2021.09.20 - Songwriter
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So Much In Love
Billy Jackson
(1963)
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(2021年9月19日SSB『棚からひとつかみ』で The Tymes "So Much In Love" がかかったので、2016年10月11日分をアップグレードして再アップします。)
Songwriterシリーズ、
Billy Jackson を取り上げます。
Billy Jackson はフィラデルフィアを中心に1950年代後半から1970年代にかけて、Jerry Ross 、John Madara-David White と同じ時代に活躍したソングライター、プロデューサーです。
1954年、フィラデルフィアで、The Re-Vels Quartette というグループが結成され、まだハイスクールに通っていた Billy Jackson はそのグループに参加します。
1950年代後半、このグループは徐々に時代の流れとともに Doo Wop スタイルをとるようになり、グループ名も The Revels に変更。1959年には Billy Jackson が書いた"Midnight Stroll" という曲が小ヒット。"Midnight Stroll"とは"夜、彷徨うウォーキング・デッド=ゾンビ"のこと。The Revels は次のシングルも "Foo Man Choo"(怪人フーマンチュー)と怪奇モノでシングル・リリースしたちょっと変わったグループでした。
写真 : The Revels、中心に写っているのが、Billy Jackson
1960年代に入ると、The Revels での活動を続けながら、後にフィラデルフィア中心に活躍することになる優秀なアレンジャー Jimmy Wisner と Jackson-Wisner Production を設立し、2人で作った楽曲を売り込みをかけるようになります。ジャズ畑の Jimmy Wisner としてもポップス音楽活動の出発点は Billy Jackson とのコラボのようです。2人は Cameo-Parkway Records を拠点にプロデュース活動を開始しします。
1962年頃になると、1956年にフィラデルフィアで結成されたボーカル・グループ The Tymes に楽曲提供するようになります。その多くが当時、The Tymes のプロデュース、アレンジを手掛けていた Roy Straigis という人との共作です。Roy Straigis 自身も優れたソングライターでした。
1963年、Billy Jackson、Roy Straigis、そして The Tymes のリードシンガーの George Williams で共作した "So Much In Love" がUS Billboard 100 の1位となります。その後、この曲を取り上げた人数知れず、多くのミュージシャンに愛される名曲となりました。
同時期に Billy Jackson が楽曲を提供したミュージシャンには、The Tymes の他、ガールグループの The Swan、フィラデルフィアで活躍した女性3人、男性1人のグループ The Orlons、Len Barry が所属していた The Dovells などがあります。
1960年代中期、 "Billy The K" などの名前を用いて、プロデューサー としても活躍。スタッフにアレンジャーとして有名になる Thom Bell や Bobby Martin 等の名前も見つけることができ、いわゆる "フィリー・ソウル開花"に大きく貢献していきます。Billy Jackson は2016年に亡くなりました。
例によって一部ですが、Billy Jackson が書いた作品を時代を追って聴いてみたいと思います。
When You Come Back To Me(Jackson-Grant) / The Re-Vels(1958)
Billy Jackson が在籍していたグループ The Re-Vels によるしっとりとした雰囲気ある Doo Wop バラード。Billy Jackson は同グループ内でも多く楽曲を書いています。
True Love(Billy Jackson-Jimmy Wisner) / The Re-Vels(196x)
同じく、The Re-Vels がリリースした楽曲ですが、1960年初期の作品。リズムも洗練してきたのがわかります。後にアレンジャーとして活躍することになる Jimmy Wisner との共作曲です。シャッフルビートが効いたなんとも心地よいリズムです。
So Much In Love(Jackson-Williams-Straigis) / The Tymes(1963)
1963年、The Tymes がリリース。多くの人に愛された素敵なメロディ。冒頭に波のSEが入っていないバージョンもありますが、SEが入っている方が気にいっています。The Re-Vels は1958年に "So In Love" という似たタイトルの曲をリリースしたことがあります。メロディは違いますが、誕生のヒントになったのかもしれません。
You Asked Me to Be Yours(Jackson-Williams-Straigis) / The Tymes(1963)
1963年に The Tymes がリリースしたアルバム『So Much In Love』に収録されていた曲。"So Much In Love" と同じく、Billy Jackson、アレンジャー、プロデューサー Roy Straigis、リード・シンガーの George Williams の共作です。ちょっとジャズ的アプローチなロマンティックな1曲です。
Wonderland of Love(Billy Jackson) / Tymes(1964)
"So Much In Love" と同様、フィンガースナップから始まるメロディー。雰囲気は "So Much In Love" に似ています。とってもいいメロディ。大好きな曲です。この楽曲は Billy Jackson 単独クレジットです。
The Boy With The Beatle Hair(Jackson-Ross-Gamble-Renzetti) / The Swans(1963)
1963年、Cameo-Parkway Records からリリースしたガールグループもの。Billy Jackson、この時期チームであった Jerry Ross と Kenny Gamble そして、アレンジャーの Joe Renzetti の珍しい共作です。タイトルは同時期、イギリスでデビューしたばかりの The Beatles に由来しています。
Willyam Willyam(Billy Jackson-Jimmy Wisner) / Dee Dee Sharp(1963)
1963年、Cameo-Parkway Records からリリース。後に Kenny Gamble 夫人となる Dee Dee Sharp に提供した楽曲。Jackson-Wisner Production 作品です。
Once Upon A Time(Billy Jackson-Jimmy Wisner-Joe Renzetti) / The Orlons(1967)
フィラデルフィアで結成された女性3人、男性1人のグループ The Orlons に提供したが楽曲。Billy Jackson-Jimmy Wisner チームにアレンジャー Joe Renzetti が共作したこれも珍しい作品。アレンジはその Joe Renzetti が担当しています。これもシャッフルビートが効いた心地よいメロディです。
The Love That You're Looking' For (B.Jackson-T.Bell-L.Andrews) / The Tymes(1969)
またまたシャッフルビートが続きます。Billy Jackson は1960年代後期に入っても The Tymes とはいい関係を築き上げ、楽曲提供、プロデュースを担当しました。Thom Bell らとの共作曲。アレンジはフィラデルフィア出身の Richie Rome が担当。Jimmy Wisner と Billy Jackson の共同プロデュース作品です。
Love's Illusion(Billy Jackson-Robert Treadway-Taro Meyer) / The Tymes(1976)
1976年に The Tymes がリリースしたアルバム『Turning Point』に収録されていた作品。アルバムは プロデューサーは Billy Jackson、アレンジは Richie Rome が担当。その時代に沿ったフィリー・ダンス・ナンバーです。
写真 : Cameo-Parkway Records 時代の Billy Jackson(中央)、Joe Tarsia(左、Cameo-Parkway Records のチーフ・エンジニア、後に Sigma Sound Studios を設立。) Roy Straigis(右、プロデューサー、アレンジャー)
(富田英伸)