The Buckinghams の一連のヒットで知られる James Holvay
2022.10.03
Songwriterシリーズ、
今回は James Holvay を取り上げます。
James Holvay は "Kind of a Drag"を始めとする The Buckinghams の一連のヒット曲を書いた人として知られていますが、1966年、シカゴで結成されたブルーアイドソウル・グループ、The Mob の中心人物でもあります。今回はその The Buckinghams、The Mob を中心に聴いていきたいと思います。
James Steven "Jimmy Soul" Holvay は1945年シカゴ生まれ。10代の頃からバンド活動を初めました。いくつかのバンドを経て、1963年に The Chicagoans というバンドを結成。そのバンドでその後の盟友、ソングライターチームとなる、サックス奏者、Gary Beisbier と知り合います。1965年には、R&Bシンガーの Dee Clark に "I Can’t Run Away” b/w “She’s My Baby” を提供。ソングライターとしても活動を開始します。その頃、“Yellow Polka Dot Bikini” のヒットで知られる Brian Hyland と友達になり、“Stay Away From Her” といった楽曲を提供しています。
1966年、James Holvay は The Chicagoans を発展させる形で、ホーンセクション配したブルーアイドソウルグループ、The Mob を結成します。当時、ホーンセクション配したグループは他にあまりありませんでした。The Mob はステージショー『Dick Clark's Young Worlds Fair』に参加し、多くのシンガー達のバックを務めました。
The Mob の評判を耳にした The Buckinghams のマネージャーからJames Holvay に楽曲制作の依頼がかかり、James Holvay は The Buckinghams に “Kind Of A Drag” を提供。この曲が U.S. Billboard Hot 100 の1位を獲得。その後、The Buckinghams には"Don't You Care"、"Susan"、"Hey Baby (They're Playing Our Song) " などを提供していきます。
自身のグループ The Mob は、1966年以降、数枚のシングルをリリースしましたが、評判にはなりませんでした。1971年に Jerry Ross のプロデュースでデビューアルバム『The Mob』をリリース。1975年にはセカンドアルバム同じタイトル名『The Mob』をリリースしました。
I Can't Run Away (James Holvay) / Dee Clark (1965)
まず初期の頃から。James Holvay が The Buckinghams 以前に書いた曲になります。Dee Clark は Doo Wop グループ、The Delegates の出身。1961年、U.S. Billboard Hot 100の2位となった 自身のペンによる"Raindrops " のヒットを持っています。James Holvay はこの Dee Clark の演奏メンバーとして腕を磨いていったそうです。
Stay Away From Her (Brian Hyland-James Holvay) / Brian Hyland (1966)
"Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka Dot Bikini" や "Sealed with a Kiss" のヒットを持つ Brian Hyland ですが、James Holvay の友人でした。1966年、2人の共作曲です。
Kind of a Drag (James Holvay) / The Buckinghams (1966)
1966年、シカゴで結成された The Buckinghams のシングル。U.S. Billboard Hot 100 の1位を獲得し、一躍人気グループとなります。まだプロデュースには James William Guercio が就いておらず、James Holvay に楽曲提供依頼した The Buckinghams のマネージャー Carl Bonafede がプロデューサーに就いています。
Don't You Care (Gary Beisbier-Jim Holvay) / The Buckinghams (1967)
1967年にリリース。Gary Beisbier-Jim Holvay という The Mob の2人による共作曲。James William Guercio がプロデュースに就いて、よりシャープな音作りを目指しました。U.S. Billboard Hot 100 の6位を獲得。
Susan (Gary Beisbier-Jim Holvay-James William Guercio) /The Buckinghams (1967)
同年の1967年にリリース。Gary Beisbier-Jim Holvay チームにプロデューサー James William Guercio が作曲クレジットに加わっています。終盤のサイケ風味は James William Guercio の意向でしょうか。The Buckinghams では一番好きな曲。
I Dig Everything About You (Gary Beisbier-Jim Holvay) / The Mob (1970)
ここからは Gary Beisbier-Jim Holvay チームが属していたブルーアイドソウル・グループ、The Mob の音源を。1960年代はアルバムをリリースしなかった The Mob ですが、1971年、Jerry Ross のレーベル、Colossus Records からデビューアルバム『The Mob』をリリース、Jerry Ross がプロデュースに就きました。このアルバムに先立ってこのシングルが1970年にリリース。アレンジは Jerry Ross の人脈でフィラデルフィア界隈で活動していた Chuck Sagle 。元々はジャズベーシストです。The Mob で一番好きな曲。
I'd Like To See More Of You (Gary Beisbier-Jim Holvay) / The Mob (1971)
同じく、1971年、Jerry Ross のレーベル、Colossus Records からデビューアルバム『The Mob』から。サックスソロは Gary Beisbier でしょうか。心地いいリズムで体を横に揺れてきます。リード・ボーカルは Al Herrea。
Lost (Gary Beisbier-Jim Holvay) / The Mob (1971)
同じく1971年のデビューアルバム『The Mob』からスローンナンバー。The Buckinghams に楽曲していた頃はこのようなメロウな曲はなかったのですが、1970年代に入るとこのような楽曲も増えていきます。
Magical Lady (Gary Beisbier-Jim Holvay) / The Mob (1975)
その後、The Mob は西海岸に渡り、The Association、The 5th Demension のプロデューサーで知られる Bones Howe のプロデュースで、Private Stock レーベルからアルバム『The Mob』をリリース。サイドAは " The Dance Side " と記載され、ダンサブルなナンバーやロックンロール・スタイルのナンバーを収録。サイドBは " The Groove Side " と明記、バラード、AOR、スィートソウル、そしてちょっとスワンプなナンバーも収録されており、バリエーションに富んでいます。
今回は" The Groove Side "からこの曲を。
* The Mob
(富田英伸)