2021.04.09 - Magic Voice
A Long Way To Be Happy A Long Way To Be Happy
The Blossoms Stories Part 5

(1965)

Magic Voicesシリーズ
今回は女性ボーカルグループ、『The Blossoms Stories』の第5回目(最終回)です。

第5回:The Blossoms の個々のメンバーがリリースした作品

最終回の第5回目は、The Blossoms のメンバー各々のソロ作品を聴いてみたいと思います。


Fanita James

Fanita James は1938年、ミズーリ州セントルイス生まれで、The Blossoms の前身にあたるグループ、The Dreamers が1954年頃に結成の時からのオリジナルメンバーとなります。彼女の兄の Ronald Barrett は既に Doo Wop グループの The Meadowlarks で活動。この The Meadowlarks は1960年代に入って The Larks となります。Fanita James を含む The Dreamers のメンバーの一部は The Rollettes と名乗って活動していた時期もあります。

1962年には、Phil Spector によって、Fanita James と、Darlene Love、Bobby Sheen の3人のメンバーで、Bob B. Soxx And The Blue Jeans が結成され、アルバムもリリースしました。

Zip-A-Dee Doo-Dah(A.Wrubel-R.Gilbert) / Bob B Soxx & The Blue Jeans(1962)

1962年、Philles Records からリリースされた Bob B Soxx & The Blue Jeans のデビューシングル。元々は1946年のディズニー映画『南部の唄』(Song of the South)の挿入歌です。多くのカバーが存在しますが、この Bob B Soxx & The Blue Jeans のバージョンはヒットし、Billboard Hot 100 の8位を記録しました。


Going Out of My Head(Teddy Randazzo-Bobby Weinstein) / The Blossoms (with Fanita James singing lead)(1964、Live)

The Blossoms が出演しているテレビ番組『Shindig!』で、Fanita James がリードをとったものがあったのでそれも合わせて。Little Anthony & the Imperials で知られる、Teddy Randazzo が作った "Going Out of My Head" を歌っています。

なお、彼女は現在もかつてメンバーだった Gloria Jones らと共に The Blossoms として活動を続けているようです。


*写真 : The Rollettes、左から Fanita Barrett(Fanita James )、Annette Williams、Gloria Jones


Jean King

Jean King は1938年、シカゴ生まれ。1964年頃に The Blossoms に加入しています。1962年頃から1964年辺りは、Philles Records を中心にスタジオワークが多く、(非公式かもしれませんが)メンバーも入れ替わりも多かったようです。しかし、Jean King が加入してからは、Darlene Love が1974年に抜けるまで、Fanita James、Darlene Love、そして、Jean King の3人のメンバーで安定した活動を続けました。しかし、Jean King は1983年に若くして他界しました。


The Nicest Things Happen (Julius Wechter-Cissy Wechter) / Jean King (1965)

Sonwriterシリーズ、Julius Wechter の項でも取り上げたナンバー。詩は奥さんの Cissy Wechter が書いています。後に Herb Alpert & The Tijuana Brass も取り上げています。


Don't Say Goodbye (Gil Garfield-Perry Botkin Jr.) / Jean King (1966)

Sonwriterシリーズ、Gil Garfield & Perry Botkin Jr. の項でも取り上げたナンバー。アレンジは Perry Botkin Jr ではなく、Ernie Freeman が担当しています。ビブラフォンを使った洒落たアレンジです。ビブラフォンはJulius Wechter だと思います。プロデュースはコーラスでも有名な Stan Farber がやっています。


*写真 : Jean King


Gracia Nitzsche

1936年生まれの白人セッションボーカリストで、Philles Records のアレンジャーの Jack Nitzsche の奥様。Phil Spector の意向で、The Blossoms のメンバー3人では音圧的に不足している等の理由で、レコーディングに参加するようになります。オリジナルメンバーだった、Gloria Jones がグループを離れ、
Gracia Nitzsche が正式にグループ参加した模様です。ここで唯一の白人メンバーとなりますが、1964年に Jean King と交代しました。Sammi Lynn の名義で数枚シングルリリース。Jack Nitzsche がプロデュースした The Satisfactions というスタジオプロジェクトでもレコードをリリースしました。


Blue Butterfly(Jack Nitzsche-Markovitch) / Sammi Lynn(aka Gracia Nitzsche)(1961)

1961年に Gracia Nitzsche が Sammi Lynn 名義で Sue Records からリリースしたシングル。曲は夫である Jack Nitzsche が書いています。ロマンティックなバラード曲で、甘いハスキーな声をしています。


I Didn't Have Any Summer Romance(Carole King-Gerry Goffin) / The Satisfactions(1966)

The Satisfactions は1966年に Jack Nitzsche が Sunset Sound Recorders で行った "ウォール・オブ・サウンド" を意識したプロジェクトです。そこでメインボーカルを執ったのが、妻の Gracia Nitzsche でした。この曲は1962年に Carole King がリリースした曲で、そのカバーにあたります。


*写真 : Jack Nitzsche 、Gracia Nitzsche 夫妻



Edna Wright

Darlene Love の妹で、1962年頃から約2年間、The Blossoms に在籍していた記録が残っています。ちょうど、Philles Records で多くのセッションに参加した時代なので、メンバーだったのは一時的なものだったのかもしれません。同時期に Carolyn Willis という女性も The Blossoms に在籍しています。1968年に 作家チーム Holland–Dozier–Holland が新しいガールソウルグループを結成する際に、声をかけたのが、Edna Wright と Carolyn Willis でした。Shelly Clark という女性を加え、Honey Cone が結成されます。Honey Cone で Hot Wax から4枚程のアルバムをリリースしました。1977年にはソロアルバム『 Oops! Here I Go Again』をリリースします。


Oops! Here I Go Again(Perry-Smith-Wright) / Edna Wright(1977)

1977年にリリースしたソロアルバム『Oops! Here I Go Again』から表題曲を。プロデュースは、 Invictus / Hot Wax Records で Holland-Dozier-Holland の下で、キーボードやアレンジを担当していた Greg Perry です。


*写真 : Edna Wright



Carolyn Willis

Edna Wright と同じく、1962年から約2年間、The Blossoms に在籍していた Carolyn Willis。1963年には The Blossoms のメンバーだった Nanette Williams、Gloria Jones と The Girlfriends というグループ名で、David Gates のペンになる "My One And Only Jimmy Boy" をリリースしました。先述のように Edna Wright と一緒に Honey Cone に所属します。


| Get Closer(Dash Crofts-James Seals) / Seals & Crofts Featuring Carolyn Willis(1976)

1976年、デュオチーム、Seals & Crofts が Carolyn Willis をフィーチャーして、"Get Closer" というシングルをリリース。Seals & Crofts と一緒に歌っている映像を。


*写真 : Honey Cone、左から Shelly Clark、Carolyn Willis、Edna Wright


Darlene Love

Darlene Love こと Darlene Wright は1941年、ロスアンゼルス生まれ。幼い頃から妹 Edna Wright と一緒に聖歌隊で歌っていました。The Blossoms 加入前は、The Echoes という Doo Wop グループに在籍していました。1958年、The Blossoms に加入してからはスタジオワークが増え始めます。Darlene Wright を Darlene Love と命名したのは Phil Spector と言われています。The Crystals 名義やBob B Soxx & The Blue Jeans 名義のみならず、ソロシンガー、Darlene Love としても Philles Records からシングルレコードをリリースしました。


He's A Quiet Guy(Andreoli-Poncia-Spector) / Darlene Love(1964)

A Long Way To Be Happy(Gerry Goffin-Carole King) / Darlene Love(1965)

Philles Records から2曲、Darlene Love の歌声を聴いてみたいと思います。
1964年から1965年辺りの Gold Star Studio の"鳴り" が良く秀作が多いです。Darlene Love の声はバックの演奏にまったく負けていないです。



*写真 : Darlene Love と Phil Spector
(富田英伸)

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