2021.03.11 - Magic Voice
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Lover Boy
The Blossoms Stories Part 1
(1966)
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Magic Voicesシリーズ、
女性ボーカルグループ、The Blossoms を取り上げます。
The Blossoms は主に1960年代、西海岸を拠点に活躍した女性コーラスです。特に卓越したコーラスワークはその西海岸で活躍したミュージシャン、音楽プロデューサー、アレンジャーに厚い信頼を得て、数多くのレコーディングセッションに参加しました。
今回、The Blossoms の成り立ちを含め、スタジオでの各コーラスワーク、そして個々のメンバーについて、以下のように5回に分けて掘り下げていきたいと思います。題して、『The Blossoms Stories』です。
第1回:The Blossoms の成り立ちと初期の作品
第2回:1967年以降、The Blossoms がリリースした作品
第3回:The Blossoms がコーラスで参加した作品
第4回:The Blossoms が別名グループでリリースした作品
第5回:The Blossoms の個々のメンバーがリリースした作品
第1回:The Blossoms の成り立ちと初期の作品
第1回目は The Blossoms の成り立ちから触れていきたいと思います。
The Blossoms を語る場合、その原型となったコーラスグループ、The Dreamers について触れてきましょう。
1950年中期、カリフォルニア州ロサンゼルスで歌うことが好きな女子高校生達が The Dreamers と名乗って、校内で歌うようになりました。その中心にいたのは Fanita Barrett(のちに Fanita James と名前が変わります)という少女で、彼女のお兄さんの Ronald Barrett は既に Doo Wop グループの The Meadowlarks で活動していました。この The Meadowlarks は1960年代に入って The Larks となります。The Dreamers は最大6人いたようで、以下がオリジナルメンバーとなります。
The Dreamers (1954-1957):
Fanita James(Fanita Barret)
Gloria Jones
Annette Williams(双子の姉妹)
Nanette Williams(双子の姉妹)
Jewel Cobbs
Pat Howard
* 写真:The Dreamers、左上から Fanita Barrett、Gloria Jones、Annette Williams、Nanette Williams
1954年、The Dreamers の少女達は同じ高校に通っている Richard Berry という若い青年と出会います。Richard Berry はそれまで The Flairs という Doo Wop グループに参加していました。この Richard Berry は1957年に The Kingsmen や Paul Revere & the Raiders が歌い継ぐことになる "Louie, Louie" を作った人です。Richard Berry と The Dreamers は The Flairs がリリースしていたレコード会社、Flair Records から、数枚のシングルをリリースしました。こうやって The Dreamers はプロの道に進み始めます。
1957年、The Dreamers は Capitol Records と契約します。Capitol Records の1人の幹部がメンバーの肌の色合いがそれぞれ異なって、花束のように見えたと言い出したことから、グループ名が The Blossoms と変更となります。The Blossoms は Eddie Beal And His Orchestra をバックに数枚のシングルをリリースします。
その頃になると、双子の Williams 姉妹が結婚等でグループを離れていき、メンバーチェンジが行われます。そこで The Blossoms に新たに加入したのが、Darlene Wright こと Darlene Love でした。
The Blossoms(1858-1962):
Fanita James
Gloria Jones
Darlene Love
* 写真:Darlene Love(一番右)が The Blossoms に加入した頃
第1回目の今回は The Dreamers を含む The Blossoms が1966年までリリースした作品を順を追って聴いてみたいと思います。
At Last(Richard Berry) / The Dreamers Featuring Richard Berry(1954)
1954年に Richard Berry が作った曲に後に The Blossoms となる The Dreamers がコーラスで参加した Doo Wop ナンバー。Richard Berry を含め、全員まだ10代の歌声です。
He Promised Me(Dottie Wayne) / The Blossoms(1957)
1957年にメジャーの Capitol Records と契約直後の The Blossoms としての1枚目のシングルとなります。Eddie Beal And His Orchestra の演奏で歌っています。Darlene Love がまだ加入前のしっとりしたバラード曲です。
Have Faith In Me(Ed Townsend) / The Blossoms(1958)
続いて、Capitol Records から1958年にリリースしたナンバー。"For Your Love"などのソングライティングで知られる Ed Townsend が曲を書いています。この頃になると Darlene Love が既に加入してバックで歌っているのが分かります。
That's When The Tears Start(Van McCoy) / The Blossoms(1965)
1960年前半、The Blossoms はスタジオでのコーラスグループとして知名度が定着。毎日、スタジオで他のミュージシャン達のためのコーラスワークに追われる日々で、The Blossoms としてレコーディングすることは殆どありませんでした。心機一転、この曲は1965年に The Blossoms として Reprise Records からの再デビューした曲です。曲は Van McCoy が書いており、Jimmy Bowen がプロデュースを担当、アレンジは Ernie Freeman が施しています。Darlene Love のリードボーカルがすっかり定着しています。
Lover Boy(David Gates) / The Blossoms(1966)
1966年、Reprise Records からの続いてのシングル。曲は David Gates が書き、前作と同じく Jimmy Bowen がプロデュースを担当、アレンジは Ernie Freeman が施しています。
(富田英伸)