2017年に100才で亡くなった、Danielle Darrieux を偲んで
2022.11.13
今回はフランスの女優、シンガーの Danielle Darrieux を取り上げます。
Danielle Darrieux はまだトーキー映画が一般的でなかった頃、1931年に映画界デビュー、2000年代においても映画出演、生涯現役を果たし、芸能生活実に80年、110本以上の映画に出演、長きに渡って活躍したフランスの女優、シンガーです。
Danielle Darrieux は1917年、フランス、ボルドーで生まれました。その後パリに移住しチェロなどを学んだそうです。1931年、14歳の時、『ル・バル』 (LE BAL) で映画デビュー。Darrieux はこの映画で主演を務め、映画で歌った"Le Beau Dimanche" という曲をレコードでリリース、これがレコードデビューとなります。数作の映画出演後、1935年、シャルル・ボワイエ (Charles Boyer) と共演した『うたかたの戀』 (MAYERLING) に出演、世の中に名が知られるようになります。
第二次世界大戦中はフランスはドイツによる占領下であったため、思うように女優活動ができなかったのですが、戦後はフランス映画のみならず、ハリウッド映画にも出演するようになります。
また1950年代から歌手としても本格的に活動を開始、MGM Records や Decca Records からレコードをリリースするようになります。1959年にはシャンソンのアルバム『Le Temps Du Muguet』をリリース。このアルバムに収録された曲、"Petite Fleur" は元々インスト曲でしたが、Danielle Darrieux が歌い、これが日本の作曲家、音楽家の宮川泰さんに耳に留まり、その年、ザ・ピーナッツのデビュー曲 "可愛い花" になります。以降、Danielle Darrieux はシンガーを軸足にして活動を続けていきました。
1960年代に入っても脇役中心に映画に精力的に出演を続け、1966年の映画『ロシュフォールの恋人たち』 (LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT) では多くの出演者は歌吹替でしたが、Danielle Darrieux は、歌吹替を行わず、自身が歌いました。
2002年には、ミュージカル映画『8人の女たち』 (8 FEMMES) にフランスを代表する女優の1人として出演、歌唱を披露しました。
Danielle Darrieux は生涯、現役女優として生き抜き、芸能生活80年と映画史上最も長いものになりました。Danielle Darrieux は2017年に100才で天に召されました。
Ça Vient tout Doucement (Wal-Berg-Camille François) From "Mademoiselle Mozart" / Danielle Darrieux and Pierre Mingand (1935)
Danielle Darrieux が初期に出演した映画『Mademoiselle Mozart』 (1935) から。Darrieux は楽器店の店員を演じています。楽しいピアノ二重奏。二重奏を通して2人は仲良くなります。
We Never Talk Much (Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Danielle Darrieux and Fernando Lamas (1951)
映画『Rich, Young & Pretty』は1951年にMGM映画社で制作されたミュージカル映画です。まだフレッシュで成長株のジェーン・パウエル (Jane Powell) 、フランスから Danielle Darrieux を招き出演しました。Danielle Darrieux とフェルナンド・ラマス (Fernando Lamas) のデュエットです。
Fragile (Alec Siniavine-Henri Lemarchand) / Danielle Darrieux (1952)
戦後になり、Danielle Darrieux は女優業傍ら、レコードをリリースするようになります。1952年にリリースした曲。Danielle Darrieux のソプラノにピッタリの美しい曲。
Petite Fleur (Fernand Bonifay-Sidney Bechet) / Danielle Darrieux (1959)
"Petite Fleur" はニューオーリンズ出身のジャズ・ソプラノ・サックス奏者 Sidney Bechet が1951年にフランス滞在時に作った楽曲。元々インスト曲でしたが、Danielle Darrieux が1959年に歌い、これが日本の作曲家、音楽家の宮川泰さんに耳に留まり、その年、ザ・ピーナッツのデビュー曲 "可愛い花" になります。
Le Temps d'Aimer (Paul Misraki-Jean Broussolle) From "Un Drôle De
1958年、Danielle Darrieux が主演を務めた映画『Un Drôle De Dimanche』の主題歌です。流麗なメロディーに美しい歌声。演奏は Franck Pourcel のオーケストラです。
Un Coeur Perdu (Jo Moutet-Robert Chabrier) / Danielle Darrieux (1959-TV)
1959年、Danielle Darrieux がテレビショーに出演した映像を。同年にリリースしたアルバム『Le Temps Du Muguet』に収録されていたナンバー。ワルツの調べに美しい声に酔いしれます。ダンスは相手方の男性がヘタでご愛敬 (笑顔)
Tout Bas (Speak Low) (Kurt Weill Adapted By Text Jacques Plante) / Danielle Darrieux (1961)
1961年のアルバム『Laura』から。Kurt Weill 作の "Speak Low" をフランス語で歌っています。オーケストレーションは Christian Chevallier というジャズピアニストで、Blossom Dearie が結成した Les Blue Stars のメンバーだった人です。冒頭に登場するコーラスは、その Christian Chevallier が結成した Les Angels というコーラスグループ。Les Angels には Christiane Legrand (Michel Legrand の姉) や Mimi Perrin、Ward Swingle が在籍していました。
Chanson d'Yvonne (Jacques Demy-Michel Legrand) From "LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT" / Danielle Darrieux (1966)
1966年の映画『ロシュフォールの恋人たち』 (LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT) でイヴォンヌ役で出演。他の多くの出演者は歌吹替でしたが、Danielle Darrieux はただ一人、歌吹替を行わず、自身が歌いました。
Il n'y a pas d'Amour Heureux (Georges Brassens-Louis Aragon) From "8 FEMMES" / Danielle Darrieux (2002)
2002年には、ミュージカル映画『8人の女たち』 (8 FEMMES) にフランスを代表する女優の1人として出演、歌声を披露。Françoise Hardy などの歌唱で知られる Georges Brassens の"Il n'y a pas d'Amour Heureux" を劇内で歌いました。
* Danielle Darrieux
(富田英伸)