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フランス出身のソプラノ歌手 Christaine Legrand その1

2022.06.20
Lullaby of Birdland

Lullaby of Birdland

Christaine Legrand

(1955)

#Magic Voice

(フランス出身のソプラノ歌手、Christaine Legrand を取り上げるとともに、 "クリスマス・イブ" に影響を与えた、The Swingle Singers にも触れていきます。)

Magic Voicesシリーズ
今回は Christaine Legrand を取り上げます。
2回に分けて取り上げていきたいと思います。

Christaine Legrand はフランス出身のソプラノ歌手。多くのコーラスグループにも参加しました。弟はジャズ演奏者、作曲家の Michel Legrand で、その影響もあって映画音楽にも多く携わりました。

Christaine Legrand は1930年、パリで作曲家、Raymond Legrand の娘として生まれました。2年後に弟、Michel Legrand が生まれています。音楽一家の家庭環境にあったため、幼い頃から弟と一緒にピアノとクラシック音楽を学んでいたそうです。しかし彼女が一番好んだことは"歌う"ことでした。

ニューヨーク出身の女性ピアニスト、ジャズ歌手の Blossom Dearie が1952年にパリに移住、ジャズナンバーをフランス語で歌うジャズコーラス・グループを作ろうと考えます。そのメンバーとして声がかかった1人が、Christaine Legrand でした。パリで Blue Stars of France が結成され、1955年にはアルバム『Lullaby Of Birdland (And Other Famous Hits By The Blue Stars Of France) 』がリリースされます。アレンジを手掛けたのは、Christaine Legrand の弟の Michel Legrand でした。

Blossom Dearie がアメリカ帰国後、Blue Stars of France のメンバーだった女性、Mimi Perrin が中心となって、コーラスグループ、Les Double Six が結成されます。このグループはアクロバティックなジャズコーラスグループで、ここでも Christaine Legrand のソプラノボイスは重宝され、参加要請がかかります。

Christaine Legrand が Les Double Six に参加していたのは初期のみで、Les Double Six のメンバーだった、アメリカ出身の Ward Swingle が 1962年、The Swingle Singers を結成すると Christaine Legrand もこのグループに参加します。The Swingle Singers はバッハなどクラシック音楽に題材を求め、そのため、ソプラノの Christaine Legrand が大きくフィーチャーされることとなります。The Swingle Singers のいわゆる "クラシック音楽にダバダバダ・スキャット" は一世を風靡し、日本でもネスカフェのCMなどに大きな影響を与えました。

次回に続く。

第1回の今回は、1950年代から1960年代にかけて、Christaine Legrand が参加したコーラスグループを中心に聴いていきたいと思います。


Lullaby of Birdland (George Shearing-George David Weiss) / The Blue Stars of France (1955)

Tout Bas (Speak Low) ( Kurt Weill-Ogden Nash) / The Blue Stars of France (1955)

前述のように、Blossom Dearie がパリに滞在したことがきっかけで結成されたコーラス・グループ、The Blue Stars of France の1955年リリースのアルバムから2曲。Christaine Legrand はソプラノで、Blossom Dearie はアルトを担当しています。アレンジは Michel Legrand。
"Lullaby of Birdland" は1952年にピアニスト、George Shearing がニューヨークのジャズクラブ、Birdland をことを想って作った曲で、後に英語詩を George David Weiss が付けました。
"Speak Low" は1943年に Kurt Weill がミュージカル『One Touch of Venus』の為に書いた曲です。


Rat Race (Quincy Jones-Mimi Perrin) / Les Double Six (1960)

女性シンガー、Mimi Perrin が中心となって結成されたコーラス・グループ、Les Double Six。アメリカのコーラスグループ、Lambert, Hendricks & Ross のスタイルに影響を受けたと言われています。ジャズのビックバンドで演奏されるようなサックス、トランペット、トロンボーンなどを"声"で表現しています。Mimi Perrin によって翻案された詩もユーモラスで人気を博しました。デビューアルバム『Meet Quincy Jones』はそのタイトル通り、アメリカから Quincy Jones を招いて制作されました。


J S Bach Concerto in F Major largo / The Swingle Singers (1969)

J S Bach Partita No2 Sinfonia / The Swingle Singers (1969)

Les Double Six に所属していたアメリカ人、Ward Swingle を中心に結成されたアカペラ・コーラス・グループで1963年にバッハの曲をジャズ要素で混声合唱したアルバム『Jazz Sébastien Bach 』をリリース。これが好評で、ベートーベンやチャイコフスキーなどクラシック音楽に題材を求め、日本でも高い人気を誇りました。今回は1969年のテレビ映像から。
ちなみに Michel Legrand が担当した映画音楽などの歌の吹替はこの The Swingle Singers のメンバーに依頼する場合が多かったです。


Je Sais Que Vous Êtes Jolie (Christiné-H. Poupon) / Yves Montand and Christiane Legrand (1959)

デュエット曲を1曲。フランスの歌手、俳優の Yves Montand が1959年にリリースした曲から。デュエットといっても冒頭に Yves Montand を紹介するように一節、歌っています。


Paris B.B (A. Hodeir-H. Crolla-H. Rostaing) / Christiane Legrand (1957)

2回目では Christiane Legrand が関わった映画音楽について取り上げますが、それに先立って映画音楽から1曲。映画『殿方ご免遊ばせ』 (UNE PARISIENNE、1957) から。当時、大変人気があった女優、ブリジット・バルドー (Brigitte Bardot) を歌った曲です。Christaine Legrand の驚異的なハイソプラソを聴くことができます。



* Les Double Six : 左から、後に The Swingle Singers を結成する Ward Swingle、Christiane Legrand、Quincy Jones (ピアノ) 、その隣の女性がリーダーの Mimi Perrin 。

(富田英伸)