鈴木祥子 “Syoko, / The Lead Vocalist.” 2023/02/05 に寄せて
2023.02.08
Syoko, / The Lead Vocalist.
鈴木祥子
(2023)
今回の企画は2部構成の内容になっています。
観客は、スタジオ内とエンジニアたちのいるコントロール・ルームにわかれて座り (観客の希望でスタジオ内かコントロール・ルームかをリクエスト) 、ヘッドフォーンを耳に付けてサウンドを聴くという普通のライブでは体験できないライブになりました。
第1部は、鈴木祥子を初めとするミュージシャンたちがそれぞれのレコーディング・ブースに入り、1988年のデビュー・シングル「夏はどこへ行った」 (2023年Version) のアナログ・テープでの録音の過程を見ることになりました。
一つの歌の生成を目の前で見るのはとても興味深く、3つのテイク、すなわち@通しで歌う、A数ヵ所、歌唱の補正、手を加える、Bコーラスや歌唱にもうひとつ歌唱をかぶせる、の3つのプロセスを見ました。一つひとつが徐々に一つの歌に完成するプロセスは、ミュージシャンとコントロール・ルームのレコーディング・エンジニアとの意見交換他もスリリングで、緊張感が観客にも伝わってきました。
15分間の休憩を挟んで、第2部は、鈴木祥子 (ヴォーカル) 、設楽博臣 (アコースティック&エレキ・ギター) 、高野勲 (キーボード) の3人のライブ。Rod Stewart の "The Lead Vocalist" からインスパイア (パクりではありません (笑) ) された"Syoko,/The Lead Vocalist"。今回はいつもはピアノの弾き語りが多い彼女が歌手に専念した久しぶりライブとなりました。
デビュー35周年の記念イヤーの初ライブ、エピック・ソニー時代 (彼女のファンの多くの方々が彼女の歌に魅了されたひとつの時代かもしれません) の歌の数々を3人という小編成で、「今」の彼女の歌唱を聴くことができました。
「Goodbye My Friend」からアンコールのアカペラの「どこにもかえらない」まで11曲、彼女のエピック・ソニー時代の歌が好きなファンには垂涎のセットリストではなかったかと思います。彼女自身のお気に入りの「Sweet Sweet Baby」、このスタジオで録音され、彼女がコーラスに参加した小泉今日子さんでお馴染みの「優しい雨」、私は久しぶりに耳にした「両手いっぱい」他、それぞれが佳曲です。それらを耳にしながら、私の耳には、「今」の彼女の歌唱力、声量の衰えを感じませんでした。
4月にライブを行うというニュースを聞けたのもうれしかった。デビュー35周年の初めてのライブに参加できて良かったという実感を胸に刻んだといったらおおげさになるでしょうか。
このライブレポートを書くにあたってtwitterでのファンのつぶやき等も参考に、そしてそれらに感謝したい。
(伊東 潔)