のジュディ・ガーランドがいました。アーサー・フリードはまず Roger Edens にジュディ・ガーランドの音楽トレーナーの仕事を与えます。ジュディ・ガーランドがクラーク・ゲーブルの誕生日に歌った "Dear Mr. Gable: You Made Me Love You" の詩を書いたのは Roger Edens でした。
Roger Edens はジュディ・ガーランドが出演した作品、映画『初恋合戦』(LOVE FINDS ANDY HARDY、1938)、映画『BABES IN ARMS』(BABES IN ARMS、1939)、映画『STRIKE UP THE BAND』(1940)、映画『ブロードウェイ』(BABES ON BROADWAY、1941)、映画『美人劇場』(ZIEGFELD GIRL、1941)、『若草の頃』(MEET ME IN ST. LOUIS、1944)といった作品に楽曲を提供していきました。
MGM映画社のプロデューサー、アーサー・フリードは Roger Edens のその仕事振りとその手腕を買い、MGM映画社で準プロデューサーとしても作品に参加するようになります。アーサー・フリードは元々、作詞家出身でしたので、優れた作曲家、編曲家からの意見も取り入れて映画製作をしていきたいと考えていたのかも知れません。
When You Walk Down Mainstreet with Me(Roger Edens-Adolph Green-Betty Comden) From "ON THE TOWN" / Gene Kelly and Vera-Ellen(1949)
まずは1949年の映画『踊る大紐育(ニューヨーク)』(ON THE TOWN)から2曲。このミュージカル映画は"New York, New York" を書いた著名な作曲家、Leonard Bernstein の楽曲を中心に構成されています。あまり知られていませんが音楽監督を務めた Roger Edens もこの映画に数曲、書き下ろしています。それがどれも楽しくキュートな曲です。物語はニューヨークに上陸した3人の水兵の24時間の休暇を描いています。まずは、ジーン・ケリー(Gene Kelly)とヴェラ=エレン(Vera-Ellen)の恋愛模様を。2人のダンスがとても可愛らしいです。
You're Awful(Roger Edens-Adolph Green-Betty Comden) From "ON THE TOWN" / Frank Sinatra and Betty Garrett(1949)
同じく、映画『踊る大紐育(ニューヨーク)』から。監督は出演者であるジーン・ケリーとスタンリー・ドーネン(Stanley Donen)が共同で行いました。これはフランク・シナトラ(Frank Sinatra)とベティ・ギャレット(Betty Garrett)の恋模様。フランク・シナトラが夜の摩天楼でロマンチックに歌い上げます。
続いてジュディ・ガーランドの歌唱を。出会ってから約30年に渡り、友情を暖めたジュディ・ガーランドに提供した楽曲を聴いてみたいと思います。
Our Love Affair(Roger Edens-Arthur Freed) From "STRIKE UP THE BAND" / Mickey Rooney & Judy Garland(1940)
Our Love Affair(Roger Edens-Arthur Freed) / Frank Sinatra with Tommy Dorsey Orchestra(1940)
1940年の映画『STRIKE UP THE BAND』(1940)のために書かれた楽曲、"Our Love Affair"。詩を書いたのは、製作者であるアーサー・フリードです。映画では相方のミッキー・ルーニー(Mickey Rooney)と一緒に歌っています。
同年にジュディ・ガーランドはシングル盤をリリースしましたが、若き Frank Sinatra が Tommy Dorsey Band 時代に歌ったバージョンが Billboard charts の5位につけ、ヒットします。そのバージョンも合わせて。
It's a Great Day for the Irish(Roger Edens) / Judy Garland(1940)
It's a Great Day for the Irish(Roger Edens) / Connie Francis(1962)
1940年の映画『LITTLE NELLIE KELLY』の1シーンから。Roger Edens はジュディ・ガーランドのボリュームある歌唱力を示すためにこの曲を書いたを言われています。アイルランド系アメリカ人の Roger Edens にとっても大切な1曲となりました。翌年、シングルをリリースしヒット。アレンジを手掛けたのは David Rose でこれがきっかけで1941年に女優、ジュディ・ガーランドと結婚します(1945年離婚)。1962年に Connie Francis も取り上げていますので、これも合わせて。
It's Lovely To Be Back In London(Roger Edens) / Judy Garland(1957)
時代は過ぎ、1957年の作品です。同年にロンドンのドミニオン劇場で行われた『The Judy Garland Show』の為に書かれた曲だそうです。詩も Roger Edens が書いています。