Quincy Jones が手がけた映画音楽 その2
2022.01.20
Quincy Jones の続きです。
1960年代初頭、Mercury Records の重役となった Quincy Jones は同社のプロデューサー、アレンジャーとして多くの仕事をこなすようになりました。1964年に映画監督、シドニー・ルメット (Sidney Lumet) からの依頼で、映画『質屋』 (THE PAWNBROKER) の映画音楽を手掛けます。それがきっかけで、ロサンゼルスに移住。本格的に映画音楽のスコアを書くようになります。1967年の映画『夜の大捜査線』 (IN THE HEAT OF THE NIGHT) では、主題歌を盟友、Ray Charles が歌い、映画を印象付けしました。
映画同様、テレビドラマ『鬼警部アイアンサイド』 (IRONSIDE、1967〜1975) や『ROOTS/ルーツ』 (ROOTS、1977) などの音楽、テーマ曲を手掛けます。後に Quincy Jones は『ROOTS/ルーツ』の原作者、アレックス・ヘイリー (Alex Haley) の助言、手助けにより、Quincy Jones 自身のルーツを探る旅を行ったそうです。
1978年、旧知のシドニー・ルメット監督が撮った『オズの魔法使い』のミュージカル化映画『ウィズ』 (THE WIZ) の映画音楽を手掛けます。そこで、案山子役で出演した、Michael Jackson と出会い、それがきっかけとなって1979年、Michael Jackson の Epic Records での再デビューアルバム『Off The Wall』のプロデュースを手掛け、Michael Jackson をスターダムに押し上げました。
Ironside (Quincy Jones) / Quincy Jones (1971)
1967年から始まったテレビドラマ『鬼警部アイアンサイド』 (IRONSIDE) のテーマ曲。日本国内でも放送、その後、ワイドショーなどでも頻繁に使われ、耳馴染みのナンバー。シングルは1971年、A&M Records からリリースされ、Phil Ramone が共同プロデューサーとしてクレジットされています。
Clutter Family Theme (Quincy Jones) From "IN COLD BLOOD" / Quincy Jones (1967)
トルーマン・カポーティ (Truman Capote) 原作を1967年に映画化した『冷血』 (IN COLD BLOOD) 。Quincy Jones はモデルとなった実際の人物たちが収監されていた刑務所を訪れ、このスコアを書いたとされています。題名とは似つかない美しいメロディです。
For Love Of Ivy (Bob Russell-Quincy Jones) From "FOR LOVE OF IVY" / Shirley Horn (1968)
1968年の映画『愛は心に深く』 (FOR LOVE OF IVY) のエンドタイトルに流れたナンバー。主演は映画『いのちの紐』 (THE SLENDER THREAD、1965) 、『夜の大捜査線』 (IN THE HEAT OF THE NIGHT、1968) のシドニー・ポワチエ (Sidney Poitier) 。Quincy Jones と縁が深い黒人俳優です。歌ったのはジャズシンガーの Shirley Horn。とっても好きな曲。
Maybe Tomorrow (Quincy Jones-Alan & Marilyn Bergman) From "JOHN AND MARY" / Evie Sands (1969)
1969年の映画『ジョンとメリー』 (JOHN AND MARY) の主題歌。歌ったのはソングライターでもある、Evie Sands。アメリカンニューシネマと言われた日本国内でも人気があった作品でした。
The Time For Love Is Anytime (Cynthia Wei-Quincy Jones) From "CACTUS FLOWER" / Sarah Vaughan (1969)
1969年の映画『サボテンの花』 (CACTUS FLOWER) の主題歌。歌ったのは1950年代からアレンジ等でサポートしてきた Sarah Vaughan。映画の方は、ゴールディ・ホーン (Goldie Hawn) の出世作となりました。詩を Barry Mann の奥様の Cynthia Weil が書きました。アレンジは Jimmie Haskell。
The Lost Man (Quincy Jones) / Quincy Jones (1969)
1969年の映画『失われた男』 (THE LOST MAN) のテーマ曲。1947年の映画『邪魔者は殺せ』 (ODD MAN OUT) のリメイク作品です。主演はまたもシドニー・ポワチエでその後、この映画で共演したフランス出身の女優、ジョアンナ・シムカス (Joanna Shimkus) と結婚して話題となりました。
写真 : 映画『失われた男』 (THE LOST MAN)
Love Theme From "THE GETAWAY" (Quincy Jones) / Quincy Jones (1972)
1972年のスティーヴ・マックィーン (Steve McQueen) 主演、サム・ペキンパー (Sam Peckinpah) 監督映画『ゲッタウェイ』 (THE GETAWAY) から。ハーモニカは Toots THIELEM が吹いています。アレンジは Quincy Jones と Dave Grusin。
The Color Purple Main Title (Quincy Jones) / Quincy Jones (1985)
最後に1985年のスティーヴン・スピルバーグ (Steven Spielberg) 監督作品『カラーパープル』 (THE COLOR PURPLE) を。Quincy Jones は音楽のみならず、この映画の製作者の1人でもありました。Quincy Jones が書いたスコアを John Williams がオーケストレーションしました。
写真 : Quincy Jones と元夫人で女優のペギー・リプトン (Peggy Lipton)
(富田英伸)