Ron Tyson その1
2022.12.17
Songwriterシリーズ、
今回は Ron Tyson を取り上げます。
フィラデルフィアで活躍してきた Ron Tyson は元々ボーカルグループのリードボーカリストでその後もグループのボーカリストとしての活動を存続しながら、いわゆるフィリーと言われた楽曲の制作、プロデュースも行ってきた人です。携わった楽曲も多いため、2回に分けて取り上げていきます。
Ron Tyson こと Ronald Presson は1948年、フィラデルフィア生まれ。その後、ノースカロライナ州モンローで育ちました。 祖父がゴスペルグループに所属していることもあって、Ron Tyson も祖父と一緒に歌っていたそうです。その後、生まれの地、フィラデルフィアに戻り、1967年にボーカルグループ、The Ethics を結成します。同年、Bobby Martin が楽曲制作、プロデュースした、 "That's The Way Love Goes" でシングルデビューします。その後、Ron Tyson らが書いた "Think About Tomorrow" 等をリリース。その時にプロデューサー、アレンジャーに就いたのが、ヴィブラフォン奏者でもある Vincent Montana でした。
1970年代に入ると Ron Tyson が所属する The Ethics は Love Committee とグループ名が変わります。数枚のシングルリリース後、フィラデルフィアのシングライター、ギターリスト、アレンジャーの Norman Harris が興した Gold Mind Records からアルバム『Law And Order』をリリース。 Ron Tyson にとって初のアルバムとなります。その後は、Norman Harris (G.) 、Ronnie Baker (B.) 、 Earl Young (Dr.) 、いわゆる Baker-Harris-Young と交流して楽曲制作、プロデュース活動を精力的に行うようになります。
Ron Tyson が関わったミュージシャンを挙げると、The O'Jays、First Choice、The Salsoul Orchestra、Gloria Gaynor、Loleatta Holloway、Double Exposure、The Trammps、The Three Degrees、The Four Tops、Curtis Mayfield、The Dells、 Archie Bell & The Drells、Blue Magic、Harold Melvin and The Blue Notes 等々、枚挙にいとまがありません。
Ron Tyson は 楽曲制作、プロデュース活動の傍ら、自身のグループ、Love Committee の活動を続けました。1983年に Motown Records 出身の名門グループ、The Temptations に加入。2022年現在においても The Temptations でボーカリストとして活動を続けています。
Think About Tomorrow (Alfred Milton Tennant-Howard Tony Smith- Ronald Presson aka Ron Tyson) / The Ethics (1968)
Think About Tomorrow (Alfred Milton Tennant-Howard Tony Smith- Ronald Presson aka Ron Tyson) / The Ethics (1968、Live)
Ron Tyson が所属していたグループ、The Ethics が Vent Records というフィラデルフィアのマイナーレコードからリリースしたシングル。リードボーカルは Ron Tyson。心地いいファルセットボイスです。プロデュースとアレンジを担当したのは ヴィブラホン奏者でもある Vincent Montana。その後、Ron Tyson と Vincent Montana は 1970年代中期以降、Salsoul Records で多く楽曲制作に関わっていくことになります。
The Ethics が出演したテレビライブが現存していますのでそれも合わせて。
Heaven Only Knows (Norman Frazier-Ron Tyson) / Love Committee (1975)
Am I Wasting Time (Norman Frazier-Ron Tyson) / Love Committee (1975)
1970年代に入ると The Ethics は Love Committee とグループ名が変わります。1975年にリリースしたシングルのAB面。Love Committee のメンバーの Norman Frazier との共作曲です。プロデュースは Ron Tyson と Victor Carstarphen、この人はMFSBのメンバーだったキーボード奏者です。A面のファルセットボイスは Ron Tyson。
I Could Dance All Night (Allan Felder-Bunny Sigler-Ron Tyson) / Archie Bell & The Drells (1975)
ここからは Ron Tyson が楽曲制作に関わった楽曲を。
1975年、Archie Bell & The Drells に提供した楽曲。Philadelphia International Records の姉妹レーベル、TSOP Records からリリース。Allan Felder と Bunny Sigler の共作。この時期、多くの楽曲がこのチームで作られています。プロデュースはその Bunny Sigler でアレンジはベーシストの Ronnie Baker が担当。とでも溌溂としたお気に入りの1曲。
Dreaming (Allan Felder-Norman Harris-Ron Tyson) / Loleatta Holloway (1976)
1976年、Loleatta Holloway に提供した楽曲。多くのディスコナンバーを送り出した Salsoul Records からのリリース。Allan Felder と ギターリストの Norman Harris との共作曲。プロデュースとアレンジは Norman Harris が担当。Loleatta Holloway のボーカルが元気いっぱいです。
The When The Fuel Runs Out (Allan Felder-Norman Harris-Bunny Sigler-Ron Tyson) / Ambitions (1977)
1977年、The Ambitions というグループに提供した楽曲。プロデュースは Baker-Harris-Young Production で、Allan Felder と Norman Harris、Bunny Sigler との共作です。あまり知られていないアップテンポの佳曲。
Gamble On Love (Ron Baker-Ron Tyson) / First Choice (1977)
1977年の First Choice の楽曲、"Dr. Love" が収録されていたアルバム『Delusions』から2曲。女性3人グループ、First Choice はフィラデルフィアで結成。1972年のデビューの頃からプロデュースを Baker-Harris-Young が手掛けていました。この曲はベーシスト、Ronnie Baker との共作。プロデュースとアレンジはその Ronnie Baker 。
Chances Go Around (Allan Felder-Norman Harris-Ron Tyson) / First Choice (1977)
同じく、First Choice のアルバム『Delusions』収録曲。Allan Felder と Norman Harris との共作。アレンジとプロデュースはソングライターでキーボード演奏の Ron Kersey 。チョッパーベースが気持ちいいナンバー。
Ron Tyson と一緒に楽曲制作、プロデュースを行ってきた Baker-Harris-Young の Norman Harris と Ronnie Baker については以下を参照ください。
Songwriterシリーズ Norman Harris
Songwriterシリーズ Ronnie Baker
* The Ethics (一番左が Ron Tyson)
(富田英伸)