2021.01.19 - Cinema Music Composers | ||
You Only Live Twice
John Barry (1966) |
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(2021年1月18日SSB「ウシで棚つか」で、John Barry "Midnight Cowboy" がかかりました。そして、2020年10月31日に亡くなったショーン・コネリー(Sir Thomas Sean Connery)を偲んで)
Cinema Music Composers シリーズ、
今回はイギリスの映画音楽家、John Barry を2回に分けて取り上げます。
John Barry は1933年、イギリスでヨークで生まれました。母親はピアニストで子どもの頃から音楽と親しんでいたそうです。イギリス陸軍に従軍していた時からトランペットを吹いていたとのこと。その時のメンバーが中心となって、1957年に自身のバンド、The John Barry Seven を結成します。Columbia Records と契約して、レコードをリリース。音楽スタイルは時代を反映してロックンロールでした。後に "It's Not Unusual" などを書くソングライター、そしてイギリスを代表する音楽プロデューサーとなる Les Reed も The John Barry Seven に在籍していました。
The John Barry Seven はテレビ番組でバック演奏、当時のアイドルシンガー、Adam Faith などに楽曲提供していきます。1959年、その Adam Faith が出演したティーン向き、ロックンロール映画『狂っちゃいねえぜ』(BEAT GIRL)の音楽を担当することになります。演奏は The John Barry Seven。トランペットを吹いているのが、John Barry です。
Beat Girl(John Barry) From "BEAT GIRL"/ The John Barry Seven(1959)
聴いての通り、全面にロックンロール・スタイルを表に打ち出したナンバーです。ここで印象的なエレキギターを弾いていたのが、The John Barry Seven のギターリストの Vic Flick でした。1960年は、アメリカで The Ventures が "Walk, Don't Run" をヒットさせた年であり、The John Barry Seven も同年、この曲を Vic Flick のギターをフィーチャーして、"Walk, Don't Run" をリリースします。この曲、元々は1954年のジャズギターリスト、Johnny Smith の曲です。
Walk Don`t Run(Johnny Smith) / John Barry Seven(1960)
1962年、イギリスで1本のスパイ映画が製作されます。映画『007は殺しの番号』(DR. NO)。その音楽を担当したのは、Monty Norman という音楽家でした。その Monty Norman が作ったテーマ曲にメリハリつけるために、演奏に白羽の矢が立ったのが、The John Barry Seven でした。John Barry はそのテーマ曲を緊張感ある、スリリングな音像に仕上げるため、大幅にアレンジを施したと言われています。ここでも Vic Flick のギターを大きくフィーチャーしました。
The James Bond Theme(Monty Norman) From "DR. NO" / The John Barry Seven and Orchestra(1962)
John Barry はここで"007シリーズ"と縁が出来、第2作目にあたる映画『007/ロシアより愛をこめて』(ROM RUSSIA WITH LOVE、1963)では劇判を担当。シリーズ3作目の映画『007/ゴールドフィンガー』(GOLDFINGER、1964)では劇判のみならず、主題歌も担当することになります。
第1回目は、その"007シリーズ"を中心に1960年代の作品を聴いていきたいと思います。
Goldfinger(Leslie Bricusse-Anthony Newley-John Barry) / Anthony Newley(Demo、1964)
Goldfinger(Leslie Bricusse-Anthony Newley-John Barry) From "GOLDFINGER" / Shirley Bassey(1964)
John Barry が"007シリーズ"で初めて主題歌を担当したのが、この曲になります。詩は、Leslie Bricusse-Anthony Newley チームに託されました。Shirley Bassey 版が作成される前に Anthony Newley 歌唱のデモが作られました。1963年、John Barry はシンガー、Shirley Bassey のツアーのコンダクターを務めていました。それもあって映画『ゴールドフィンガー』(GOLDFINGER、1964)で正式に取り上げられたのは Shirley Bassey のバージョンとなりました。演奏には先の Vic Flick、Jimmy Page なども参加していたようです。プロデュースに就いたのは、George Martin です。
You Only Live Twice(Leslie Bricusse-John Barry) From "YOU ONLY LIVE TWICE" / Nancy Sinatra(Soundtrack Ver.1967)
You Only Live Twice(Leslie Bricusse-John Barry) / Nancy Sinatra(Reprise Records Ver.1967)
007シリーズ5作目、映画『007は二度死ぬ』(YOU ONLY LIVE TWICE、1967)の主題歌。日本が舞台となった作品で、童話作家で知られるロアルド・ダール(Roald Dahl)が脚本を書きました。当初は Frank Sinatra にオファーが行ったようですが、最終的に娘の Nancy Sinatra が歌いました。タイトルバックとなったサウンドトラックのバージョンとアメリカで録音されたバージョンの2種あります。アメリカ・バージョンは Billy Strange がアレンジをしました。エキゾティックな匂いとジョン・バリー節が相まって独特な雰囲気があるナンバーです。
We Have All The Time In The World(Hal David-John Barry) From "ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE" / Louis Armstrong(1967)
007シリーズ6作目、映画『女王陛下の007』(ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE、1967)の挿入歌。Louis Armstrong によって歌われました。詩は Hal David が書きました。録音もアメリカで行われ、Phil Ramone がプロデューサーに就きました。
How Much Of The Dream Comes True(Trevor Peacock-John Barry) / Barbra Streisand(1965)
第1回目の最後の曲は John Barry が手掛けたミュージカル作品から。1965年、イギリスで初演となったミュージカル『The Passion Flower Hotel』のナンバーです。1965年リリースの Barbra Streisand のアルバム『My Name Is Barbra, Two...』で取り上げられました。アレンジは Don Costa です。王道なミュージカルナンバー、素敵な曲です。