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Thom Bell その2:1970年代以降、特に Linda Creed とのコラボレーション作品

2022.05.18
You're As Right As Rain

You're As Right As Rain

Thom Bell Part 2

(1972)

#Songwriter

Songwriterシリーズ
Thom Bell の2回目です。

第2回目 : 1970年代以降、特に Linda Creed とのコラボレーション作品

Linda Creed について先に触れておきます。
Linda Creed は1948年 (1949年の説あり) フィラデルフィア生まれの白人女性。元々はシンガー志望で、1968年頃には Thom Bell と知り合いだったようです。当時、シンガー、Linda Creed に対して Thom Bell がプロデュースを行った模様ですが、残念ながらリリースされることはありませんでした。後に Linda Creed はThe Stylistics の一連のアルバムで、楽曲制作以外に、Backing Vocals としてクレジットされています。


* Linda Creed と Thom Bell

Linda Creed の楽曲クレジットが見つかるのは、第1回目で取り上げた1970年リリースの Dusty Springfield の "I Wanna Be A Free Girl"。これは同年リリースした、Dusty Springfield の Atlantic Records でのアルバム『A Brand New Me』のアウトテイクです。
Thom Bell にとって、Linda Creed とのコラボレーション作業は創作意欲がわいたと思われ、それは The Stylistics に提供した一連の作品に結実します。

Linda Creed は Thom Bell 作品以外にも、"The Greatest Love of All" (作曲は Michael Masser) 等の作詞を手掛けて人気作詞家となりますが、1986年に37才の若さで他界。1992年には Songwriters Hall of Fame 殿堂入りしています。


Thom Bell に話を戻します。
盟友、Kenny Gamble がオーナーだった Gamble Records ではアレンジャーに加えて、楽曲制作等も積極的にやっていましたが、1971年、Kenny Gamble-Leon Huff が新たに設立した Philadelphia International Records では主にアレンジャーとして、2人を助けていくようになります。


* Mighty Three の3人、Leon Huff、Thom Bell、Kenny Gamble

楽曲制作に関しては、1971年の The Stylistics のデビューアルバム『The Stylistics』から数え、3枚程のアルバムを楽曲、プロデュースを手掛け、優れた楽曲を多く送り出しました。

1972年には Motown Records から移籍した Spinners のプロデュースを手掛けていくようになります。この Spinners の一連プロジェクトは、The Stylistics のプロジェクトとは異なり、楽曲提供よりもプロデュース視点で、フィラデルフィア周辺で活動している作家陣を積極的に登用しています。

1970年以降の作品を一部ですが、聴いていきたいと思います。


Keep Growing Strong (Linda Creed-Thom Bell) / Connie Stevens (1970)

Betcha by Golly, Wow (Linda Creed-Thom Bell) / The Stylistics (1971)

1970年、Connie Stevens に提供した楽曲。プロデュース、アレンジ共、Thom Bell が担当しています。翌年にタイトルを "Betcha by Golly, Wow" に変え、The Stylisticsのファーストアルバム『The Stylistics』に収録されます。


People Make The World Go Round (Linda Creed-Thom Bell) / The Stylistics (1972)

You're As Right As Rain (Linda Creed-Thom Bell) / The Stylistics (1972)

Make It Last (Linda Creed-Thom Bell) / The Stylistics (1973)

The Stylistics では、"Stop, Look, Listen" (1971) 、"You Are Everything" (1971) "、"Betcha by Golly, Wow" (1972) 、"I'm Stone in Love with You" (1972) 、"Break Up to Make Up" (1973) 、"You Make Me Feel Brand New" (1974) と数々の名曲、ヒット曲が生まれました。今回はそんなヒット曲に隠れた楽曲、3曲を厳選して。1960年代の The Delfonics 時代と比較して、かなりスマートな曲が続きます。


* Thom Bell と The Stylistics

I'll Be Around (Phil Hurtt-Thom Bell) / The Spinners (1972)

1972年、Motown Records から移籍した Spinners に提供し、多くの人が夢中になったダンスナンバー。US Billboard Hot 100 の3位につけました。アレンジ、プロデュース共、Thom Bell。共作者の Phil Hurtt は1960年代から活躍しているソングライターで、Bunny Sigler とのチームで知られている人です。


I Think I'll Tell Her (Linda Creed-Thom Bell) / Ronnie Dyson (1973)

1973年リリースの Ronnie Dyson のアルバム『One Man Band』は10曲中4曲が、Linda Creed-Thom Bell の作品によるものです。その中から洒落た素敵なメロディのこの曲を。


World Of My Dreams (Linda Creed-Thom Bell) / Dionne Warwick (1975)

このバラード曲を最後に。1975年の Dionne Warwick のアルバム『Track Of The Cat 』は全面的に Thom Bell がプロデュースを手掛け、Sigma Sound Studios で制作されました。


* Linda Creed




(富田英伸)