2021.08.01
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ハイウェイ・ソング
センチメンタル・シティ・ロマンス
追悼 中野督夫 (2021)
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「センチじゃなくてシュガーかよ」とのセリフは中野督夫さんが山下達郎の登場で大興奮の会場へ放ったすてぜりふ。2008年10月のセンチ35周年記念ライブでのできごとでした。
筆者がセンチメンタル・シティ・ロマンスの音に最初に はまった のは、竹内まりや「Natalie」(1981) でした。達郎さんとの結婚が決まって発表されたアルバム『ポートレイト』の1曲ですが、センチのコクあるカントリーサウンドがまりやさんと完璧に合っていました。デビュー当時のまりやさんのツアーのバックはセンチがしていましたが、その時代に間に合わなかったー。
センチメンタル・シティ・ロマンスとシュガー・ベイブは駆け出しの時期が一緒で、多くの共演があったといいます。最初の対バンは1974年6月25日の池袋シアターグリーンでした。circustown.net の森勉氏のインタビューでその模様が語られていますが、テレビで知ったセンチを観に行ったらシュガーにびっくりした森さん、お客は10人?!この時、中野督夫20歳、山下達郎21歳。どんなステージだったのでしょう。まだ「ハイウェイソング」も「ダウンタウン」もありません。
1975年にセンチ、シュガーともにデビューアルバムを発表します。
『Songs』 シュガー・ベイブ (1975.4)
『センチメンタル・シティ・ロマンス』(1975.8)
70年代のセンチの諸作は、当時色々あったのかもしれませんが、今となっては「とても良い」の一言ですよねえ。
そして、竹内まりやが1978年にデビュー。
『Beginning』竹内まりや (1978.11)
このアルバムはB面がセンチの演奏とプロデュース(のようなもの)で、またシュガー代表の山下達郎と大貫妙子が曲を提供していました。
時は流れて25年、三者のコラボが再び実現します。竹内まりやが自作曲の演奏にセンチを起用しました。センチ+達郎+伊藤広規の豪華キャスト。センチを得てこれぞのまりやさんでしたが、とくに「シンクロニシティ」は全員揃っての演奏シーンが映像まで残され本当によかったと思います。
「シンクロニシティ」竹内まりや (2006.9)
「人生の扉」竹内まりや (2007.8)
そして2011年にセンチの待望の新譜が発表されました。筆者にとっては初のリアルタイム新譜。とっても嬉しかったのです。
『やっとかめ』センチメンタル・シティ・ロマンス (2011.8)
「Natalie」は竹内まりやと共に
さて冒頭のシーンに戻りますが、2008年10月の渋谷クラブクアトロ、センチメンタル・シティ・ロマンス35周年記念ライブでのできごと。シークレットゲストでまりやさんが出演し、センチと2曲歌ったところでさらにギター伴奏のために山下達郎が登場。会場は まりやさん までは薄々期待していたのですが、達郎さん。そりゃわきますよね。「おみゃーら」と言ったかどうかは覚えていませんが、督さんと達郎さんの深く長い因縁もとい親交を一言でわからせてくれました。ドラムも当然、野口明彦さん。センチ+達郎バックの「人生の扉」は忘れられない1曲です。
督さんの思い出をもう一つ。四ツ谷あたりだったと思いますが、文字どおり通りがかりの筆者がワンマンライブ中の督夫さんに遭遇。といっても会場の路面店の前をたまたま歩いていただけ。通りを背に歌う督夫さんを窓越しに見入ってしまう。ポカーンと覗いていたら見つかってしまった。「入ってこい」と身振り手振りであの笑顔で。会釈してご辞退したのですが、ネタにされてましたね。ただの通行人の私まで遊んでくれた督さんを忘れられません。
中野督夫さんのご冥福をお祈りします。
今日の1曲
(たかはしかつみ)
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