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Bob Gaudio その1:The Four Seasons 誕生

2021.11.03
Sherry

Sherry

Bob Gaudio Part 1

(1962)

#Songwriter

(2021年10月31日SSB『ベタリク』で The Four Seasons " Sherry" がかかったので)

Songwriterシリーズ
今回は Bob Gaudio を取り上げます。

Bob Gaudio は 1960年代から1970年代にかけて、The Four Seasons の中核メンバーとして、作曲、キーボード、バックボーカルとして活躍したことのみならず、1980年代以降においても作曲、プロデューサーとしてアメリカのポピュラー音楽を長い歴史の中で支えてきた人です。

Bob Gaudio を5回に分けて取り上げていきます。

第1回 : Royal Teens から The Four Seasons "Sherry" が生まれるまで
第2回 : Bob Gaudio が The Four Seasons 以外の他のミュージシャンへの楽曲提供、プロデュースした作品について (その1)
第3回 : Bob Gaudio が The Four Seasons 以外の他のミュージシャンへの楽曲提供、プロデュースした作品について (その2)
第4回 : Bob Gaudio が The Four Seasons 全盛期に 書いた作品について (その1)
第5回 : Bob Gaudio が The Four Seasons 全盛期に 書いた作品について (その2)



第1回 : Royal Teens から The Four Seasons "Sherry" が生まれるまで


Bob Gaudio こと Robert John Francis Gaudio はニューヨーク州、ブロンクスで生まれています。子どもの頃からピアノに触れていたそうです。その後、ニュージャージー州のバーゲンフィールドに移住。バーゲンフィールド高校在籍中の友人らとともに1957年にロックンロールバンド、Royal Teens を結成します。

特に親しかったメンバーで、ドラムス担当の Tom Austin と Bob Gaudio がドライブをしていた時、ショートパンツのジーンズ姿の女の子達を見かけ、それをヒントに "Shorts Shorts" という曲を作ります。1957年に Power Records というマイナーレーベルからリリース。翌年にメジャーの ABC-Paramount Records からリリースされると、Billboard Hot 100 の3位を記録します。

翌年の1958年に大きな出会いがあります。グループ、The Four Lovers のメンバー達との出会いです。The Four Lovers はそれまで、The Variatones などいくつかの名前を経て、1956年には "You're the Apple of My Eye" の小ヒット曲も持っていました。The Four Lovers のメンバー、特にリードボーカルの Frankie Valli は Bob Gaudio の作曲能力に将来性を見い出し、The Four Lovers のメンバーに引き入れます。その仲介したのが、現在、俳優で知られるジョー・ペシ (Joe Pesci) と言われています。このことは2014年の映画『ジャージー・ボーイズ』 (JERSEY BOYS) で描かれていました。ジョー・ペシは1968年にシンガーとしてボーカルアルバムをリリースしています。

ちなみに Royal Teens は Bob Gaudio がグループから離れた後も1965年頃まで活動を続けますが、Bob Gaudio が離れた頃に加入したのが、Al Kooper でした。

1958年から1960年頃にかけては、The Four Lovers は Bob Gaudio 以外に後にアレンジャー、プロデューサーとして活動することになる Charles Calello がべ―シストとしてメンバーに加わり、後の The Four Seasons の主要メンバー、スタッフが形成されていきます。但し、この頃は The Four Lovers 名義でレコードをリリースすることは殆どなく、主に活動の主体はレコーディングセッションでした。そのレコーディングセッションを通じて、音楽プロデューサー、Bob Crewe と出会い、Bob Crewe をプロデューサーに迎え、The Four Lovers は契約更新の契機に The Four Seasons として再スタートを切ります。

1961年、Bob Crewe が作った曲、"Spanish Lace" で Gone Records からシングルをリリース。Bob Crewe はこれをヒットさせることができなかったため、Vee-Jay Records にアプローチをかけ、The Four Seasons はVee-Jay Records の最初の白人ミュージシャン・グループとなります。1962年の7月、Bob Gaudio が書いてきた曲、"Sherry" でシングル・リリース、U.S. Billboard Hot 100 の1位に輝きます。

The Four Seasons の " Sherry" がヒットする1962年頃まで Bob Gaudio が書いた曲を聴いていきたいと思います。


Short Shorts (Tom Austin-Bob Gaudio) / Royal Teens (1957)

1957年、高校だった Bob Gaudio 達が結成したグループ、Royal Teens のヒット曲。Billboard Hot 100 の3位となります。共作者はドラムス担当の Tom Austin。その Tom Austin が口笛を鳴らし、ギターがスライド、"Man, dig those crazy chicks" の喋りで始まります。これが当時のティーンズにはイカして聴こえたんだと思います。
サックスはオリジナルメンバーの Bill Crandall が吹いたとされていますがこの映像に映っているのは、Larry Qualiano という人。Larry Qualiano は後に Jackie Wilson や Buddy Holly、Sam Cooke のツアーに参加したそうです。
歌っている女性は Diana Lee という Royal Teens のメンバーと同じ事務所で働いていた女性とのことです。左側でキーボードを弾いているのが Bob Gaudio です。
日本国内では長寿テレビ番組『タモリ俱楽部』のテーマ曲として知られているお馴染みの曲です。


Trance (Bob Gaudio) / Billy Dixon & The Topics (1961)

The Four Seasons 結成直前の頃の作品。The Four Seasons がBilly Dixon & The Topics 名義で、Topix Records からリリースしています。プロデュースは Bob Crewe。Bob Crewe のプロデュースによる数々のレコードセッションの延長線上で作成されたナンバーのようです。リードボーカルは紛れもなく、Frankie Valli です。


I Am All Alone (Bob Gaudio) / Billy Dixon and The Topics (1961)

先のナンバーのB面に収録された曲。同じく、Bob Crewe プロデュース作品。この頃から Bob Gaudio の書く楽曲にはかなりの振幅があり、とても多様です。このシングルにより、 Bob Gaudio は Bob Crewe の信頼を勝ち得たのではないかと思います。


An Angel Cried (Bob Gaudio) / Hal Miller And The Rays (1961)

1961年、Billy Dixon and The Topics と同じく、Topix Records からリリースされた作品です。1950年代から Doo Wop グループ、The Rays を手掛けてきたBob Crewe プロデュース作品。Hal Miller とは、The Rays のリードシンガー、Harold Miller のことで、バックボーカルを担当したのは The Rays でなく、The Four Lovers (The Four Seasons) とされています。アレンジを担当したのが、当時、The Four Lovers のメンバーであった Charles Calello。Charles Calello にとっても最初期のアレンジ作品となります。この曲は後に The Four Seasons も取り上げました。


No One Cares (Bob Gaudio) / Ginny Arnel (1961)

1961年に Ginny Arnel によって歌われた作品。シングルB面曲です。ニューヨークで設立されたばかりの Warwick Records からリリースされました。Ginny Arnel は1963年の曲、"Dumb Head" で知られる女性シンガーで、一時期、 Gene Pitney と組んで、Jamie & Jane として活動していました。


Faded Roses (Bob Gaudio-Bob Crewe) / Matthew Reid (1962)

1962年に Scepter Records からリリースされた作品。Bob Crewe との共作曲です。既に The Four Seasons が結成された後の作品になりますが、Bob Crewe はまだヒットがない The Four Seasons の中で、Bob Gaudio のソングライティング力を買っていたんだと思います。アレンジは "Sherry" を担当した Sid Bass。


Sherry (Bob Gaudio) / The Four Seasons (1962)

1962年7月、Vee-Jay Records でのシングル第1弾、"Sherry"。U.S. Billboard Hot 100 の1位となり、The Four Seasons の名前が全米へ広がります。アレンジを担当したのは、Sid Bass という人で、ジャズ寄りのアレンジャーです。かつて、シンガー時代の Bob Crewe の作品でもアレンジを担当した人です。



* 写真 : Royal Teens、一番左が Bob Gaudio




(富田英伸)