Bob Gaudio その2:楽曲提供とプロデュース(前編)
2021.11.13
Bob Gaudio の2回目です。
第2回 : Bob Gaudio が The Four Seasons 以外の他のミュージシャンへの楽曲提供、プロデュースした作品について (その1)
1962年、大ヒットとなった "Sherry" 以降も Bob Crewe プロデュースの下、The Four Seasons はヒットを飛ばしていきます。その曲の多くが Bob Gaudio もしくは Bob Crewe との共作曲でした。1964年には Philips Records からレコードをリリース。
1960年代後半には Frankie Valli のソロプロジェクトが開始、ここでも Bob Gaudio は優れた楽曲を Frankie Valli に提供していきます。
1960年代終盤、時代はシングル盤メインのプロデューサー主体の時代からミュージシャン主体の時代になりつつあり、The Four Seasons も Bob Gaudio が主導となってプロデュースするようになります。1970年に入って、The Four Seasons はメンバーチェンジを繰り返していきますが、主要なレコード制作スタッフは Bob Gaudio を中心とした1960年代から続く仲間たちでした。
1976年には、The Four Seasons のシングル "December, 1963 (Oh, What a Night) " が US Billboard Hot 100 の1位を記録。The Four Seasons は復活します。共作したのは後の奥様となる Judy Parker。 Judy Parker はテレビシリーズ『バットマン』 (1966〜1968) などに出演した女優でした。
1970年以降、The Four Seasons の活動の傍ら、Frankie Valli を初め、Frank Sinatra、Neil Diamond、 Michael Jackson、Diana Ross、など数多くの著名なミュージシャンの楽曲プロデュースに携わっていきます。
Bob Gaudio が The Four Seasons 以外の他のミュージシャンへの楽曲提供、プロデュースした作品を聴いていきましょう。
Don't Make Faces (Bob Gaudio-Sandy Linzer) / Tobin Matthews (1963)
1963年、Warner Bros. Records からリリースされた作品。プロデューサーは Al Kasha です。詩を手掛けたのが、Sandy Linzer で、アレンジは Denny Randell。後の Bob Crewe のプロダクションで働く2人です。Bob Gaudio はこういったレコードセッションを通じて、Sandy Linzer と Denny Randell の2人を Bob Crewe のプロダクションに引き入れたのかも知れません。
Who's That (A Dream Smiled At Me) (Bob Crewe-Bob Gaudio) / Tracey Dey (1963)
1963年に Tracey Dey に提供した作品で、Bob Crewe との共作曲。Bob Crewe がプロデュースしました。アレンジは Charlie Calello が担当。リリース元は何故か、西海岸の Liberty Records でした。Tracey Dey は "Sherrty" のアンサーソング、"Jerry (I'm Your Sherry) " でビューしたガールシンガーで、後に Dey & Knight という男女デュオでもレコードをリリースしました。Dey & Knight の Knight とは、Gene Allan とのチームで知られる ソングライターの Gary Knight です。
Won't You Come Closer (Bob Gaudio) / Jackie Hill (1963)
1963年リリースのシングル。Mar-Brit Records というニューヨークのマイナーレーベルからリリース。制作元のクレジットは Gaudio-Valli Production となっており、Bob Crewe は関わっていない作品です。他にもこのプロダクション名義でいくつかリリースしており、Bob Crewe のプロダクション以外でも精力的に活動していたことが伺えます。アレンジは Charlie Calello 。
Cry To Me (Frankie Valli-Bob Gaudio) / Cholli Maye (1963)
これも1963年リリースのシングル。Gold Records というマイナーレーベルからリリースで、Gaudio-Valli Production のクレジットがある作品です。詩を珍しく、Frankie Valli が書いています。A面は、Charlie Calello 書いた "You Will Never Get Away" という曲でした。
Sweet Young Love (Bob Crewe-Bob Gaudio) Lenny O'Henry (1964)
1964年リリースの Bob Crewe Production の作品。歌っているのは、 Lenny O'Henry という黒人シンガーで、1950年代には The Vibraharps というボーカルグループで活躍していました。Bob Gaudio は The Four Seasons の多忙な活動の最中、このように多くの楽曲を様々なミュージシャン達に提供していました。アレンジはこれも Charlie Calello。
* 写真: Bob Crewe (左) と Bob Gaudio (右)
(富田英伸)