追悼 バート・バカラック「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」
2023.02.11
Arthur's Theme
Christopher Cross - by Burt Bacharach
(1981)
当サイトもバカラックが大好きで、達郎まりや大滝の次くらいに多く取り上げてきた音楽家かもしれません。
バカラックとの出会いというと、ディオンヌとアレサがあるかと思います。
私が初めて聞いた Bacharach-David の歌はなんだろうと述懐すると (勿論、洋楽好きの中学生の当時、その歌の作詞者・作曲者を知る由もありません) 、1968年にヒットした Dionne Warwick の「サンホセへの道」、Aretha Franklin の「小さな願い」ではないでしょうか。前者はボンボンとリズムに乗って、テンポよく「Do You Know The Way To San Jose?」のフレイズが覚えやすく、ラジオから流れてくる歌に合わせて、中学生でも口ずさめたものです。後者は、Aretha Franklin としてはそれまでの歌と違う印象を受けた記憶があり、女性コーラスをバックにゴスペル風な歌に聞こえました。ディオンヌとアレサと、今思えば、対照的な持ち味の歌手が Bacharach-David の歌を歌っていたんだなぁと思います。2012.9.15 (I)
I Say A Little Prayer / Aretha Franklin (1968)
70年代のバカラックとの出会いには、カーペンターズがありました。
僕と同世代の人だと Bacharach のメロディの初めて触れたのはやはり、Carpenters だったと思います。 特に1971年のリリースしたアルバム『Carpenters』のB面に収録されたバカラック・メドレーは当時とっても新鮮でした。 他に誰が歌ってヒットしたとか、探したりした人も多かったと思います。僕もそうやって Burt Bacharach が好きになっていきました。2012.10.23 (T)
80年代のバカラックとの出会いには、「ニューヨーク・シティ・セレナーデ (Arthur's Theme) 」が果たした役割が小さくありません。
過去のという言葉とは結局無縁であったバカラックですが、80年代の声を聞く頃には、筆者は歴史上の大作曲家という印象を持っていたようです。そこに突如現れたクリストファー・クロス歌唱のこの曲。これまでのバカラック・オーケストラではないものの、イントロのピアノ、ヴォーカルとリズム隊のスイング、からむサックス、どれもまさにバカラック・サウンド。
バカラックの音楽を言葉にすると、エレガントに尽きると思います。歌い手を優美にし、聴き手の心を優美にします。それはメロディーだけでなく、アレンジやプロデュースの領域まで手の入ったものでした。まあ、本人があれだけしゃれてますので、ごちゃごちゃ言っても仕方ないレベルでの作品の数々。
当サイトではいくつもバカラックに関することを書いてきました。
ハル・デビッドの話 2012.09.08 (W)
ライブ 2012.09.10 (K)
コーラスのあの声 2016.05.23 (T)
などに関したエントリーもあります。
バート・バカラックという稀代の音楽家と同時代を過ごせた奇跡に、心から感謝したいと思います。
(たかはしかつみ)